自衛隊ニュース

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二十歳の集い
<久居駐屯地>

写真:この木とともに成長を誓う


 久居駐屯地(司令・金子洋幸1陸佐)は、令和7年1月17日に久居駐屯地体育館において令和7年駐屯地二十歳の集いを実施した。

 行事は、今年度に二十歳を迎える隊員(以下、参加者)の門出を祝うとともに、二十歳を迎えた者としての自覚と責任感の醸成を図ることを目的とし、津市長・前葉泰幸氏をはじめとする16名の来賓の方々、駐屯地各部隊長及び駐屯地の隊員が見守る中、参加者15名の門出を祝った。

 行事では、国歌斉唱後、二十歳を迎える隊員紹介において一人ひとりが壇上に上がり、所属、階級、氏名、出身地及び抱負を力強く述べ、その後執行者(駐屯地司令)は式辞において、「自衛官としての目標や将来像を改めて確立してもらいたい。そしてそれを達成するためにあらゆる困難から逃げずに正面から向き合い創意工夫をもって挑戦してもらいたい」(要旨)と述べた。

 その後、参加者を代表し重迫撃砲中隊の石井優杜士長は「二十歳を迎えた今、社会からは大人としての自覚、義務や責任を果たすことが求められます。まずは自らの未熟さを自覚し、社会への貢献を継続的に追求します」と力強い抱負を述べた。

 行事終了後には、記念撮影、記念会食及び桜の記念植樹が行われ、15名の参加者は二十歳という節目を迎えて新たに大人になるための第一歩を踏み出した。

方面隊対空戦闘訓練
<第8高射特科群>

写真:携帯地対空誘導弾(PSAM)


 第8高射特科群(群長・小林憲治1陸佐=青野原)は、2月下旬、航空自衛隊小松基地において「令和6年度方面隊対空戦闘訓練」を担任・実施した。

 本訓練では、群に昨年度導入された対空戦闘指揮統制システム(ADCCS)と各師・旅団高射特科部隊の各器材を連接した協同対空戦闘、実機(航空自衛隊戦闘機)を使用した対空戦闘及び対空警報等の伝達を演練した。

 また、方面、各師・旅団の各部隊が装備する器材の研修を行い、能力・特性について相互理解を深め、方面隊の対空作戦遂行能力の更なる向上を図った。


新隊員修了試験
<第28普通科連隊>

写真:迅速に照準


 第28普通科連隊(連隊長・廣山俊一1陸佐=函館)教育隊は、令和6年12月9日から令和7年2月21日までの間、函館駐屯地において、「令和6年度新隊員(9月隊員)特技課程教育」を行った。

 本教育は新隊員(9月隊員)特技課程教育を実施して、迫撃砲特技に必要な知識及び技能を修得させるとともに、陸士として必要な資質を養うことを目的として行われ、教育の総まとめとして2月6日及び2月7日の2日間に渡り修了試験が行われた。

 1日目、新隊員たちは静かな闘志を燃やしながら学科試験及び砲手試験を受験し、学科試験では今までの学習の成果を最大限に出し切り、砲手試験では同期の絆を感じさせるチームワークをみせた。

 2日目の体力検定では、日々の体力練成の成果を発揮するとともに、最後まで諦めない姿は教育を通じて培われた不撓不屈の精神が感じられた。

 修了試験を乗り越えまた一つ自衛官として成長した新隊員は、各部隊に配属され、更なる成長を続けていく。


DX施設団としての自覚を胸に!
<第3施設団>

写真:マシンガイダンスで露天掩体を構築

 第3施設団(団長・鹿子島洋陸将補)は、2月4日、陸上幕僚監部及び施設学校に対し、施設作業におけるDX推進に係る取り組み状況について展示・説明した。
 本視察には、陸上幕僚監部、施設学校のほか、北部方面総監部及び補給統制本部の主要幹部が参加し、特に陣地構築における一連の作業において、従来の測量とドローン測量の差異及び従来の油圧ショベルとアシスト装置付(マシンガイダンス・マシンコントロール)油圧ショベルとの差異について実員及び実機をもって展示し、各ICT器材の有用性を説明し理解を促進した。また、将来的に各ICT器材をネットワーク化し、PC上で情報共有することにより、指揮・統制の容易化、意思決定速度の迅速化と相まって、一連の施設作業の更なる安全化、効率化等に繋がることを説明した。
 第3施設団は、不易流行を是とし、伝統を継承しつつ、DXに向けた技術を駆使すべく知恵と工夫と本気の努力でこれからもDX施設団としての自覚と誇りをもって、日々前進していく。

空自と協同警備訓練<富士教導団>

写真:格闘訓練を行う空自隊員と陸自隊員


 富士教導団(団長・豊田龍二陸将補)は、2月5日から7日の間、東富士演習場(市街地訓練場)において航空自衛隊(浜松基地)と協同警備訓練を行った。
 本訓練は、普通科教導連隊長(山口勝1陸佐=滝ケ原)を担任官とし、協同警備能力の向上を図ることを目的として、富士教導団隷下の普通科教導連隊、機甲教導連隊、特科教導隊、教育支援施設隊の隊員と航空自衛隊(浜松基地)の隊員が協同して実施した。
 団は、年度当初から協同警備についての訓練を重ね、段階的に練度を積み上げてきた。
 今回の総合訓練では、東富士演習場内の市街地訓練場を使用し、実際的な訓練環境下において警備要領を演練して警戒、巡察、対処行動時における相互の特性を踏まえた協同要領についての練度を向上させることができた。
 富士教導団は、今後も協同訓練を継続し更なる練度の向上を図る。

ノーサイド
北原巖男

感謝

「大統領に感謝すべきだ」

「あなたがやっていることは、米国に対して非常に失礼だ」

「感謝の気持ちを一度でも伝えたことがあるか」

「この会談で言ったか」

「トランプ大統領に感謝しなさい。あなたの国を救おうとしているのだ」

「あなたは我々のおかげで無事に済む可能性が非常に高い」

「繰り返すが、感謝の気持ちを伝えて、受け入れなさい」

「感謝しなければならない」

「あなたは感謝の態度を示していない。それは良くない」

 (2025年3月2日付け、日本経済新聞「米ウクライナ首脳会談 主なやり取り」より筆者抜粋)

 2月28日、ホワイトハウスでのトランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の首脳会談冒頭、報道陣の前で行われたバンス米副大統領を含めた激しい口論。大変な衝撃を以て世界中に放映されました。

 本紙読者の皆さんは、どう受け止めたでしょうか。

 首脳会談決裂を受けて、トランプ大統領は、あろうことか、ウクライナへの軍事支援・情報活動支援の停止を命じたとのこと。ウクライナに対する脅迫行動と言っても過言ではありません。

 2022年2月、大国ロシアが突如、特別軍事作戦と称してウクライナを侵略してから早や3年。米国は、ロシアの力による一方的な現状変更の野望を厳しく非難し、その撤収を求めると共に、ウクライナに対する最大の支援国として、一貫して同国を支え続けて来ました。ゼレンスキー大統領はじめ、ウクライナ国民は、そんな米国に心から感謝し、機会あるたびに、感謝表明を行って来ています。冒頭の首脳会談でも、ゼレンスキー大統領は、きちんと感謝されています。

 欧州諸国も、そして我が国自身も、米国と一体となってウクライナを全面的に支持し、様々な支援を続けています。

 ここで我が国周辺に目を転じますと、ロシアのように力で一方的に現状を変えようとする大国中国の存在があります。台湾をはじめ、各国と領有権争いをしている南沙・西沙諸島、更には、我が国固有の領土である尖閣諸島に対する留まることを知らない覇権的・威圧的行動は、この地域最大の不安定要因となっています。

 正に、今日のウクライナは、明日のアジアとの危機感を抱かざるを得ません。そのためにも、私たち民主主義陣営は、侵略者ロシアの前に、ウクライナをしてギブアップさせるような事態を生起させてはならないのです。

 支援停止命令は、まるで侵略者ロシアに加担するかのような、民主主義国家米国にあるまじき常軌を逸したものと言わざるを得ません。まるで首脳会談冒頭におけるトランプ大統領とバンス副大統領の「感謝が足りない」ゼレンスキー大統領に対する感情的なしっぺ返しとしか思えません。米国の支援なくして、ウクライナが侵略者ロシアと戦い続けることなど不可能であることを一番分かっていながらです。

 トランプ大統領に対し、支援停止命令の速やかな解除を求める以外の選択肢は、ゼレンスキー大統領にも私達にも無いのです。

 そのための、両大統領の真の関係修復は、一刻の猶予もありません。

 首脳会談決裂の背景には、ゼレンスキー大統領が断固として求めている停戦後におけるウクライナの「安全の保障」をめぐるトランプ大統領との対立が指摘されています。

 ウクライナ国民は、停戦後、ロシアがこれまでもそうであったように、再び侵略してくることを心底恐れているのです。そのため、米国が関与する形でのウクライナの「安全の保障」を求めているのです。至極もっともなことです。

 しかし、トランプ大統領は、これまで本件についてコミットしていません。むしろ、米国ではなく欧州が担うべきだとの考えに立っています。

 どうこれを調整して行くか。欧州と米国との間に、不協和音や亀裂を生じさせるようなことがあってはなりません。そのような事態は、プーチン大統領を利する以外の何物でもありません。欧州諸国の一段の結束と努力への行動を踏まえながら、相互に緊密に調整して行く中で、民主主義国家米国の大国としての関与について歩み寄りを求めて行く。

 そして、我が国は、ウクライナをはじめ欧州と米国の動向をただ見守っているだけではなく、唯一の同盟国である米国のトランプ大統領に対し、プーチン大統領にすり寄ることの間違いを早く悟らせて行く。そうしてウクライナの恒久的な和平実現に尽力して行く。そう、感謝を込めて。


北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事


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