自衛隊ニュース

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防衛省・自衛隊
地方協力本部

写真=入港した「ゆうべつ」(旭川地本)


最新艦ゆうべつ公開

<旭川>

 旭川地方協力本部(本部長・中尾1佐)は9月6日から7日まで、紋別港での最新鋭護衛艦「ゆうべつ」の艦艇見学において、第25普通科連隊及び海上自衛隊稚内基地分遣隊の協力を受け広報活動を展開した。ゆうべつの艦名は湧別川に由来し2010年に除籍した初代のゆうばり型護衛艦ゆうべつから、もがみ型護衛艦8番艦ゆうべつへと引き継がれた。

 二代目ゆうべつの最大の特徴は敵のレーダーに探知されにくい「ステルス性」と、対機雷戦能力と水上艦艇への対抗を両立する多機能性。コンパクトな船体で、少人数の乗組員で運用可能となっている。

 初入港に先立って入港歓迎行事が行われ、山﨑彰則紋別市長は「本日、お迎えできることを大変うれしく思います。日々の活動に感謝申し上げます」と述べ、刈田智之湧別町長は「ゆうべつの名が引き継がれたことに深く感銘を受けております。この入港を通じて、さらに深い絆で結ばれることを願うとともに、地域の発展と平和の維持に貢献して行きたい」とあいさつした。

 公開は、募集対象者等に限られた特別公開と一般公開に分けて行われ、艦長をはじめ各乗員による説明が行われた。参加した高校生からは「思った以上に大きく格好良かった」、「終始テンションが上がった!」、「海上自衛隊も格好良い」などの声が聞かれた。

 艦長の河野大輔2海佐は「多くの歓迎を受けてうれしく感じています。ゆうべつは6月19日に就役しました。早期戦力化を目指し基礎訓練等に励んでいきたい」とあいさつした。

 旭川地本は、これからも多くの機会を通じ広報活動に傾注する。


防衛省訪問

<宮城>

 宮城地方協力本部(本部長・澤村1陸佐)は8月25日から29日にかけて自衛隊夏のインターンシップを企画実施。東京大、慶應義塾大、東北大、東北学院大、日本体育大などから1~3年生の大学生18名が参加した。

 「職業観を育てること」と「自衛隊の多様な活動を知ってもらうこと」を目的に企画した。学生たちは陸自朝霞駐屯地、空自入間基地、海自横須賀基地、防衛省(市ヶ谷)を訪問し、職業体験や見学を通じて自衛隊の幅広いフィールド等を体感した。

 特に入間基地と横須賀基地での研修では基地司令、横須賀地方総監からのあいさつに続き、職業体験や懇談、資料館の見学を実施。横須賀基地では特別機動船で湾内を巡り「映画の世界みたい!」、「海上自衛隊の活動を肌で感じられた」と学生たちは笑顔を見せた。

 防衛省では幹部自衛官や職員から仕事内容の説明を受け、陸海空各幕の執務室や会計・需品課などの事務部門を見学。「訓練や現場のイメージが強かったが、幅広い職域や他省庁等との交流があることに驚いた」との声もあった。

 さらに市ヶ谷記念館や大本営地下壕を訪れ、「今に至るまでの歩みを知ることができてよかった」と感慨深げに語っていた。

 最終日にはグループごとに課題討議と成果発表を行い、「実際に見たことをもとに議論でき、リアルな学びになった」との感想が寄せられた。

 学生からは「隊員の誠実さや責任感に触れ進路を考えるきっかけになった」、「自衛隊の仕事は国防だけでなく、災害派遣や多様な支援に広がっていることを知った」といった声が多く聞かれ、今回のインターンシップが将来を考える貴重な機会となったことが伺えた。


横須賀引率

<千葉>

 千葉地方協力本部(本部長・西川和宏1海佐)は8月24日、横須賀市の海上自衛隊横須賀基地で実施された「護衛艦「かが」特別公開及び体験宿泊」において引率を実施した。

 本イベントは第4護衛隊群(呉)所属の護衛艦「かが」において実施された特別公開、宿泊体験であり、千葉地本から8名の募集対象者を案内した。

 参加者からは「自衛隊を志望しているが陸海空のどこを第1志望にするか悩んでいたため、とても参考になった」、「乗員と直接、入隊後の職種についての質問を出来て良かった」、「初めて護衛艦に宿泊したが想像より良かった」との感想が聞かれた。

 千葉地本は、引き続き各種広報イベント等を通じて多くの人に自衛隊の魅力ややりがいを発信していく。


空自〝体験〟

<静岡>

 静岡地方協力本部(本部長・田代裕久1陸佐)は8月5日と6日、航空自衛隊静浜基地(焼津市)で行われた青少年防衛講座に協力した。

 中学生から32歳までを対象に、自衛隊や静浜基地に対する理解を深めてもらおうと行われたもの。5日は13人、6日は17人が参加した。

 基地から貸与された迷彩服のズボンと帽子を着用した参加者たちは、広報資料館で航空自衛隊の任務や静浜基地の概要について説明を受けた後、グラウンドに移動。気を付けや敬礼といった自衛官の基本の動きを体験した。

 続いて2グループに分かれ、管制塔、パイロットの教育に使用されるフライトシミュレーターや航空機、消防小隊、気象隊、隊員の生活隊舎を見学した。

 格納庫に駐機しているT7初等練習機の見学では、参加者が一人ずつ操縦席に座り、興味津々な様子で「このボタンはなんですか」などと隊員に質問をしていた。

 また、消防小隊では、消火活動の際に着る防火服の試着体験や、消防車を使った放水体験を行った。防火服の重さや放水の勢いに驚きの声を上げつつも、皆笑顔で貴重な体験を楽しんでいた。

 講座終了後「自衛隊を全く知らない自分でも興味を持つことができ、とても楽しい経験だった」、「隊員の生活面など幅広く見学できて勉強になった」、「自衛官になりたい気持ちが高まった」といった感想が寄せられた。

 静岡地本は、今後も学生や若者に興味を持ってもらえるよう広報活動を行っていく。


体校選手母校へ

<栃木>

 栃木地方協力本部足利地域事務所(所長・後藤2陸尉)は8月30日、白鴎大学足利高校においてリクルータ活動を行った。

 晴天で風も少なく、8月末としては珍しい猛暑の中ではあったが、白鷗大学足利高校において、白鷗大学足利高校出身の自衛隊体育学校所属の鈴木美結選手が公開スパーリングや技術指導を実施し、後輩たちと交流を深めた。

 来場した後輩からは成長した先輩の鈴木選手を見て「すごい!カッコイイ!」と驚きの声も上がった。

 足利地域事務所は、今後も地域の高校や自衛隊体育学校と連携を図り、自衛隊の魅力を発信していく。


音楽隊に敬礼っ‼
前陸上自衛隊中央音楽隊長 樋口 孝博 
<第23回>

高度な技術を無償で提供する

写真=防衛省提供


 日本武道館での「自衛隊音楽まつり」は、高度な演奏技術をベースにした迫力のパフォーマンスで人気が高く、そのチケットはなかなか手に入らないのは皆さんご承知かと思います。電子化される以前はほとんどが自由席であったため、大勢の人たちがより良い席を求め、武道館の周りにとぐろを巻いて列をつくっていました。雨が降りしきる寒い日になると、みなさん傘を差して震えながら待ち続けているのです。そんな姿を見ていると「有料の座席指定にすれば自分の好きな席に座れるし、ゆっくり来れるのに…」と思うこともありました。しかし、聴衆の方々があれほど待ったにもかかわらず笑顔で帰路に就つく姿を見ると、ほっと胸をなでおろすのです。

 その有料化について当時の防衛庁に問い合わせてみると、答えは「否(いな)」でした。「税金で行われている事業に有料化はありません」、「1人でも有料化に反対する人がいたら認められません」という、もっともな回答でした。全国の駐屯・基地のイベントも同様です。自衛隊の活動を広く国民に紹介する、陸上自衛隊「りっくんランド」や、海上自衛隊「てつのくじら館」などの広報センターも無償です。しかし、2009年から当時の政権によって行われた『事業仕分け』では、「それだけの施設であれば有料にして国庫に還元すべきでは?」という意見が出され、事業の見直しが試行されました。実験は500円の入場料で開始されましたが、毎日散歩に来ていた人や近所の子供たちが日ごとに姿を見せなくなり、入場者も減少の一途をたどってしまったそうです。そんななか、音楽隊演奏会の有料化も検討が始まりました。

 まず陸自中央音楽隊が、「実験コンサート」という有料演奏会をすることが決定されました。防衛省での会議を終えた私は、「はてさて演奏会のチケットは、いったい幾らになるのだろう?」などと考えながら新幹線に飛び乗り、東北方面音楽隊視察のため仙台へと向かったのです。しかしこの日は、運命の2011年3月11日(東北を中心に大地震が発生)でした。予想を遥かに超えた災害派遣は長期に及び、政府も震災の対応に追われ政権交代にも影響を与えました。それに比べてほんの小さなこの有料化事業は、その後自然消滅したのです。

 翌年には、東京都などが主催する吹奏楽のイベントが開催され、プロの吹奏楽団と並んで中央音楽隊が参加しました。もちろん、どの団体も有料です。部外指揮者が著名なことも影響し、職場の電話には関係者やOBからたくさんの問い合わせがありました。しかし、無料のコンサートに慣れ親しんだ方々からは、「招待チケットない?」というものばかりでした。そして迎えたイベントは、どの団体も閑古鳥。いつも満員の聴衆に恵まれる中央音楽隊ですら、このコンサートは客席の3分の1が空席であったのには驚きました。高度な演奏をしても、「無料」でなければ集客は難しいものだと実感させられたのです。

 しかし有料であっても、数多くのイベント参加者がある「ニコニコ超会議」や、全国の吹奏楽優秀団体も出演する「ジャパンバンドクリニック」では、制服という異彩を放つ音楽隊ということもあって、満員の聴衆から注目が集まります。また、音楽隊が演奏するCDやDVDなども広く販売されていますが、こちらも無償で高度な演奏技術を提供しています。もちろん隊員が映画やテレビに出演したとしても、出演料が発生することはありません。

 海外の軍楽隊が有料でコンサートをしている例もありますが、音楽隊の演奏会が有料であれば、足を向ける人は少なくなるかもしれません。また、「なんで有料なの?」という声も当然あるはずです。やはり「高い技術を無償で提供すること」が音楽隊の本姿で、それに加え「誰でも公平に応募できる」というのが大きな魅力だと思います。そして満員に集う聴衆の喜びの拍手と声が、音楽隊員たちの悦びにもなるのです。

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