2025年8月15日 の記事
新統・陸・空各幕僚長が着任

写真=栄誉礼・儀じょうを受ける内倉統幕長(円内)=8月1日、防衛省で
方針示す
新旧の統合、陸上、航空各幕僚長の離着任関連行事が8月1日、東京・市ヶ谷の防衛省で行われ、第8代統合幕僚長に内倉浩昭空将(前航空幕僚長)、第40代陸上幕僚長に荒井正芳陸将(前西部方面総監)、第38代航空幕僚長に森田雄博空将(前航空支援集団司令官)が新たに着任した。各幕僚長はそれぞれ、着任の辞で方針を示した。吉田圭秀前統幕長、森下泰臣前陸幕長と増田和夫前防衛事務次官は多くの隊員・職員の見送りを受け、省を後にした。
(8面に関連写真)
内倉統幕長
五つの「Ⅰ」
防衛省講堂で行われた着任式で、松永浩二統幕副長以下統幕勤務の約200人の幹部に対し、内倉統幕長が決意を述べた。
内倉統幕長は「我が国は現在、二つの重大なリスクに直面している」と述べ、「地政学的リスク」と「大規模自然災害のリスク」を挙げた。
「ロシアによるウクライナ侵略は長期化し、中東での軍事衝突の拡大、さらにはインド・パキスタン間、タイ・カンボジア間においても短期間ながら軍事衝突が生起した。我が国周辺でも中国の軍事活動の拡大・活発化、北朝鮮のミサイル発射の継続に加え、中露及び露朝の連携等が一層顕著になっており安全保障環境はかつてないほどの厳しさと不確実性を呈している」と指摘。
また「首都直下地震、南海トラフ地震、台風や豪雨など予見困難かつ激甚化する災害への万全の備えは、喫緊かつ継続的な課題だ」と語った。
「今この瞬間も多くの自衛隊員が我が国周辺の陸・海・空域に加えソマリア沖・アデン湾やシナイ半島、南スーダンをはじめとする世界各地、さらには宇宙・サイバー領域において我が国の国益を守り、他国との信頼関係を構築し、安全保障環境の改善に資する活動に従事している。即応態勢を堅持しつつ防衛力強化のための厳しい訓練に汗を流している。そのような彼ら彼女らとともに、戦略レベルで自衛隊をけん引している統合幕僚監部で勤務する諸官に対し、改めて深甚なる敬意と感謝を表する」と隊員らもねぎらった。
「(3月に)統合作戦司令部が創設され、統合運用体制は新たな段階へと移行し実任務や訓練を通じて進化を続けている。しかしながら、国家防衛戦略が掲げる『我が国が主たる責任をもって対処し、侵略を阻止・排除できる』体制を構築する2027年までの残された時間を踏まえれば、一層のスピード感をもって防衛力の抜本的な強化を推し進めなければならない」とも言及した。
「統合幕僚監部と統合作戦司令部を中核とした統合運用体制の最適化と実効性向上」を目標に掲げ、アルファベットのI(アイ)で始まる五つの柱(※)を指針とする意向も表明。
「私自身もこの五つの『I』を常に意識し率先して行動することで、我が国の平和と独立を断固として守り抜き、国民の負託に応え得る統合防衛力を構築するとともに、いかなる逆境にも冷静かつ果敢に立ち向かう強靭さと、困難にある人々に寄り添い必要な支援を提供できる利他の精神と能力を兼ね備えた自衛隊を諸官と共に築き上げてまいる」と決意を述べた。
※五つの「Ⅰ」の柱
Integration(一体化)
Interoperability(相互運用性)
Inter‐connectivity(連結性)
Intensity(強度)
Innovation(変革)