自衛隊ニュース

「トップガン」〝テーマ〟に講演会
13教団(芦屋)
「今の道を突き進んでほしい」戸田氏
「ノーガッツ、ノーグローリー」永岩氏
第13飛行教育団は部外講師を招へいし、操縦学生を主たる対象とした講演会を開催した。
講師は映画字幕翻訳家の戸田奈津子氏と元航空支援集団司令官の永岩俊道OBとである。永岩OBが映画「トップガン・マーベリック」の翻訳と吹き替えの監修に関わり、かねてから戸田氏との親交があったが、団司令野口1佐の講演依頼をお二人が快諾して下さり実現した。
講演場所は格納庫。バックにはT‐4練習機を並べ、「トップガン・アンセム」の音楽とともに入場し、トム・クルーズさながらのサングラスをかけた操縦学生が出迎えるという映画のワンシーンを彷彿させる演出のもと、和やかな雰囲気で始まった。
当初は事前に募った質問に対する回答をしていただき、後半は聴講者が挙手により直接質問をするという形式で進行した。
戸田氏の印象的な回答は「字幕翻訳の仕事で重視していることは?」という質問に対し、「字幕に意識を向かせない、読んだ記憶がないくらいの錯覚を起こすような字幕を目指している」というものであった。
あくまで映画(映像)が主役であり、字幕はその邪魔をしないほうがよいというその道を長年けん引されてきたお考えがうかがい知れ、プロとしての確固たる信念は我々にも大いに参考となった。
永岩OBに対しても多くの質問が及んだが、1976年9月ソ連のミグ25が函館空港に着陸した事案、いわゆるベレンコ中尉亡命事件の際、当時実際にF‐4で対領空侵犯措置にあたったという緊張感あふれるエピソードは、聴講者の関心を強く引き付けるものであった。
最後にお二人から我々に対する激励として、戸田氏からは「好きな仕事を極めるべく、今の道を突き進んでほしい」とあり、永岩OBからは「ノーガッツ、ノーグローリー」とのお言葉をいただいた。
その後、戸田氏にはT‐4の後席で地上滑走を体験していただいた。飛行服、Gスーツ、ヘルメットを着用し、誘導路から滑走路へ進入し、模擬離陸滑走を経験するものである。「パイロットのやりがいや厳しさを感じられる貴重な体験となった。早速トムに『私も日本の自衛隊の飛行機に乗ったわよ』と連絡するわ」と感激のご様子だった。
13教団は今後も機会をとらえて講演会を開催し、隊員の知見の拡充と業務に対する意欲の向上につなげていく。
国民保護訓練に参加
44普連
第44普通科連隊(連隊長・古庄1等陸佐)は昨年11月14日、白河市(福島県)において実施された「福島県国民保護共同実働訓練」に参加した。
訓練は、大規模テロ事案により多数の死傷者が発生し県より自衛隊へ災害派遣要請、引き続き不審物が発見され武装勢力が周辺地域へ潜入している可能性があると判明し、緊急対処事態が認定され、国民保護法に基づく自衛隊の派遣要請がかかる想定で行われた。
爆破事案発生を第1事案、別地域での不審物確認を第2事案とし、事態認定前から認定後の行動について関係機関等との調整・連携要領を演練した。
44普連は第1事案発生後、県対策本部に連絡幹部を派遣し、現地合同調整所に派遣されている東北方面特科連隊第1大隊から状況を掌握し、移動用端末を用いて師団司令部及び連隊第3科と情報共有、連絡・報告要領などを演練した。
訓練には内閣官房、自衛隊、消防、警察など40機関が参加し、福島県知事、福島県警察本部長、第6師団長などが参観した。
災害対処訓練行う
札幌病院
震度7の地震発生を想定し
自衛隊札幌病院(病院長・川口陸将)は昨年11月30日、道央地域(札幌地区)における大規模地震(直下型地震)を想定した令和6年度災害対処訓練を実施した。統裁官(病院長)は訓練の開始に当たり「本訓練では、現実的にできること・できないことを検証せよ」と訓示した。
前段訓練は7時30分に札幌地区において、月寒断層を震源とする最大震度7の地震発生の状況付与から開始され、病院は直ちに第3種非常勤務態勢に移行した。
訓練では実際に商用電源を遮断して非常用電源に切り替え、電力に制限を受けるなか、部隊当直司令は逐次、登庁職員にアクションカードを交付して、従来残留営内者に付与していた業務を個別に指示するとともに、各部等は職員の被害状況及び病院の建屋・インフラ・医療器材等の異状の有無を確認し、診療存続の可否を評価した。
特に前段訓練では、営内者の残留基準廃止(試行)に伴う初動態勢構築要領の修正検証を主眼に現状の問題点について教訓を得ることができた。
後段訓練では災害翌日の場面を想定し、病院への大量傷者受入れ要領について演練して札幌市災害時基幹病院としての役割を再確認した。
この際、北海道DMAT4個チームと共同して大量傷者チームのトリアージ要領及び院内での対応困難な患者の転院搬送調整手順を確認するとともに、終了後のホットウォッシュアップを実施し、地域医療への貢献要領について一案を得た。
北部方面総監(末吉陸将)の訓練視察も受け、発災直後における札幌病院の活動状況についてご指導をいただいた。
本訓練において事業継続計画の実効性向上のための継続的な取り組み、初動態勢の早期確立及び関係機関との連携の重要性を再認識し訓練を終了した。