自衛隊ニュース

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ダルマ・ガーディアン24 ‐日印陸軍種間の関係強化‐

ダルマ・ガーディアン

写真=日印によるヘリボン訓練


 第1師団(師団長・鳥海誠司陸将)は2月24日から3月7日までの間、東富士演習場及び朝霞訓練場において、令和6年度印陸軍との実動訓練「ダルマ・ガーディアン24」(以下、「DG24」)を実施して、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、更なる日印の能力向上を図るとともに、陸上自衛隊と印陸軍の部隊間の更なる協力関係の強化を図った。

 DG24は機能別訓練及び総合訓練に区分して実施され、機能別訓練では総合訓練に必要な計画策定、包囲、検問、突入、空路潜入、IED(即製爆発装置)対処及び実弾射撃に係る訓練課目を設定し、日印訓練部隊が共同で演練した。

 総合訓練では敵テロリストが住民混在下の市街地に潜伏しているという想定の下、日印の訓練部隊が共同し、敵を包囲、捜索及び撃滅して市街地一帯を回復する一連の行動を演練した。

 想定上、官公庁舎に見立てた4階建ての建物に、日印両部隊隊員が搭乗するUH1Jが2機ずつ4波に分かれて飛来し、ヘリから屋上へとヘリボンにより降り立ち、師団部隊は屋上の扉から、インド陸軍は屋上から階下の窓にロープにて降下し各階に突入した。地上では師団部隊と印陸軍がそれぞれ16式機動戦闘車(MCV)の援護射撃を受けて時間差で建物内に突入し、潜伏する敵を制圧して状況を終了した。


70周年記念桜植樹

桜植樹イベント

写真:檜町桜と銘板の前で新年度へ意気込みを見せる中谷大臣(中央)をはじめとする防衛省・自衛隊最高幹部ら


 4月3日、昨年の防衛省70周年と今年の市ヶ谷移転25周年を記念して植樹された6本のソメイヨシノの披露イベントが、防衛省儀仗広場で行われた。植樹された苗木は、防衛庁があった六本木の東京ミッドタウンに隣接する檜町公園で育てられたもので、旧檜町庁舎にちなみ「檜町桜」と命名された。イベントには三井不動産と東京ミッドタウンマネジメントの関係者も参加した。中谷大臣は「市ヶ谷の地にしっかり根付いて、国防の歴史を継承するとともに、毎年満開の花を咲かせてもらいたい」と挨拶した。


統合作戦司令部が発足

陸海空自を一元指揮

統合作戦司令部

 「ここ東京では桜が開花を始めました。統合作戦司令部はこの桜の開花と共に出発し、覚悟を新たに司令部隊員が一丸となって任務に精励します」。初代司令官の重責を担う南雲憲一郎空将は、檀上でこう誓った。

 3月24日、陸・海・空自衛隊を一元的に指揮する常設の「統合作戦司令部」が、約240名態勢で市ヶ谷に新編された。防衛省での新編行事は、来賓に防衛大臣以下高級幹部、歴代防衛大臣や国会議員、駐日米臨時大使、在日米軍司令官、豪統合作戦本部長、30カ国以上の在京武官や軍関係者等を迎えて盛大に行われた。また司令部隊員の家族を招待し、防衛省・自衛隊への理解を深めてもらった。
平素から有事までシームレスに事態対応
 隊旗を授与した中谷元・大臣は「あらゆる事態に対して24時間365日、柔軟かつ迅速に対応できる体制を構築してほしい」と訓示し、「(統合作戦司令部発足は)歴史的な意義を持つものだ。その自信と誇りを胸に、自らの使命の重要性に思いを致し、高い規律と緊張感を保ちながら任務に精励されることを切に望む」と激励の言葉を贈った。
 南雲司令官は、「平素から有事に至るまで、シームレスに事態へ的確に対応することになる。我々はこの重要な任務、責務、役割を防衛大臣の指揮の下で的確に果たすべく、より精強で健全な部隊を不断に追求する」と力強く述べた。
「統合運用体制強化の一丁目一番地」
 吉田圭秀統合幕僚長は、「防衛省・自衛隊が進める統合運用体制の抜本的強化における一丁目一番地が、本日の統合作戦司令部の新編だ」と発足の意義を強調。南雲司令官については、新編準備委員長を務めたことに加え、「昭和の義理人情と令和の先進的な知性を併せ持つ、まさに初代統合作戦司令官として陸海空自の中で最適任者だ」と太鼓判を押した。
 常設の統合作戦司令部は、これまでの陸海空自に加えて宇宙・サイバー等の領域を広範囲に指揮するため、平時から領域横断作戦の能力を練成でき、統合運用の実効性を向上できる。また、在日米軍を再編成して新設予定の「統合軍司令部」をカウンターパートに、より緊密な連携が取れることで日米対処能力の強化を図る。会見で南雲司令官は「これまでの共同訓練の成果・教訓を踏まえて、共に力を結集して、日米共同作戦能力の進展を図っていきたい」と述べた。
<統合作戦司令部のシンボルマークを披露>
 統合作戦司令官最先任の佐藤大和准陸尉が除幕し、副司令官の俵千城海将から「司令部が信条とする『一源三流』を表現」と説明。一源三流について南雲司令官は式辞の中で「我々は誠の心を源として、ひとつ、一身の利害を超えて公に尽くすことを誇りとし、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって国民の負託に応える。ひとつ、戦わずして勝つ。戦わば勝つ。このため切磋琢磨し、組織力を鍛え、厳正な規律と精強さを追求する。ひとつ、仁愛を持って人を大切にし、明るい気風と相互信頼の中に健全なる組織を共に育む。この一源三流を心の拠り所として、国防の任務に当たる」と意気込みを語った。

中谷大臣、英大臣と会談

日英間の一層の連携深化で一致

(防衛省提供)

写真:握手を交わす中谷大臣(右)とラミー大臣=防衛省提供


 中谷防衛大臣は防衛省で3月6日、訪日中のラミー英外務・英連邦・開発大臣の表敬を受けた。

 会談では冒頭、中谷大臣が訪問を歓迎する旨を述べ、ラミー大臣からは訪問実現に対する謝意が示された。地域情勢について意見を交わし、アジアおよび欧州の最も緊密な安全保障上のパートナーとして相互に一層連携を深めていくことで一致。欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障が不可分であるとの認識も共有した。

 さらに両大臣は、今年計画されている英空母打撃群の日本を含むインド太平洋地域への派遣やグローバル戦闘航空プログラム(GCAP)などについて触れ、日英間の安全保障上の協力が深化していることを歓迎した。

陸自がフォーラムを開催 産官学の連携強化図る

_陸自フォーラム

写真:基調講演を行う森下陸幕長


 2月18・19日、東京の三田共用会議所で「令和6年度陸上自衛隊フォーラム」が行われた。平成26年の初開催から22回目となる今回は「ウクライナにおける戦争が陸戦に及ぼす影響と課題」がテーマ。陸自は、将来戦に向けて「国家総力としての研究開発速度」に危機感を持つ。本フォーラムでは防衛省・自衛隊関係者のほか、他省庁、企業関係者、協力団体、同盟同志国の軍関係者ら約1000人が参加して産官学による連携強化を図った。2日にわたり、基調講演やパネルディスカッション等が行われたほか、防衛関連企業約40社による無人機やAI関連の展示会も設けられた。

 開会にあたり廣惠次郎教育訓練研究本部長は、ウクライナ戦争の教訓から「産官学の知見を結集し、未来に向けた具体的な施策が不可欠だ」と述べた。続く基調講演では、森下泰臣陸上幕僚長が将来の陸自の方向性を説明し「戦場の変化に適合するための試行錯誤や、新技術の実践・投入までの時間を短縮する方策が不可欠だ」と述べ、本フォーラム開催の意義を強調した。


吉田統幕長と豪軍司令官会談

インド太平洋に平和と安定を

吉田統幕長と豪軍司令官会談

握手を交わす吉田統幕長とジョンストン豪国防軍司令官


 2月5日、吉田圭秀統合幕僚長は豪国防軍司令官のデイビッド・ジョンストン海軍大将と防衛省で会談した。ジョンストン司令官が昨年7月に着任して以降、参謀総長等会議で3度顔を合わせている他、VTC(ビデオ会議)も含むとほぼ毎月1度は意思疎通を図っており、吉田統幕長は「これは同盟国の米国と同様の頻度であり、豪軍が自衛隊の同志国の中で別格の存在であることの証左だ」と述べた。さらに、中東や欧州と同様な事態がインド太平洋地域でも生起する可能性を排除できないとし、「インド太平洋の平和と安定の中核は、日豪米の3国間の協力関係にある」と強調した。ジョンストン司令官も「この地域において、日豪と米軍やインド太平洋諸国が協力して、より安全かつ安定した地域環境を実現していきたい」と応じた。


全国でここだけ
凧揚げできる飛行場
<霞目駐屯地>

大空高く舞い上がれ!

飛行場に舞う凧

飛行場に舞う無数の凧


 霞目駐屯地(司令・松元三展1陸佐)は、1月11日に駐屯地を一般開放し、「Kasuminome Kite FESTIVAL」を開催した。

 本イベントは、霞目飛行場周辺町内会連絡協議会と共催で毎年行っている新春の行事であり、今年で49回目を迎えた。これまでは「凧揚げ大会」と称していたものの、「全国で唯一、飛行場で凧揚げができる」という珍しさを売り出して、今後、より多くの人に参加してもらえるよう、今回、名称を変更して開催した。また当日は、オリジナル凧の制作と滑走路での凧あげに加え、格納庫での多用途ヘリの見学なども行った。

 来場したお客様からは、「毎年、子供と楽しみにしているんだよ」「カラフルな凧がキレイだね」というコメントもあり、皆さん思い思いにイベントを楽しんでいただいた。

 子供たちの笑い声が飛び交う中、今年一年の平和を願う想いを乗せて、大空高く凧が舞い上がる一日となった。


海自1空群
初訓練飛行

P1等9機整斉と

 前日の荒天が嘘のように晴れ渡った令和7年1月10日、鹿児島県に所在する海上自衛隊鹿屋基地(第1航空群司令・大西哲海将補)で令和7年鹿屋航空基地初訓練飛行が行われ、P‐1哨戒機3機・SH‐60K哨戒ヘリコプター3機・練習機TH‐135・3機が、滑走路から指宿沖方面へ飛び立って行った。

 それに先立ち行われた格納庫内での式典で約300名の隊員を前に大西司令は「いかなる事態にも適切に対応するための態勢を整えるとともに、明日、生起するかもしれない戦いに備えておく必要があり、状況の変化にも柔軟に対応できる能力が求められている」などと訓示した。

 鹿屋基地が担任する東シナ海や西太平洋では、軍事力を急速に増強する中国の活動が活発化させている。そのような安全保障環境下で勤務するにあたり大西司令は、日頃から各種情報収集に努め、常に全力発揮が可能な状態を維持する必要がある、任務・業務、災害・救難に、また平素とその先にあるいざという時の有事に対応するために、鹿屋基地所在の各部隊・隊員が一致団結・切磋琢磨し助け合わなければならない、と要望した。


日米防衛相会談

抑止力・対処力を一層強化

日米防衛相会談

握手を交わすオースティン米国防長官と中谷防衛相


 12月10日、中谷元・防衛大臣は防衛省で、オースティン米国防長官と40分間にわたり会談を行った。両大臣は日米同盟の抑止力・対処力を今後も一層強化していく必要性について確認した。

 中谷大臣は、オースティン長官が在籍4年間で日米同盟の抑止力・対処力を強化し、確固たるものにしたと敬意を表した。また自身の着任2カ月を振り返り、「オーストラリア、韓国を含めた多国間協力が進展していることを実感している」との手応えを示した。

 オースティン長官は「オーストラリアや韓国、その他のパートナー国との連携を進展させることができた。今後もその成果を積み上げていく決意だ」と応じ、拡大抑止についても「日本と韓国に対するアメリカのコミットメントは揺るぎない」と強調した。