自衛隊ニュース

トウチとさくら
農大でPR<世田谷>
東京地方協力本部世田谷募集案内所(所長・今井1陸尉)は5月14日、世田谷区の東京農業大学で開催された公務員イベント「公務員でジモトに帰ろう!」に参加した。
本説明会は、各県・地域の各種公務員が集まり学生が講義等の合間に各ブースにおいて話を聞くという全学生を対象とした学校初のイベント。
参加者から自分が将来何をしたいのかよく分からないといった声が多く聞かれたため、自衛隊ブースにおいて広報官が各学生の希望及び将来のライフプランを確認し、ニーズに合った説明を懇切丁寧に実施した=写真。
学生からは「自衛隊の処遇の良さを確認することができた」、「自衛隊の印象が変わった」、「自衛隊の仕事の多様さに驚いた」、「自衛官という進路も、将来の選択肢の一つとして前向きに検討したい」といった積極的な声を聞くことができた。
世田谷募集案内所は、今後も学校や募集対象者のニーズに応じた活動を行うとともに、地域に密着した活動を実施して防衛省・自衛隊に対する理解の促進を図っていく。
ラーメンSで<立川>
東京地方協力本部立川出張所(所長・星2陸尉)は6月14日、JR立川駅南口に直結する複合商業施設「アレアレア2」内のラーメンスクエアにおいて、海自東京音楽隊の協力のもと広報イベントを開催した。
立川出張所は迷彩服等の試着体験やVR体験、トラックゲーム等を展開。来場者が楽しみながら自衛官と交流する場を設定し、イベント進行の合間に音楽隊によるミニコンサートを組み込んだ。
東京音楽隊は今年2月に活動拠点を世田谷区から立川市へ移転し、立川市街地での初めてのお披露目の場となった。
ミニコンサートは1回30分の演奏を計3回実施。各回で演奏曲目を変える工夫により、幅広い年代の来場者が長時間にわたって楽しめる内容となった。ステージ横には記念撮影用のタペストリーを設置し、演奏服を試着して撮影する来場者が絶えなかった。
立川出張所のイベントには毎回、自衛官募集相談員等の協力も得ており、今回も試着体験やミニゲーム等の運営補助に加え、来場者に自衛隊に関する豆知識を紹介するなど、イベント全体の盛り上げに大きく貢献していただいた。
立川出張所は今後も部隊や協力者と連携のもと各種施策を展開し、幅広い層への理解浸透と関心喚起に努めていく。
日本防衛の核心としての自衛官
‐人的基盤はいかにあるべきか‐
<第1回>
笹川平和財団日米・安全保障研究ユニット総括・交流グループ長 河上康博
写真=(左から)河上康博笹川平和財団日米・安全保障研究ユニット総括・交流グループ長=元海将補、柴田弘前防衛装備庁装備官=元海将、ライター/防衛問題研究家・桜林美佐氏、山崎幸二前統合幕僚長=元陸将、黒江哲郎元防衛事務次官(座長)、中谷元・防衛大臣、角南篤笹川平和財団理事長、村川豊元海上幕僚長=元海将、宮川正元情報本部長=元空将、柴山真里枝笹川平和財団総括・交流グループ研究員
政策を提言
現在、日本、そして自衛隊を取り巻く環境は急速に変化している。
すなわち、日本を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しく複雑なものとなり、また、現代戦は、新領域(宇宙、サイバー、電磁波)へ向かうであろうとの予測を裏切り、兵士や重火器を中心とする旧領域をも含む新旧領域のハイブリッド戦となっている。
そして日本国内では少子化による急速な人口減少が進む中での自衛官の募集難。
そうしたことから、特に日本はこれまで以上に「人」が防衛力の中核として問われる時代が到来している。
本シリーズでは、2025年5月に笹川平和財団が中谷防衛大臣に手交し、また記者会見および公開イベントで発表した政策提言の内容を、2024年12月に発表された「自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する基本方針」(以下、「基本方針」)を強く支持しながらも、人的基盤の強化は、大胆かつ新たな発想のもとで実施しなければならないとの思いから、「基本方針」の項目に含まれていない項目を中心に、多角的に掘り下げ提言したものを紹介する。
第1回は、提言の概要である。
本提言は、笹川平和財団 安全保障戦略のあり方(人的基盤の強化)研究会が取りまとめた。
そのメンバーは、黒江哲郎(元防衛事務次官、当研究会座長)、山崎幸二(前統合幕僚長)、村川豊(元海上幕僚長)、宮川正(元情報本部長)、柴田弘(前防衛装備庁長官官房装備官=海上担当=)、桜林美佐(ライター、防衛問題研究家)、そして、河上康博 (笹川平和財団日米・安全保障研究ユニット総括・交流グループ長、元防衛大学校教授)ならびに事務局として、河上康博、柴山真里枝(同研究員)、洞口雅恵(同主任)である。
提言書は、自衛官の処遇改善を含め、大きく3つの柱で構成している。
第1に「自衛隊を支える社会基盤の強化」である。生命を賭して国を守る自衛官という仕事が国民全体に広く理解そしてリスペクトされる社会を目指し、自衛官の処遇拡充に加え、日本社会全体への安全保障教育や広報活動の強化など、自衛官の仕事をより理解してもらうための取り組みを提案。
第2に「自衛隊自身の組織改革」として、自衛隊を戦闘に特化した組織に再編することや、予備自衛官制度の大胆な見直し。
第3に、「官民協力の推進」として、自衛隊のみならず社会全体が人手不足となる中、平時・グレーゾーン・有事いずれでも民間と協力できる体制作りが不可欠。
この3つの柱を基本コンセプトとして、8つの提言としてとりまとめた。
人なくして防衛力は成り立たない。今回の提言は、その現実に真正面から向き合う試みである。次回からは、8つの項目からなる政策提言『防衛力における人的基盤の強化にむけて』を掘り下げていく。
音楽隊に敬礼っ‼<第18回>
前陸上自衛隊中央音楽隊長 樋口 孝博
輝ける乗物と隊員たち
写真=2022年、ジブチの護衛艦上にて
「隣の芝生は青く見える」と言われるように、陸上自衛隊にいると海上・航空の人たちがカッコよく見えることが多々あります。2002年、韓国の軍楽祭に参加した中央音楽隊の初めてとなる海外演奏では、C‐1輸送機2機で移動しました。
日本国内で毎日のようにフライトをしているこの輸送機が初めて韓国を訪れるというのは、航空自衛隊にとっても画期的な事であったそうです。着陸した後には空自のパイロットやクルーたちが韓国空軍の熱烈な出迎えを受け、握手を続ける姿が実に美しく、カッコよく見えたのです。
海上自衛隊が運用する、南極観測船「しらせ」の壮行演奏を行なったときのこと。埠頭で見送る大勢の家族らが送る視線の先には、出港する船の甲板に立つ白い制服を着た海上自衛隊の隊員たちが一列に美しく並んでいます。そして全員が敬礼をした瞬間は、おそらくそこにいる全ての人たちが涙するほど凛々しく見えたことと思います。
また、小樽でのアメリカ航空母艦「キティーホーク」の見送りではなんと、映画「トップガン」のモデルとなったと言われるパイロット出身の艦長が、オーラに包まれながら挨拶に来てくださいました。音楽隊は演奏で返礼させていただきましたが、このときも甲板に並んだ海軍の兵士たちが、遠く見えなくなるまで整列を続けていたその姿に深く感動しました。
海上自衛隊の護衛艦の上で海上慰霊祭の演奏をしたこともありますが、あまりに揺れる甲板では直立することすら叶わず、足を斜めに開いて演奏せざるを得ませんでした。このような体験をして、初めて海上音楽隊の厳しさを知ることができたのです。
さて、音楽隊はヘリコプターに乗って移動することもあります。以前は「バートル(V‐107A)」でしたが、数十名の人員装具と楽器になるため2機で飛ぶことが多くありました。空中で隣のヘリを見ていると、上へ下へと大きく揺れ動いており、まるで巨大なエレベーターに乗っているような感覚になります。あるとき、上空で気分を悪くしてしまった隊員が出てしまいました。すると乗務員は即座に「大丈夫ですか! 今空気を入れ替えます!」と叫び、中央の扉を思い切り上へ開放したのです。その乗務員の判断に驚きつつ、空の上で空を見るという、あり得ない光景を体験することになりました。
大型ヘリの「チヌーク(CH‐47J)」が導入されると航行距離も長くなり、音楽隊も楽器とともに一機で飛べるようになりました。しかし、機内では耳にイヤーマフをつけるため全く会話ができなくなり、おまけにヘリ後部のハッチは常時開いています。そのため飛行中は雲が機内に流れてくる感覚になるのですが、ハッチのすぐ横には無線機をつけた乗務員が常に外を見ながら座っており、その姿には我々と違う異次元の頼もしさが感じられました。
群馬の第12音楽隊では、空中機動を生かしてヘリコプターから降下するリペリングを体験することがあります。春の創立記念式典には音楽隊が式典前の演奏をするのですが、その会議の席上で当時の師団長にこう提案しました。
「まず初めに、私がリペリングをしてヘリから降下します。そして背中に差した指揮棒を、佐々木小次郎のようにさっそうと抜いてぐるりと廻し…」それを聞いた師団長は一言、「隊長、やめとけ!」と笑いながら却下されました。それほどリペリングには、技術と体力を要するものなのでそうです。
結局その演奏では、大型トレーラーに乗った和太鼓チームと《八木節》のコラボ演奏をするに留まりました。和太鼓の音が遠くから近づいてくると、躍動感あふれる演奏に相まって観衆の目線はトレーラーの機動力に釘付けとなります。しかしその後に行われた、3台の74式戦車が動きながら形をつくりだす「戦車ドリル」や、数機のヘリコプターが空を舞う「展示飛行」の輝きには叶いませんでした。
今から遡る旅団改編前、平成8年のこと。