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能力構築支援事業で国際貢献
パプアニューギニアに演奏技術指導

写真=出国報告をする鈴木聡3陸佐(前列左)


 陸上自衛隊中央音楽隊の隊員ら8名は、8月18日からパプアニューギニアで同国軍楽隊に対する演奏技術指導等の能力構築支援事業を行っている。2015年から始まった同事業は、軍楽隊創設を文字通りゼロから支援するもので今年で10年目を迎えた。

 これまでに何度も両国の隊員が行き来して訓練を積んできた。事業を開始して3年半後の2018年11月には、目標としていた自国開催のアジア太平洋経済協力会議(APEC)での夕食会で各国の首脳を前に演奏を披露した。また2022年11月には自衛隊音楽まつりに初めて参加、多くの聴衆から拍手喝采を浴びた。今派遣中の9月5日と6日には、パプアニューギニア独立50周年記念行事の一環として初めて国際軍楽祭(ミリタリータトゥ)を、陸自中央音楽隊を含む各国軍楽隊を招待して開催する。

 7日、派遣隊員が防衛省を訪れ金子容三大臣政務官に対して出国報告を実施した。金子政務官は「これまでの事業と同様にきめ細やかで親身なサポートを実施していただき、パプアニューギニア軍楽隊がさらに演奏技術を高めてくれることを期待しています」と激励した。今派遣の訓練期間は9月19日までを予定している。


モンゴルに土木・建築技術指導

写真=金子政務官が派遣隊を激励


 8月下旬から9月中旬にかけて陸上自衛官ら12名が、国連平和活動(PKO)に派遣を目指すモンゴル軍工兵部隊に対して、宿営地整備に必要な土木・建築技術に関する技術指導を行っている。同国に対する施設分野における能力構築支援事業は2014年から続くもので、同国が米軍と共催し2015年から陸自が参加する国連PKOに関する多国間訓練「カーン・クエスト」と共に、両国の協力関係推進に寄与する重要な事業だ。

 8月18日、モンゴル駐在武官の経験をもつ派遣隊長の入耒2陸佐(施設学校・インド太平洋参事官付)らが金子政務官に対して出国報告を実施した。金子政務官は「これまで培った経験と知見を十分に発揮し、ノウハウをしっかりとモンゴルの参加者に共有し、きめ細やかな対応をしてください」と激励した。

 同国に対する能力構築支援は、今回の施設分野以外にも人道支援・災害救援の衛生分野や、航空管制についても実施している。


DX推進集合訓練
第3施設団

写真=アシスト装置付油圧ショベル


 第3施設団(団長・鹿子島洋陸将補=当時)は、7月14日から18日までの間、南恵庭駐屯地及び南恵庭訓練場において、新規事業である「DX推進集合訓練」を実施した。

 第3施設団は、令和3年度以降、全国施設科部隊に先んじて、任務遂行能力を格段に向上させるために、施設作業等における「ゼロレスカジュアリティ」、「作業速度・意思決定速度の向上」を狙いとしてDXの推進に取組み、各種ICT器材の活用等、今年6月に、指揮幕僚活動及び一部の施設作業についてDXモデルを確立した。

 本訓練は、団隷下部隊へ識能を斉一に普及するとともに、底辺の拡大を図ることを目的とし、中・小隊長及び現場でICT器材を運用する陸曹を対象に実施した。

ドローンの情報を3D化

映像伝送でリアルタイム状況共有

 導入として、DXの概要、団のDXに係る取り組み、地誌資料のデジタル化及び施設作業におけるDXモデルを教育した後、各モデルごとに、実習を行い、ウェアラブルカメラ、LTEルータ、衛星等を使用した映像伝送、測量用ドローンを使用した地上偵察・測量、画像処理ソフトを使用した3D地形データの作成及びデータの活用方法等のほか、地理情報システムによるArcGIS等を使用した施設見積、施設情報に係る共通作戦図による情報共有及びアシスト装置付(マシンガイダンス・マシンコントロール)油圧ショベル操作を実機を用いて訓練した。

 7月17日及び18日には総合実習として、陣地構築及び障害構成について、測量用ドローン偵察により取得した画像データを3D化、その地形データを活用して関係部隊と調整してマシンガイダンス等により作業を実施するとともに、作業の映像を指揮所へ伝送し、リアルタイムに状況把握する一連の行動を演練した。

 本訓練には、施設学校、各施設団及び北部方面隊内の施設科部隊から合計227名の研修者を受け入れた。各部隊等の代表たる隊員は、DXを施設作業等に取り込んだDXモデル及びICT器材の運用要領について、意欲的に吸収するとともに、意見交換を活発に行っていた。

 我々を取り巻く各国の軍事技術は刻々と進化する中、DX推進は急務であり、第3施設団は、これからも先進技術を積極的に取り入れた施設作業を創造し、日々深化と技術の錬磨にまい進する。

機略縦横(100)

更なる人材育成の重要性

海上自衛隊航空集団先任伍長
海曹長 高橋 充

 「2030年問題」というワードを聞いたことがありますか?2030年問題とは、労働人口の急激な減少により企業経営に深刻な影響をもたらす社会課題の一つです。我々自衛隊も例外ではありません。高齢化率が30%を超え、人材獲得競争が激化する中においてすでに募集難により入隊者数が減少している状況にあることは皆さんも認識されていることだと思います。これらに対応するためには「人材育成の強化」「職場環境の見直し」などが重要になってきます。人員不足に対しては省人化も解決策の一つであると思いますが、限りある人材に対して一人ひとりの能力底上げが組織全体の適応力向上につながります。人材育成は「業務が忙しい」等で後回しにされがちですが、モチベーション向上、双方向のコミュニケーション、適切なフィードバック等、育成スキルを高めていくことが大切です。

 そして、働きやすい職場環境を構築し、隊員の離職率の低減を図っていきましょう。

 引き続き、航空集団先任伍長として指揮官の意志と同じ方向へ曹士隊員を導くとともに、後輩隊員の「育成」に火傷するほどの熱量で邁進していきたいと思います。

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