自衛隊ニュース

ゲッキーのイラスト

20歳の誓い<3術校>

写真:全員で記念ポーズ


 航空自衛隊第3術科学校(学校長・兼田大助陸将補=芦屋)で「20歳の誓い」が行われ、15名の隊員が自衛官としてのこれからの目標を誓った。

 基地朝礼終了後、兼田学校長ら大勢の隊員が見守る中、15名の隊員は、一人一人朝礼台に立ち大きな声で誓いの言葉を述べた。

 男性隊員からは、「絶対に一選抜で3曹になるぞ‼」、「この前、牡蠣を食べたら見事当たりました。今年は色んな意味で当たりの年にしたい」等が、女性隊員からは「航空宇宙自衛隊の未来を担う一員として今年も全力で、は・た・ら・く・ぞー」、「20歳としての自覚と責任感を持って、行動ができるように心がけていきます」等とそれぞれが思い思いの誓いを語った。

 第3術科学校は、「その様子は、芦屋基地SNS『X』や『Instagram』でご覧ください」としている。


市民マラソンでボランティアを実施して

百里基地援護室 古家陽子1空曹

写真:娘さんと給水支援、右が古家1曹


 1月19日、横田基地内において米軍横田基地の方と一緒にフロストバイト2025ロードレース(ハーフマラソン)ボランティアを実施しました。

 フロストバイトロードレースは、今回44回目で横田基地内外周道路を使用する市民マラソンとして古くから親しまれているもので、企画運営は米軍横田基地の米軍人が実施しています。

 今回、私は娘と参加しました。娘は隊員ではありませんが、家族で一緒に参加することができました。百里基地からは他に2名の隊員が参加しています。

 当日は、横田基地に午前5時30分に集合して、まずは徒歩入場の空自ボランティア隊員の受付、その後ランナーへの給水支援を米軍と一緒に実施しました。

 給水所では、水を紙コップでランナーに配布しますが、ランナーの集中具合により、水が不足しそうになったり、紙コップの収集が追い付かなくなったりしましたが、その都度米軍の参加者とコミュニケーションを図りながら、切り抜けることができました。

 普段は、米軍と同じボランティアユニフォームを着て直接コミュニケーションを図りながら同じミッションを成し遂げる機会はないため、とても貴重な経験をすることができました。次回みなさんもご家族で参加してみてはいかがでしょうか。思い出深い1日となること間違いなしです。


世界初!JPOライトニング
サポートチームから感謝状

F35A不具合の
兆候を発見・報告

写真:河本2曹とケーシー氏


 航空自衛隊第3航空団整備補給群検査隊の河本遼二2空曹は、令和6年12月4日、JPOライトニングサポートチーム(※)から、機体の安全性向上のための技術開発に資する顕著な功績について感謝状を贈呈された。

 これは同年6月6日の飛行間点検の際、F35A航空機に不具合の兆候があることを発見・報告したことに対するもの。これを受けてJPOが状況を精査し、当該部位の安全性の向上に資する改善が検討されるに至り、その功績は全世界のF

35ユーザー国に及んでいる。

 感謝状を手交したJPOライトニングサポートチームのケーシー氏から「本発見はF35のA・B・Cすべてにとって大変意義深いものであった」と感謝が伝えられ、河本2曹は、「整備員として大変光栄です。これからもいつも通り整備に取組んでいきたい」と応じました。JPOライトニングサポートチームから感謝状が贈呈されるのは世界初のことです。

 ※JPO(Joint Program office)‥米国防省の取得・技術・後方部門に設置されるF35統合プログラム・オフィスのこと。

 ライトニングサポートチーム‥F35の維持整備/補給に関するサポートをするJPO内のチーム


地上安全褒賞<空幹候校>

写真:25万人日間、無事故無違反を達成


 航空自衛隊幹部候補生学校(学校長・岡本秀史空将補=奈良)は、安全教育の徹底と、隊員一人一人の高い安全意識が実を結び、令和6年11月29日に地上安全褒賞の基準を達成し、去る2月7日に航空幕僚長から地上安全褒賞を授与された。

 本褒賞は、幹部候補生学校の所属人員の累計で25万人日の間、規定に基づく事故や悪質な交通違反を発生させなかったことに対し、その功績を称え授与されるもの。

 今回の受賞について、幹部候補生学校の安全班長は「歴代の隊員一人一人が高い安全意識を維持しながら、皆で日々積み重ねた努力が結実し、本褒賞を受賞することを嬉しく思います。また将来、部隊の安全を担う本校学生にも、隊員が築く安全の尊さを伝えることができ、部隊で安全を築いていくものと期待しています」とコメントした。

 また、同校では本褒賞授与に伴い、2月7日から本部庁舎前において地上安全名誉旗を掲揚している。本旗は、隊員の目に触れることで、隊員が安全な組織であることに誇りを持つとともに、常に安全を意識するための重要な役割を担っている。


戦傷医療訓練<空幹候校>

写真:候補生と基地警備隊員が連携


 2月17日から20日までの間、航空自衛隊幹部候補生学校(学校長・岡本秀史空将補=奈良)において、第88期飛行幹部候補生課程の総合訓練(基地警備)が実施された。

 本訓練は、航空機運用基地を想定し、候補生たちが計画した警備計画に基づき、重要防護目標の防護・警備を行うもの。候補生は、強烈な寒波が襲来し、みぞれ混じりの雪が降る厳しい気象条件の中、奈良基地の警備隊員と連携し侵入する仮想敵へ対処した。

 戦傷医療における死亡の多くは、爆傷、銃創などによる失血死であり、これを防ぐことで隊員の救命率が向上する。そのため、本訓練では敵の脅威に直接さらされている状況下での患者救護、後送を行うとともに、敵の直接的な脅威が収まった場において、第一線救護衛生員として指定されている隊員が中心となり、血液循環量の保持を目的とした輸液の投与や、止血剤の投与を行った。また、候補生に対し救護処置に関する指示を出し、救護処置に必要な知識・技能を向上させた。

 本訓練を通じ、候補生たちは各種事態に対する対処能力を向上させるとともに、小隊長としての指揮要領及び上級指揮官の意思決定に資する幕僚活動について理解を深めた。

読史随感<第169回>
神田淳

世界情勢の変化と日本(4)


 以下、前回に続いて、次の時代ーーー(4)東西冷戦終結(1989)から現在までーーーの世界情勢の変化と日本の対応について論じる。それは国際環境が激変する中での平成時代の評価とほぼ重なる。平成の始め、1991年のバブル崩壊後、失われた10年と言われたが、不況は長期化し、平成時代日本経済は成長しなかった。平成史の総合的な評価は確定していないが、おしなべて平成を失敗の30年だったと見る識者が多い。ある学者は、1930年から40年代の、日本が失敗を重ねた時代に匹敵する失敗の時代だったと評価する。

 冷戦終結は期待に反して世界に平和をもたらさなかった。戦争と地域紛争の多発する世界となった。1990年イラクがクウェートを侵攻し、1991年米軍を中心とする多国籍軍がイラクを攻撃、湾岸戦争となる。旧ユーゴスラビアのボスニア・ヘルツェゴビナで深刻な武力紛争が続く。2001年9月11日アメリカで同時多発テロ事件が発生。ブッシュ政権はテロ組織アル・カーイダをかくまうアフガニスタンを軍事攻撃。また2003年イラク戦争に踏み切り、フセイン政権を打倒した。しかしイラクは安定せず、分裂し内戦状態となった。

 冷戦後の世界は、日本の安全保障に深刻な反省をもたらした。湾岸戦争における日本の対応は失敗と見なされる。湾岸戦争で問われたのは、日本が自身の繁栄を依存しているグローバルな安全保障に、日本がどのように関与し責務を果たすかという問題だった。金銭のみの貢献に終始した大国日本は平和のフリーライダーと見なされ、国際社会から軽蔑された。グローバルな安全保障は、日本自身の安全保障に深くかかわってくる。1992年日本は国際平和協力法を制定し、自衛隊の海外派遣を可能にした。日米安全保障条約を強化し、1999年周辺事態法を制定。2003年有事関連三法案が成立。安倍内閣は集団的自衛権の行使を容認し、2015年一連の安全保障関連法を整備した。平成時代は中国が大国化し、軍事力の増強が著しく、脅威となった。安全保障政策の整備は激変する安全保障情勢への対応であるが、軍事・国防に関する本質的な議論でなく、対処療法となっているものも多い。それは現代の課題である。

 次に、冷戦後の世界情勢の最大の特色として、世界経済のグローバル化が進んだことがあげられる。平成の日本経済は、グローバル化した世界経済の敗者となっていったと評価される。グローバル化とは、情報処理・通信手段としてのコンピュータの進化を背景として、人・モノの交流のみならず、カネの移動、情報の伝達が世界的規模で高速化・大量化し、世界中の諸国・諸地域の多面的な相互関連の度合いが強まったことをいう。経済のグローバル化の中、世界で産業構造が変化していった。IT革命による情報処理コストと通信コストの劇的な低下を背景にして、ITを駆使した高度サービス産業が生まれ、主力産業に成長した。GAFAを典型とする、生産性の高い高度サービス産業が世界経済を牽引した。日本にはこうした新しい産業が生まれず、産業構造の転換が進まなかった。平成の日本経済停滞の主原因をここに求めるエコノミストは多い。

 以上、安全保障と経済の二点から平成時代を論じたが、問題はこれに限られるものではない。経済も成長がすべてではない。充足、成熟を重視する評価もある。平成時代日本の社会と文化は成熟し、文化的な力は向上したという評価もある。平成の歴史に失敗が多かったとしても、それを糧として未来を切り開く成熟した知恵を我々はもっていると思いたい。

(令和7年3月15日)


神田 淳(かんだすなお)

 元高知工科大学客員教授。

 著作に『すばらしい昔の日本人』(文芸社)、『持続可能文明の創造』(エネルギーフォーラム社)、『美しい日本の倫理』(https://utsukushii‐nihon.themedia.jp/)などがある。

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