自衛隊ニュース
陸上自衛隊教育訓練研究本部長が訪米
研究開発や教育訓練めぐり議論
陸上自衛隊と米海兵隊の
研究開発・教育訓練機関の間で
新たな懇談枠組みを設立
写真=左からオースティン中将、廣惠陸将、ワトソン中将
陸上自衛隊教育訓練研究本部長(当時)の廣惠次郎陸将は6月3日、米国バージニア州クワンティコ基地を訪問し、米海兵隊総司令部戦闘開発統合部長オースティン海兵隊中将及び米海兵隊訓練教育コマンド司令官ワトソン海兵隊中将と会談した。
オースティン氏とワトソン氏は昨年2月も訪日して廣惠陸将と会談している。この背景としては教育訓練研究本部による米海兵隊関係機関との関係強化に対する働きかけがあり、両氏による昨年2月の訪日もその熱意に応えて、両者間で新たな懇談枠組みを設立するための意見交換を目的としたものだった。
新たな懇談枠組みの名称は米海兵隊側により「日米能力開発幕僚懇談(CDST:Capabilities Development Staff Talks)」と命名され、今年6月初旬の初開催へと至り、「将来作戦構想(コンセプト)」、「部隊実験」、「ウォーゲーミング」、「装備品等の近代化」、「ドクトリン」、「訓練手法・環境」、「教育手法・環境」、「教訓」等、研究開発及び教育訓練に係る多岐にわたる事項について、日米双方の取組みの現状、解決すべき課題、連携を深化するための具多的な施策等について積極的な意見交換が行われた。
米陸軍とは覚書を締結
変革に向かう米陸軍との関係深化に向けて廣惠陸将は、米海兵隊基地訪問直後の6月5日、同じく米国バージニア州に所在するユースティス統合基地内の米陸軍訓練教義コマンド(TRADOC)本部を訪問し、同司令官ブリトー陸軍大将と会談した。両氏はこれまで数回非公式に顔を合わせていたが、本部訪問を伴う形では初会合であった。
主な訪問目的は、平成19年(2007年)以来継続されてきた「日米訓練教義会議(TDT:Training and Doctrine Talks)」への参加であり、この場ではドクトリン開発や下士官教育、戦略環境に対する軍事的知見に関する意見交換が行われた。
また、共通した作戦環境認識を通じて相互運用性を向上させるため、日米及び多国間で実施する教育訓練で使用する仮想空間の使用について合意し、両氏の間で覚書が締結された。
米陸軍は、今年4月末に国防長官により発出された指示文書により変革の時を迎えており、その中には訓練教義コマンド(TRADOC)と将来コマンド(AFC)の統合も含まれる。廣惠陸将は「米陸軍関係機関との連携は、我が国の有事対処能力向上のため極めて重要であり、今回の訪米に伴う会談を通じて、変革に向かう米陸軍との一層の関係深化に寄与することができた」と語った。
長きにわたる国防の任 ありがとうございました
笑顔、涙、嵐の中で離任・退官行事(8月1日市ヶ谷)
写真=抱き合う盟友 吉田前統幕長と増田前事務次官
8月1日、防衛省では着任行事(1面掲載)と一緒に離任・退官行事も行われ、国防の任を全うした退官者たちは多くの人に見送られながら、最後は笑顔で思い出の詰まった市ヶ谷台を後にした。
准曹士先任交代式<空自幹部学校>
写真=笑顔の集合写真
7月25日、航空自衛隊幹部学校(学校長・船倉慶太空将=当時)で准曹士先任交代式が行われた。5年4ヶ月の長きに亘り「よき仕事は、よき心から生まれる」という言葉を胸に目の前の務めに真摯に向き合ってきた太田元貴准空尉は、「不易流行」の考えを持って業務に邁進するという柴田忠尚准空尉に太田准尉の思いと先任業務を託した。
交代式に先立ち、船倉学校長から太田准尉に3級賞詞が渡された。
交代式で船倉学校長は「太田准尉の経験と卓越した機能に裏付けられたその行動は、指揮官として大変頼もしく十二分に私の信頼に答えるものだった。准曹だけでなく幹部も太田准尉の元に相談に訪れていたことも知っている。本校の隊務運営に大変重要な役割を果たし、貢献してくれた」などと感謝の言葉を送った。太田准尉の目には光るものが見え、講堂の中は、柔らかく温かい空気で包まれていた。
また、柴田准尉には「新学校長とオリジナルの特別な関係を築いてください。そして学校職員全員と一致団結、学校任務の達成に向けて邁進してください」などと要望した。引き継がれた先任の職責は、新たな視点とともに航空自衛隊員幹部学校の更なる飛躍に寄与することだろう。
機略縦横(99)
中央会計隊最先任上級曹長
准陸尉 加賀谷 正行
人を大切に‼
2024年における日本人の出生数が統計開始以来、初めて70万人を下回る約68・6万人という報道がありました。私が生まれた1972年の出生数を調べてみると約203万人だったので、約50年で1/3の出生数になったことになります。この少子化は自衛隊のみならず、現在、我が国にとって大きな問題となっています。
官民問わずに人手不足と言われる現代において、人(人材)がいなければ、当然、人を育てることはできません。
現在、自衛隊では人材確保や人材育成に向けた様々な取り組みがなされています。また各部隊の最先任上級曹長、先任上級曹長についても様々なアプローチから人材育成に取り組んでいます。
どんなに高性能な装備品を保有していても、またAIやDX化が進化しても、自衛隊の骨幹をなすものはマンパワーすなわち「人」であると思います。
私も含め隊員一人ひとりがこれからも自衛官として必要な体力、気力、知識、技術等の識能を高めていくとともに、また一社会人として人を大切にする気持ちを忘れず、思いやり、やさしさ、謙虚さ、感謝の気持ちをもって、未来の後輩のため、未来の自衛隊のために今できることを一つ一つ積み上げていきたいものです。