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英国サイバー・特殊技能作戦コマンド司令官と会談

内倉統幕長「一層緊密かつ強固な関係に」

写真=内倉統幕長とホッケンハル英サイバー・特殊作戦技能作戦コマンド司令官


 9月2日、内倉浩昭統合幕僚長は、英国サイバー・特殊技能作戦コマンド司令官のジム・ホッケンハル陸軍大将と会談した。ホッケンハル司令官の来日は約2年ぶり。

 英国は、今年6月に「戦略的防衛見直し(SDR)」の改訂を公表し、それに伴って統合作戦・情報・サイバー・宇宙を管轄する「英国戦略コマンド」から、「英国サイバー・特殊技能作戦コマンド」に名称を変更した。内倉統幕長は、SDRの改訂に触れ、「NATOファーストを掲げつつも、インド太平洋地域におけるコミットメントや、同地域における日英関係の重要性についても言及されている」と評価した。そして、「アジア、欧州における相互に最も緊密な安全保障上のパートナーである貴国との協力を一層緊密かつ強固なものにする機会としたい」と述べた。ホッケンハル司令官は「両国がこれまで築いてきた関係をより強固に育てていくことが、私どもの任務だ」と述べた。

 日栄防衛協力関係はかつてないほど緊密になっている。内倉統幕長からは、2021年の英空母打撃群の海外展開(CSG21)における海自との共同訓練、2022年12月の日英伊3カ国による次期戦闘機の共同開発(GCAP)の公表、2023年11月に実施した陸軍種間実動訓練「ヴィジラントアイルズ23」において、「日英円滑化協定(RAA)」が初めて適用されたこと、今年8月29日、CSG25の旗艦である英空母「プリンス・オブ・ウェールズ」が横須賀と東京に入港し、その艦上で衛星通信協力に関する署名が行われたこと等が紹介された。


齋藤海幕長は豪海軍本部長と

写真=齋藤海幕長とハモンド豪海軍本部長


 9月1日、齋藤聡海上幕僚長は、防衛省でオーストラリア海軍本部長マーク・ハモンド海軍中将と会談した。ハモンド豪海軍本部長の来日は約1年ぶり。

 齋藤海幕長は「地域の安定のために、オーストラリア海軍との間で強固な連携に取り組めていることに感謝する」と歓迎。2023年8月に発効した、部隊の往来手続きを簡素化にする「日豪円滑化協定」が、艦艇の寄港等で活用されていることに触れ、「今後さらに両海軍種間の連携強化が発展していくこを希望する」と期待感を示した。特に先日、豪政府が次期汎用フリゲート艦に海自の護衛艦「もがみ」型の能力向上型を選定したと発表。これについて「単なる装備移転にとどまらず、日豪海軍種間の相互運用性強化を推し進めることにより、地域の抑止力を高め、ひいてはその地域の平和と安定の向上に寄与する素晴らしい取り組みだ」と述べた。ハモンド豪海軍本部長は「オーストラリア海軍の『もがみ』型フリゲート計画は、我々の能力強化に貢献するものだ。これは非常に高性能で世界をリードする設計だ。これまでにない形で両海軍種の関係を強化する機会が得られたことを誇りに思う」と応じた。その後のブリーフィングでは、安全保障環境等の情報認識の共有や、日豪海軍種間の連携の方向性について議論された。また7月11日に締結された、日米豪海軍軍種間のロジスティクスを支援するための取組みの強化に関する内容の説明等が行われた。

UNMISS出国

写真=荒井陸幕長に抱負を述べる2名


 国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)司令部要員2名が、同国の首都ジュバに向けて、8月20日に荒井正芳陸上幕僚長に対して出国報告を行った。

 情報幕僚として勤務する岩﨑修治3陸佐は、「しっかりと落ち着いて、国連の平和構築に少しでも尽力できるように着実に一歩一歩進んでいきたい」と抱負を述べた。

 初めての海外勤務だという菊地正悟3陸佐は「不測事態を考えながら安全に任務を遂行し、少しずつ慣れていきたい」、「6月に第2子が生まれたので、テレビ電話や一時帰国をして良好な家族関係を維持したい」と述べた。

 荒井陸幕長は「これまで陸上自衛隊が培ってきた伝統や知見、先輩たちの貢献度を信じて、自身の実力をしっかり発揮してほしい。大いに期待している」と2人を送り出した。

 情報幕僚の岩﨑3佐は、従来のデータベース保守管理業務に加え、6月の閣議で決定した分析業務も行う。

TPP(施設)帰国

写真=荒井陸幕長に帰国報告する教官団4名


 防衛省・自衛隊が、国連・支援国・要員派遣国の三者が協力して、将来PKOに派遣される要員の能力向上を図る枠組み「国連三角パートナーシップ・プログラム(TPP)」に防衛省・自衛隊が参加して、今年で10年目を迎えた。8月22日、この取組の一環で、ケニアにおいて同国および周辺国の工兵に対する教育を行った教官団の団長・辻本和久2陸佐以下4名が、荒井陸幕長に対して帰国報告を行った。

 教官団の陸上自衛官23名は、6月中旬から8月初旬まで、首都ナイロビ市内の人道平和支援学校において実習生にPKOにおけるインフラ整備、宿営地等の造成等に必要な知識及び技能を教育した。

 荒井陸幕長は、「しっかりケニアの工兵要員を教育してくれたと報告を受けている。非常に良かった。2カ月間お疲れ様でした」と労いの言葉をかけた。教官団は充実した表情を見せながら以下の通り感想を述べた。

・辻本2佐(団長)「10周年のワークショップで他の支援国の人の前で説明を行う等貴重な経験ができた」

・浪花2尉(企画管理幹部)「国は違っても目指しているところは一緒なのだと感じた」

・廣部1曹(総括教官)「実習生は非常に勤勉で訓練がやりやすかった」

・伊藤3曹(操作教官)「課業外でも実習生と交流が持てて非常に良かった」

 TPPは、平成27年に始まった「アフリカ施設部隊早期展開プロジェクト(ARDEC)」を前身として、今では対象をアフリカ諸国のみならず、アジア諸国においても実施している。


第1師団長に
堺陸将が着任

写真=堺第1師団長


 8月1日、第42代第1師団長として堺一夫陸将が陸上総隊司令部幕僚長から着任した。

 堺師団長は練馬駐屯地に到着後、駐屯地慰霊碑及び頭号師団慰霊顕彰室において献花し、殉職隊員に哀悼の誠を捧げた。その後、儀じよう隊による栄誉礼を受け、厳粛な雰囲気のなか着任行事が執り行われた。

 着任式はVTC(テレビ会議)形式で実施され、堺師団長は師団の全隊員に向けて訓示を述べた。

 師団長は冒頭「近年の安全保障環境の変化は著しく、戦い方の進化は我々の想像をはるかに超える速度で進行している」と述べ、時代に即した柔軟な対応の必要性に言及し、そのうえで「新たな情報を積極的に取り入れ、最新技術を活用し、常に運用を見直しながら進化していくことが、任務達成の鍵である」と強調した。

 加えて「どれほど装備や技術が進歩しても組織の力の源は『人』である」という考えを示し「人を大切にすること、隊員とその家族に心を配る組織であり続けることが何よりも重要である」と述べた。

 さらに「人も組織も、経験だけでは進化しない」と述べ「各人がそれぞれの立場で具体的な目標を掲げ『一生懸命』努力し続けることが、自らの成長と部隊の力につながる」と述べ、全隊員に対する要望事項を「一生懸命」とした。

 また陸上作戦の遂行には「国民の理解と信頼が不可欠」とし、各駐屯地の方針に基づいた地域との良好な関係づくりにも引き続き努めていくよう呼びかけた。

 最後に堺師団長は「第1師団の全隊員とともに『任務完遂』を目指し『一生懸命』精進していく」と力強く誓い、着任の辞とした。

 堺師団長の熱意と覚悟に満ちた訓示を受け、師団の隊員もその想いを真摯に受け止め、急速に変化する時代の中でも自らの使命の重さを再認識し、責任感と頭号師団の誇りを胸に、一人ひとりが「一生懸命」任務に向き合う決意を新たにした。

20連隊長に南條1陸佐

写真=南條第20普通科連隊長


 8月1日付で第33代第20普通科連隊長として、国際平和協力センター(市ヶ谷)より、南條衛1陸佐が着任した。

 8月1日、南條1佐は神町駐屯地慰霊碑に参拝した後、副連隊長以下の幕僚・各中隊長が迎える中、初登庁した。

 同日、駐屯地営庭において着任式が実施され、立会官(第6師団長・若松純也陸将)による着任連隊長の紹介が行われた。引き続き南條1佐は着任の辞を述べ、統率方針に「常在戦場」を示し、「情熱と執念」を要望事項とすることを伝えた。

 連隊は新連隊長を迎え、新たな統率方針のもと、最も強く信頼される連隊としていついかなる任務にも即応完遂することを誓った。

機略縦横(101)

教育こそが闘い

航空自衛隊 第12飛行教育団
准曹士先任准空尉 杉尾 勉

 教育を主たる任務とする我が部隊において、教育は闘いだと日々感じています。自分との闘い、被教育者との闘い等様々ですが、教育こそが自衛隊の戦力維持に直結し、有事への備え、抑止力に繋がっていると考えると、教育こそが闘いなのだと信じてやみません。

 少子高齢化が叫ばれる現代にあって、人材確保が課題であると同時に人材育成は最重要課題です。「教えているけど出来ない」「やらせてみたけど不器用」「自分がやった方が早い」などなど指導、教育する側のこのような声をよく耳にします。しかし、私たちが諦めていては後輩は育ちませんし、自衛隊の戦力低下に繋がります。「今の若者は…」と言っている指導、教育する私たち世代も若い時はそうだったはずなのです。大日本帝国海軍の山本五十六元帥が残した「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」という言葉は、まさしく、今も昔も人を育てる立場にある者が心に留め、実践しなければならない言葉です。根気強く機会を与え、信頼し若者と共に成長していく事こそがこの組織には必要だと感じています。

 将来の日本のために、自分なりの最善の教育方法等を見つけ後輩を育てる教育という名の闘いに挑みましょう。国民から期待される自衛隊であるために、常に教え、備えましょう。全ては愛するこの美しい日本のために!


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