自衛隊ニュース

ダルマ・ガーディアン24
印陸軍と実動訓練 対テロ能力を向上
写真:屋上から2階に潜入する印陸軍
陸上自衛隊は令和6年度インド陸軍との実動訓練「ダルマ・ガーディアン24」を2月24日から3月7日までの間、東富士演習場および朝霞訓練場で実施した。ダルマ・ガーディアンは対テロ戦における作戦能力・戦術技量の向上を図り、陸自と印陸軍との相互理解・信頼関係を促進することを目的として2018年から実施されており、今回で6回目となる。インド側の希望で前年度より規模を拡大し、陸自から第34普通科連隊(板妻)および中央即応連隊(宇都宮)の隊員200名と、印陸軍から第48歩兵旅団第5大隊の兵士100名が参加した。
機能別訓練を経て、3月4日からは東富士演習場で総合訓練を行い、訓練最終日となる6日の様子が報道陣に公開された。市街地を想定した訓練場にはホテル、スーパー、アパート等を模した建物がいくつも建ち並ぶ。住民混在の中、3日間でそれらに潜伏するテロリストを掃討していき、最終日はこの一帯でとりわけ大きい4階建て庁舎が舞台となった。
先日降った雪が残り、廃墟の街のように静まった訓練場に、断続的に銃声やヘリの轟音が反響する。空路からは、陸自の多用途ヘリUH1Jの2機が次々と日印の隊員を屋上に運んだ。隊員らはすぐさまリぺリングや飛び降りで降下すると、屋上出入口から建物内に侵入。そのうち印陸軍4名が2名ずつ、屋上から懸垂降下で2階窓より潜入した。地上からは陸自隊員が正面左側より突入し、ほどなく庁舎を制圧、市街地一帯を回復した。
「ダルマ・ガーディアン」は、日印両国の共通の象徴である「ダルマ」とインド太平洋地域の守護者を表現する「ガーディアン」を合わせて名づけられたもの。日本で行われるのは令和4年度に次いで2回目。
第4次師団訓練検閲
<第7師団>
第73戦車連隊と第7飛行隊の練度を評価
写真:攻撃開始 第73戦車連隊
第7師団(師団長・松永浩二陸将)は、2月20日から23日までの間、北海道大演習場(東千歳地区、千歳・恵庭地区、島松地区)及び来馬演習場において「令和6年度第4次師団訓練検閲」を実施し、第73戦車連隊(連隊長・山下1佐)と第7飛行隊(隊長・松田2佐)の練度を評価した。
本訓練検閲は、『先遣師団の攻勢作戦における戦車連隊及び飛行隊としての行動』を課目とし、『各級指揮官の状況判断及び指揮幕僚活動』に加え、第73戦車連隊は『戦闘力の組織化』、第7飛行隊は『飛行統制所長としての飛行の統制』を主要検閲項目として実施した。
松永師団長は、訓練検閲に先立つ受閲準備完了報告において、「部隊の練度向上に努めよ」「安全管理を万全にせよ」を要望するとともに、第73戦車連隊には「諸職種の戦闘力を組織化し、総合戦闘力を最大限発揮せよ」、第7飛行隊には「師団の作戦に柔軟に対応し、航空科の能力を最大限発揮せよ」をそれぞれ追加した。
第73戦車連隊を基幹とする第73戦闘団は師団の先遣として積雪及び寒冷の厳しい環境の中、普通科、特科、施設科等の諸職種が連携して対抗部隊を撃破、師団の攻勢作戦に有利な態勢を確立した。また第7飛行隊は、第73戦闘団の偵察部隊空輸や昼夜を問わない航空偵察、ヘリボン部隊の空輸等を実施して師団唯一の航空科部隊としての任務を完遂した。
本訓練検閲を通じ、多大な成果と教訓を得た第73戦車連隊及び第7飛行隊は、引き続き実戦的・実際的な訓練を通して、機甲師団たる第7師団の部隊として更なる進化を続ける。
カザフスタンに衛生分野で能力構築支援
<中央病院>
写真:ハイブリッド型シミュレーターで実習
自衛隊中央病院(病院長・鈴木智史防衛技官)は1月20日から同年1月24日までの間、カザフスタン軍衛生要員(医官等)6名に対して、衛生分野に関する能力構築支援事業を実施した。
本事業は3年計画の1年目であり、今回の招へいにより当院で研究・開発したハイブリッド型シミュレータ(腹部モデル等)にかかる基礎的知識・技術を教授した。5日間の支援事業を通じ戦傷治療に係る教育及び訓練に必要な識能習得及び技能体得は所望の成果を挙げるとともに、中央病院及びカザフスタン軍との様々な交流も促進され、同国と信頼関係を構築するために防衛協力・交流事業の推進という目的は達成した。
教育に参加した6名中4名が外科医師であり、ハイブリッド型シミュレータのセッティングは、40分という基準の時間を大幅に上回る17分で実施するなど、想定をはるかに上回る教育成果をみた。教育を担任した中井3佐(臨床医学教育・研究部研究班長)もその手技の的確さに感嘆した。
自衛隊中央病院は、本事業を通じ、戦闘外傷治療能力の向上と、両国間の更なる交流の深化に努めていく。
機略縦横(90)
西部航空方面隊准曹士先任准空尉 川添 誠
写真:西部航空方面隊准曹士先任准空尉 川添 誠
防衛ホームをご覧の皆さん、こんにちは!
私が准曹士先任に求められる命題として強く意識している事は、お仕えする指揮官の「目となり、耳となる」ことです。
その思いを実現するためには、できるだけ多くの隊員(下士官)と面談や懇談を通じ、その思いを汲み取る事から始まります。その際、重視している事として、自分の持つあらゆる価値観を排除し、隊員と向き合う事です。
若い頃の自分は、「自分と相手を比較」してばかりいたと記憶しています。比較自体は悪い事ではありませんが、比較対象が同等の場合に有効であり、明らかな差がある対象と自分を比較すると、「相手に対する不満等」が沸き上がり、相手の思いを汲み取る前に、説教(笑)したくなります。
そこで、説教を回避するために心掛けている事は、若い頃に目にした魔法の言葉です。
「赤子嫌うな来た道だ、
老人嫌うな行く道だ」
この言葉の解釈は、読む人それぞれで変化するのかもしれませんが、私にとっては、あらゆる固定観念や価値観を排除する事に役立っています。
対峙する相手によって、自分を自由自在に変化させる必要がある立場の方に、お役に立つかと思います。