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駐屯地業務隊等に対する陸上幕僚長表彰式

顕著な功績を残した20個部隊を称える

写真=初受賞 武器学校(星指学校長)


 7月11日、「令和7年度駐屯地業務隊等に対する陸上幕僚長表彰式」が陸幕会議室で行われ、基地運営や隊員・家族の福利厚生業務等で顕著な功績を残した20の駐屯地業務担任部隊等が表彰された。初受賞は武器学校と釧路駐屯地業務隊。表彰部隊長(北熊本駐屯地業務隊長は訓練参加のため欠席)には、森下泰臣陸上幕僚長から第2級賞状と楯が授与された。また、今年度から初めて、2年連続で受賞した部隊長個人も表彰された。宇都宮駐屯地業務隊長、新発田駐屯地業務隊長、善通寺駐屯地業務隊長、大久保駐屯地業務隊長に対して第2級賞詞が防衛功労章を添えて贈られた。2級賞詞は、師団長にも授与されておらず、これは連続受賞の難しさと業務隊の任務がいかに重要なのかを物語るものだ。

 森下陸幕長は、参集した業務隊長等に対してそのリーダーシップを称え、「業務隊の皆が頑張ってくれたおかげで陸上自衛隊が維持できている」と労った。また「業務隊が駐屯地司令、方面総監を助けるためには地域との連携が必要不可欠であり、そこにも注力をしてほしい」とさらなる活躍を求めた。

 受賞部隊と主な功績は以下のとおり。カッコ内は部隊長。

【北方】

〇札幌駐屯地業務隊(𠮷川正浩1佐):3年ぶり2回目

・駐屯地施設の強靭化・最適化事業に係るマスタープランを作成し、着実に事業を推進。

・宿舎の共用部の照明等をLED化し、良好な生活環境等を提供。

〇北千歳駐屯地業務隊(藤田吉永2佐):2年ぶり4回目

・野外炊事をする部隊に対する衛生技術支援を実施し、感染症・食中毒の発生を未然に防止。

・「麺の日」、「丼の日」の設定等の工夫した献立施策6コを年間を通じて実施。

・各部(中)隊長等に対し、団体保険による保障の重要性を説明し、理解を促進。

〇釧路駐屯地業務隊(小原王巳2佐):初受賞

・矢臼別演習場を使用する部隊の洗濯支援を実施。

・歯科医官が不在する別海駐屯地に週1回診療支援を実施する等、近傍駐分屯地の医療基盤の維持に寄与。

・老朽化により塗装が剥離した施設等の補修を実施。

〇滝川駐屯地業務隊(木戸口幸司2佐):2年ぶり3回目

・駐屯地全隊員アンケートの実施により、部隊・隊員の多種多様なニーズを積極的に収集し、生活・勤務環境を改善。

・滝川演習場拡充のための用地取得等により、訓練基盤を拡充。

・ボイラー、宿舎、給排水、電気等の故障対応等に年間を通じて対応し、早期に復旧。

【東北方】

〇岩手駐屯地業務隊(清野寛光2佐):10年ぶり2回目

・女性自衛官のニーズを踏まえ、隊舎のトイレ等を改修。

・岩手山演習場のマットレスを更新。

・各種林野火災時に燃料、糧食、消耗品等を支援。

・平成11年から車両無事故26年間(261万9802キロ)を継続中。

〇多賀城駐屯地業務隊(高橋建守2佐):6年ぶり2回目

・東日本大震災の経験から、市販型携行食を常時保管・管理し、一部をもって関係部隊との兵站業務検証に協力。

・第2施設団と連携し、燃料支処ドラム缶野積所のコンクリート工事を施工し、支援基盤を向上。

・体育館及び女性隊舎のトレーニング用品を更新・新規取得し、隊員の体力練成環境を改善。

・臨床心理士による新隊員へのメンタルヘルス教育を実施。

【東方】

〇宇都宮駐屯地業務隊(猪瀨智2佐):5年連続5回目

・特定保健指導を積極的に実施し、実施率96・4%を達成。

・夏季24時間冷蔵運転に備え、冷蔵設備に不具合のある隊舎にウインドファン等140台を設置。

〇新発田駐屯地業務隊(関谷幸治2佐):2年連続2回目

・年間約5000名の宿泊者に対し、アンケートを実施し、満足度概ね100%を達成。

・年間数百件の診療及びカウンセリングを実施。

〇滝ケ原駐屯地業務隊(宮本敬太2佐):2年連続6回目

・06JXRにおいてキッズサポートセンターを開設し、隊員子弟を受け入れるとともに、問題点等を明らかにし、運用能力の向上を図った。

・交通安全に係る機会教育等を計画的に実施し、無事故走行日数8473日、走行距離98万7004キロを継続中。

〇相馬原駐屯地業務隊(堀川佳紀1佐):2連連続4回目

・女性自衛官隊舎のシャワーの増設、食厨の女性トイレ・更衣室の増設を実施。

・補償賠償専門官が不在の際もその業務を補完すべく案件を一覧化し、対応を容易化。

・生涯生活設計セミナーを月2回(計24回)年代別に実施し、各種知識の付与及び生活設計見直しに係る取組の動機付けを実施。

〇武器学校(星指𠮷見将補):初受賞

・トレーニング器材等の更新、生活隊舎のLED化の生活勤務環境を改善。

・油流出対処訓練により、流出の際の迅速・的確な対応要領を演練するとともに、各種燃料及び油脂類の貯蔵、取扱い並びに運搬に係る識能を向上。

【中方】

〇守山駐屯地業務隊(大森亮1佐):5年連続7回目

・新制服換装に伴い発生した不用決定被服等を年度を通じ、産業廃棄物処置施設に搬入・処分。

・災害等発生時のコンビニエンスストア運営のための「緊急事態等の商品販売等に関する協定」を防衛弘済会と締結。

〇善通寺駐屯地業務隊(村上至1佐):2年連続3回目

・各地本と連携した学生のインターンシップ参加者に対する部隊研修に協力し、自衛隊に対する理解と親近感を醸成

・部隊ニーズを踏まえ、営内居室、当直室等にタイルカーペットを敷設するとともに、シャワー室の取替工事等を実施

〇今津駐屯地業務隊(齋藤正通2佐):5年ぶり3回目

・演習場トイレの洋式化、シャワー室の改修、駐屯地内道路の補修、標識取替、外灯のLED化を実施。

・ライフプランセミナー等を希望する隊員に実施し、福利厚生を充実。

〇大久保駐屯地業務隊(中江宏彰1佐):2年連続5回目

・部外委託医師による診療、阪神病院への通院車の運行等により、部内受診率を前年比で年間5%以上改善し、部外診療委託費を節減。

・年末年始休暇にキッズスペースを開設し、緊急登庁支援の演練を実施するとともに、延べ69名が利用。

〇高知駐屯地業務隊(西森英二2佐):2年ぶり3回目

・中隊長等を含む補償賠償担当者に対し、補償・賠償業務の内容及び事象発生時の初期対応要領を教育。

・陸自飯グランプリに選定された献立を月1回提供する等、給食を魅力化。

【西方】

〇北熊本駐屯地業務隊(米良憲一郎1佐):12年ぶり2回目

・アクションプラン(8区分、75項目)を作成し、計画的に生活勤務環境を改善。

・栄養バランスを考慮しつつ、毎月新献立を2回、ご当地献立、郷土料理、隊員リクエスト献立等を提供。

・年間約500件の防大、防医大生等の採用身体検査を実施。

〇えびの駐屯地業務隊(大崎聡史2佐):3年ぶり3回目

・自隊訓練成果を反映し、「大規模地震等発生時の当直行動チェックリスト」を作成し、即応態勢を維持・向上。

・令和6年度入隊の新隊員に共済サービスの概要、団体保険制度の説明等を実施し、加入率100%を達成。

〇久留米駐屯地業務隊(木原好浩2佐):5年連続9回目

・トレーニング器材を新規に調達し、「KURUMEMUSCLEK‘SGYM」を開設し、延べ700人以上が利用。

・理髪店のリニューアル、女性自衛官ニーズの反映(女性浴場へのテンキー設置等)等を実施し、「隊員が帰りたくなる駐屯地」に着意。

〇玖珠駐屯地業務隊(矢浦良一2佐):4年ぶり5回目

・土地、建物及び附帯する諸施設の借上げ、維持、補修等を実施。

・周辺業者と割引協定14社を継続するとともに2社と新規に締結。

令和7年度版防衛白書を刊行

Z世代を意識 人気イラストレーター起用

 防衛省はこのほど、「令和7年版防衛白書」を刊行した=画像。

 防衛白書は防衛省の前年度の年次報告書で、国際情勢や省・自衛隊の取り組みについての認識を説明。7年度版は、昨年4月~3月(一部重要事象は5月)を対象に記述している。

 昨年版の4部構成から5部構成に変更。自衛官の処遇・勤務環境の改善など、人的基盤強化の記述を4部に独立させた。

 国際的な安全保障環境についての1部のうち、中国に関する記述では、昨年8月の中国軍機による領空侵犯などに触れ「活発な軍事活動がわが国の安全に深刻な影響を及ぼし得る状況となっており、強く懸念」と新たに記した。

 表紙はZ世代の若者たちにより注目されるよう人気イラストレーター、ヨシフクホノカ氏に制作を依頼。陸海空の3人の若年隊員がレトロポップなタッチで描かれている。

 手に取りやすく読みやすいよう構成を見直すなど全体をスリム化。写真、図表を活用し、随所にコラムも掲載している。

 A4変形サイズ・534ページ。書店、オンラインストアで購入できる。(価格は約1400円)。無料の電子版は防衛省HPからダウンロードできるほか、電子書籍販売サイトからも配信を受けられる。

日本防衛学会が研究大会を実施

写真=防大学校長と統幕長らが鼎談した共通部会


 日本防衛学会(会長・國分良成)は、6月21日と22日に防衛大学校で令和7年度研究大会を実施した。日本防衛学会は、現代世界の安全保障に関する様々な課題を、学術研究者と実務家の両者を融合させながら、理論的・政策的に解明することを目指す学術研究団体であり、日本学術会議による認定も受けている。

 同学会の研究大会は平成19年以降、毎年実施され、第31回目となる今回は「動揺する国際秩序と日米同盟の役割」という共通テーマの下、共通部会、部会2(アジア太平洋における「ハブ・アンド・スポークス」型同盟網の歴史的検証)、部会3(自衛隊の統合と日米共同防衛の行方--指揮・統制関係に注目して)、部会4(軍事技術と戦い方の変化‐防衛イノベーションの創出に向けて)、部会5(多様化する安全保障環境と実効性ある自衛隊の国外活揺に向けて)の5つの部会と自由論題の報告が実施された。特に共通部会は現役の吉田圭秀統合幕僚長と久保文明防衛大学校長の鼎談ということもあって150名以上が聴講して会場からも多くの質問が寄せられ、大きな盛り上がりを見せた。

 研究大会に合わせて総会も実施され、総会では通常の会計報告等のほか、学会名英語表記変更、学会賞新設、ロゴマークの変更についても報告された=左画像。学会ホームページ(URL:https://jadef.org)も7月1日にリニューアルされたのでご覧下いただきたい。

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