自衛隊ニュース

陸上自衛隊中央音楽隊
伝統を奏でる。
~北部方面隊区内巡回演奏~
写真=中音・北方音・11音合同による「ソーラン・ファンク」
7月29日、全国防衛協会連合会と北海道自衛隊協力会連合会主催による「陸上自衛隊中央音楽隊 スペシャルコンサートin札幌Kitara」が北海道札幌市中島公園にある札幌コンサートホールKitaraで開催された。
18時の開場と同時に今回からの入場用新システムが大活躍。陸自で作ったこのシステムは二次元コードを読み込み登録名と照合、入場者数も瞬時に分かるという優れものだ。これで、演奏会後の仕事が一つ減り、正に防衛省が掲げる人の負担を減らす「DX活用と人的基盤の強化を一体で推進」だ。
スペシャルコンサートは、サックスアンサンブルによるロビーコンサートから始まった。開演ギリギリに来た人の「もっと早く来ればよかった」と残念がる姿も見られた。今回のプログラムも2部構成で第1部は演奏班長山下顕3等陸佐の指揮、第2部は中音隊長志賀亨1等陸佐の指揮である。第1部の最初は、中音のために書き委嘱した「天つ矛~LightningSper~」凛とした国を守る自衛官の力を感じることができた。2曲目の「たなばた」は北海道の七夕の時期が8月7日だということでの演奏、年に一度迎える彦星と織姫のワクワク感や二人の会話が音にのって流れるような作品。次いで「アメージング・グレイス」これは多くに人の「救い」「癒やし」「希望」の象徴となっている讃美歌で、自衛官の優しさを感じられた。最後は、ミュージカル「レ・ミゼラブル」より7曲のメドレーで、ミュージカルとは違った吹奏楽の世界を堪能させてもらった。
休憩を挟んで第2部は、楽器ごとに分かれて演奏しながら入場するという「プロローグ・キルクス」から始まった。そして2曲目。今回6名の北海道出身者(サクスフォーン・本間曹長、ユーフォニアム・北條1曹、ファゴット・岩田2曹、オーボエ・今井3曹、クラリネット・榎本士長)が舞台に立ったが、その1人(ピアノ・三本木1士)が圧巻のピアノソロを演奏し、吹奏楽と合わさってとても厚みのある「ムーン・リバー」となっていた。優しく強い演奏の後は、今年2月に結成されたCBボーイズ(セントラルバンド・男性ボーカル)による「晴れたらいいね」の歌唱。手拍子で盛り上げ、一気に会場が一つになっていった。CBボーイズは日本武道館デビューを目標としているとか…。その後、息が止まるほど心を奮い立たせる演奏で「情熱大陸」を演奏。最後は北部方面音楽隊と第11音楽隊の隊員も加わって「天国の島」で厳かな気持ちになり「ダンソン第2番」でラテンの情熱で幕を閉じた。
これらのプログラムの終わりに志賀隊長の挨拶の後、太鼓や踊り、歌も加わった「ソーラン・ファンク」が始まった。この曲は地元の小学校でも演奏したり踊ったりするとのことで、子供たちがノリノリになって会場はお祭り気分。これで終わりと思いきや、「陸軍分列行進曲」が始まった。会場の空気が先程のお祭り気分とは打って変わって、力強さに背筋が伸びるようだ。最後「びしっ」と音を止めた瞬間は体も気持ちもしびれ「さすが中央音楽隊、素晴らしすぎる」という言葉以外の何も浮かんでこなかった。
中央音楽隊が札幌コンサートホールKitaraで演奏するのは10年ぶり。この近辺は、音楽に対する意識が強く、街中に「演奏OK」の賃貸アパートや生演奏のある喫茶店や小ホールが多く見られた。Kitaraのある中島公園は、1918年開催の北海道開道50年記念博覧会の際、公園内に野外奏楽堂が設けられ、軍楽隊や市民楽団の演奏が人気を博した公園で、クラシック音楽教育の象徴であるバーンスタイン氏の精神を受継いでいるという。中島公園の中には、1958年に移築された豊平館(1880年築)があり、明治時代から洋楽やクラシック音楽の演奏会が行われ「音楽が響く洋館」と言われていた。このようなホールで演奏した今回のテーマは「伝統を奏でる。」であり、中音隊の演奏を聞きながら、日本や音楽の歴史を感じることができた時間だった。
このコンサートに先立ち、富良野文化会館でも「陸上自衛隊中央音楽隊 スペシャルコンサートin富良野」が開催された。また、旭川市立永山南中学校での演奏技術指導やミニコンサートも行い、生徒たちはプロの音を目の当たりにして大変感激した様子だった。
中央音楽隊をのぞいてみよう!
69名の学生らが中音を体験
写真=制服を試着する学生ら
8月3日、和光市駅では大きな荷物を持った学生たちが自衛隊員らに誘導されてバスに乗り込んでいく。陸上自衛隊朝霞駐屯地にある中央音楽隊(隊長・志賀亨1陸佐)で行われている「中央音楽隊をのぞいてみよう!」に参加する学生らである。中央音楽隊を就職先の一つとして見て聞いて体験するというこの催しに、全国から69名の学生や社会人などが参加した。
受付を済ますと緊張した面持ちで各パートに分かれた席に着く。緊張をほぐす様に隊員らが話しかけ、制服の体験着用(?)を行なっていた。1番人気の制服は、煌びやかな記念章などが眩しい隊長の制服だったようだ。「この制服を着て、演奏してみたい」とすでに目を輝かしている学生もいた。
まずは、概要説明。自衛官としての誇りや日々の生活の話を真剣に聞いていた。次いで志賀隊長から「国を代表して演奏できる」「外国の軍楽隊に音楽を教えることや海外演奏など、普通に生きていたら経験できないことができる」「君が代の演奏は中音が一番!」「音楽に打ち込める青春を過ごしてね」など挨拶があった。
施設見学を経て、緊張も少しほぐれたところでお待ちかねの合同演奏。楽章毎・楽器毎に指導をする副隊長柴田昌宜2陸佐。柴田副隊長の指揮する手の動きに操られるよう、はじめはバラバラだった演奏も最後は一つにまとまった。「小さい音で良いので、心のこもった音を出して」「音符だけ見ないで視野を広く持って」などの指導は、音楽だけでなく普段の生活にも活かせそうだ。「3次元の音を4次元に作り上げていき、高度なところまで求めまとめていくのが自衛隊音楽の真骨頂」だという。
今回来隊していた武蔵野音楽大学演奏部外川信一先生は「音符の保管などをどんな所でどんな風にしているのかなど、裏方的な視線で見ることができてとても良い体験だった」と語り、東京芸術大学学生課加藤潤一先生は「事務仕事など隊員の1日の生活を掴める良い体験だった。学生たちには一つでも良いところを吸収して帰ってほしい」、などと感想を述べていた。
毎年9月下旬から10月上旬にかけて陸上自衛隊音楽職種説明会は6カ所に分けて行われている(なお令和7年度の申込受付は8月21日に終了)。
そして「年度ごと、担当は同じ隊員が行うので課題曲演奏も公平に聞く。日程の合う会場で安心して受けてほしい」とのこと。今回、演奏中の隊員と学生とでは、背中から出ているオーラが全く違うと思った。そんな高みを目指して、そして国のために頑張ってほしい。詳しくは中央音楽隊HPを(https://www.mod.go.jp/gsdf/central/band.html)をご確認ください。