自衛隊ニュース

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防衛省・自衛隊
地方協力本部

写真=桜島を背に翻る自衛艦旗(鹿児島)


ときわ公開

<鹿児島>

 鹿児島地方協力本部(本部長・川畑信一1海佐)は8月30、31日の両日、鹿児島湾(鹿児島市)において、約50名の募集対象者及び保護者等に対する補給艦「ときわ」の特別公開を実施した。

 本艦艇広報は鹿児島湾に錨泊中の「ときわ」まで内火艇による海上輸送形式で行われ、募集対象者及び保護者の方々は、下から見上げる補給艦の大きさに圧倒された様子だった。

 乗艦の際、安全面を徹底された乗員による誘導や内火艇との連携、自衛官らしくはつらつとした動作を目の当たりにし、参加者は安心して見学に臨むことができた様子だった。

 補給艦の任務の概要説明に始まり、艦橋、操縦室、居住区域、食堂、さらに補給艦ならではの巨大冷蔵庫の見学及び甲板において燃料等の補給の為の蛇管燃料ホースの展示説明を実施。また各所では担当者から丁寧な説明が行われ、募集対象者に海上自衛隊の補給艦を十分に理解していただけた。

 参加した募集対象者は、「補給ステーションや補給管制室など補給に関わる設備は印象的な物が多かった。乗員の方の貴重なお話が聞けて大変参考になりました」、「補給艦そのものの見応えもそうですが、乗員の方々にもとても良くしていただき、とてもいい体験ができて楽しかったです」など感想と感謝の言葉を述べていた。

 鹿児島地本は「引き続き積極的に自衛隊の活動等を紹介する機会を設け、鹿児島県民の自衛隊に対する理解の促進及び認知度向上に努めたい」としている。



陸幕長表彰

<京都>

 京都地方協力本部(本部長・田方1佐)は7月15日、大津駐屯地において技能公募予備自衛官の本間予備2等陸曹=写真右=に対する勤続20年の永年勤続表彰を実施した。

 本間2曹は平成17年2月に技能公募予備自衛官に採用後、整備の技能を活用して毎年訓練に出頭している。

 昨年度は5日間招集訓練に加え、特別な招集訓練にも参加するなど、精力的に活動を続けてきた。

 表彰で副本部長は、陸上幕僚長表彰状を伝達するとともに「本間2曹が予備自衛官補制度発足当初に志願され永年、訓練参加を積み重ねたことは予備自衛官の模範。予備自衛官勢力の中で一定数を占める公募予備自衛官は不可欠な存在であり、引き続き訓練参加を通じ練度を維持していただきたい」と訓示した。

 受賞した本間2曹は「ご指導頂いた基幹隊員の方々や仲間のサポートがあって続けて来られたと感謝しております。今後も気力と体力の続く限り、微力ながら国防のために尽力してまいります」と心新たに誓いの言葉を述べた。

 式が終わると会場の外では参加していた予備自衛官の方々が改めて拍手で温かく本間2曹を迎え、共に訓練に励む仲間として祝福をした。

 京都地本は引き続き、有事の際の大きな力となる予備自衛官等制度の拡充と安定を目指す。



防医大OCに参加

<群馬>

 私は令和7年6月21日、防衛医科大学看護学科のオープンキャンパスに参加しました。

 私の両親は陸上自衛官です。幼い頃から駐屯地のイベントや仕事へ一緒に行くことがあり、自衛隊を身近に感じていました。小学生の頃から人を助ける仕事に就きたいと思っており、今回、母と同じ衛生科の仕事について知りたくなり、オープンキャンパスに参加を希望しました。

 オープンキャンパスでは校内での生活、日々の訓練の様子などを見ることができました。

 その中でも特に楽しかったことは、体験実習です。教官の方に指導してもらいながら母の血圧を測定しました。学生の方には患者の術後看護の仕方について説明を受け、実際に人形を使って聴診器を当てて観察し、肺の正常な音と術後の肺の音の違いを比べることができました。

 その際、最新の聴診器ではなくアナログな聴診器を使用していて、なぜ便利な最新のものを使わないのか疑問を抱きました。質問してみると教官の方が「救助の場で便利な物がその場にないような状況でも対応できるようにするためです」と教えてくださいました。

 この回答を聞いて、他大学の看護学部よりも緊急時の看護を強く意識して教育を行っているのだなと思いました。また、学生の方々が優しく丁寧に対応してくれ、あいさつもハキハキとしていて、制服を着ていることから、自衛隊の大学ということを肌で感じることができました。

 今回のオープンキャンパスでは、学校での生活の流れや勤務内容を知ることができ、これからの進路を検討する良い機会となりました。

(草苅 星那)



おしごと本

<長野>

 長野地方協力本部(本部長・山口敦史1陸佐)はこのほど、松本駐屯地において地元テレビ局、長野放送の「おしごと本」に関する取材に協力した。

 「おしごと本」は長野放送が企画する中学生に対して各種業種を紹介する冊子で、長野県内の全中学1年生に配布される。

 はじめに武器科職種隊員の成瀬恵美3陸曹に対しての取材が行われ、入隊したきっかけや職種の役割などについて質問された。

 成瀬3曹からは「小学6年生の時に起きた東日本大震災で、自衛官が給水や入浴など多くの場面で一般の人たちの支援活動をしている姿に憧れてこの仕事を目指しました」、「現在車両整備の仕事をしていますが、車両を使わない部隊はありません。きちんと整備をすることでいざという時のために備えています。私たちの仕事がすべての部隊の活躍を支えています」といった回答が述べられ、自衛隊における武器科職種の重要性について、取材者は正確に記録していた。

 会計科職種の小山摩莉奈3陸曹、高橋千里3陸曹への取材では、デスクワーク中の姿や、体力錬成に励む様子も撮影され、普段見ることのできない勤務風景を伝えていた。

 取材を終えた長野放送の担当者は「取材内容を『おしごと本』に反映させ、県内の各中学校に配布する」と語った。



母校で講話

<神奈川>

 神奈川地方協力本部市ヶ尾募集案内所(所長・市川直人2空尉)は7月23日、神奈川県立新栄高等学校の終業式に参加し、航空自衛隊の現役パイロットによる講話を実施した。

 講話を行ったのは、平成31年に同校を卒業し、現在は航空教育集団司令部教育2課に所属する飛行幹部候補生、鈴木陸矢曹長。鈴木曹長は広報活動支援のため市ヶ尾募集案内所に臨時勤務しており、その縁から今回の講話が実現した。

 終業式はオンライン形式で実施。鈴木曹長は会議室から全校生徒約千人に向けて自身の高校生活や航空自衛隊の任務、パイロットの仕事について語り、「高校3年間で得たことが今の自分の基盤になっている」とエールを送った。

 講話は事前告知なしで行われ、冒頭には戦闘機の映像が電子黒板に映し出されるサプライズ演出もあり生徒の注目を集めた。夏休みを前に進路を考える時期と重なったこともあり、多くの生徒が真剣な表情で耳を傾けていた。

 生徒からは「卒業生がパイロットになったなんてすごい」、「パイロットの話を聞くのは初めてでおもしろかった」といった感想が寄せられた。鈴木曹長は「母校からパイロットを目指す生徒が出てくれたらうれしい」と期待を語った。

 市ヶ尾募集案内所は、今後も学校と連携しながら自衛隊の魅力を伝え、進路選択の一助となるように努めていく。

音楽隊に敬礼‼<第21回>
前陸上自衛隊中央音楽隊長 樋口 孝博

指揮棒あれこれ

 光り輝く楽器を持つ音楽隊員を尻目に、指揮者の手には数千円の指揮棒だけが握られています。宝石をちりばめた棒などの話もありますが、指揮棒は「手の」「指の」延長となって指揮者の音楽を伝える手助けになればよいのです。

 「指揮棒を持たずに指揮する人は、棒を忘れたからだ」という逸話もありますが、実際に忘れてしまうこともあります。そんなときは、白い針金のハンガーを切って使ったり、割り箸を削って指揮をすることも!? 特に野外式典のときには、演奏者が見やすいように長い指揮棒を使うこともあります。しかし通常は20~30センチ程度のものを使用しますので、50センチにもなる指揮棒は市販されていません。そのため特注品をまとめて発注するのですが、楽器屋さんからは「在庫がなくなったら終わりですよ」と、いつも笑いながら言われます。指揮棒が長いゆえに折れてしまうこともあるので、こちらはいつもヒヤヒヤしながら使っているのです。

 あるとき、白い演奏服の右肩に黒い点や線がついているのに気づきました。「何でここだけ黒くなるのだろう?」と不思議に思いつつ、消しゴムでこすっても洗濯してみてもその汚れは取れません。式典前に隊員にその話をすると、「隊長! これでは?」と指揮棒の先端を指差しました。よく見るとその棒は、先端にボールペンの芯を刺した釣り竿だったのです。それまでは「棒の先が銀色なんて、オシャレだな…」と思っていたのですが、新品を買おうにも在庫がないためボールペンを刺すという、苦肉のアイデアだったのでしょう。式典では腰からタクトを垂直に立てて持つこともあるので、右肩に黒い点を自分で描いていたとは思いもしませんでした。

 その式典での指揮動作。皆さんもやってみませんか?

■『気をつけ』・・・右手に握った指揮棒を、腰から垂直に上を向けて立つ

■『予令の合図』・・・「イチ」で両手を持ち上げ、「ニ」で左右に開く

■『動令の合図』・・・「せ~の」と指揮を開始する


 さて、ここからは指揮棒を活用した応用編です。

●大爆笑のハエたたき

 拍手で迎えられた指揮者の手には10数本の指揮棒が握られており、気に入らないものは客席に投げてしまいます(プレゼント)。選んだ指揮棒を振り下ろしてアップテンポの《熊蜂の飛行》が始まると、どうも指揮者の前には蜂が飛んでいるようです。そこで取り出したのが〝ハエたたき〟。指揮者はこれを振りながら曲に合わせてステージを走り回ります。そして最後の音でコンサートマスターの頭に軽く振りおろし、落ちた蜂(ハエ?)を見て笑顔のうちに終了。

●リアル『進撃の巨人』

 「自衛隊音楽まつり」では、青少年を対象とする「公開リハーサル」があります。ある年では、アニメ『進撃の巨人』をテーマに演奏しました。若い観衆は、指揮者の腰に付けたアイテム「立体起動装置」を目にしただけでどよめきます。そして「剣」に見立てた2本の長い指揮棒を振りかざすと、あの日本武道館が若者たちの歓声に包まれました。

●隊長、ホームランを放つ!

 関西のコンサートツアーと、甲子園での高校野球が重なった時がありました。これはもう《栄冠は君に輝く》を演奏するしかありません。指揮者は最後の音に合わせてバットに見立てた指揮棒を大きく振り、ステージ上のメンバーは客席に飛んだ〝架空の〟ボールを見上げます。自衛隊の長い指揮棒だからこそできた打撃フォームは、予想外の盛り上がりを見せました。

 世界の指揮者には、棒を持たずに指揮をする人もいます。これは、自分の身振り・手振りだけで音楽を伝えるカリスマ性を備えた巨匠のみができることなのです。しかし指揮者は奏者に対して見易く的確な指示を出す必要があり、特に野外演奏においては指揮棒が必需品となります。その棒ひとつで演奏が始まり、多様な音楽が奏でられることから、指揮棒が果たす役割はとても重要なものになるのです。

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