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省人化、ステルス性向上…最新鋭護衛艦
多機能護衛艦「もがみ」型を公開
写真=今回公開された「くまの」。外観は、突起物を少なくし、レーダー反射面積を低減させる構造でステルス性を向上させている
4月23日、最新鋭の多機能護衛艦(FFM)「もがみ」型の2番鑑「くまの」(艦長・奥村健二2海佐)が横須賀基地で報道公開された。「もがみ」型は各機能を集約する等して小型化・省人化されており、乗員は「むらさめ」型が約160名なのに対し、今回公開された「くまの」は約90名で運用できる。また対潜・対空・対水上はもちろんのこと、従来にはなかった機雷掃海能力も併せ持つ。
デジタル化された艦橋
艦橋はデジタル化を徹底。電子海図表示システム(ECDIS)により副直士官による運航補佐が不要になった。これにより必要な要員が8名ほどから4名に省人化された。
各機能をCICに集約
従来は、武器システムと機関室等の艦船システムが分散配置されていたが、これらを全て戦闘指揮所(CIC)に集約して艦艇のコンパクト化と省人化を実現。CICでは、特殊なカメラで収集した情報を集約し、遠隔管制・監視を行う。10人で運用が可能。
省人化で
乗員のひとりは「省人化によって専門外の仕事が増えるため、乗員同士が支えあわなくてはいけません。これまで以上にコミュニケーションの重要性が高まっています」と話した。
最終的に12隻体制に。新型も5隻計画
7番艦就役
FFM「もがみ」型は5月21日に「によど」(第12護衛隊=呉)が就役して7隻となった。最終的には12隻が建造される。また、性能を向上させた新型FFMは令和6年度予算で2隻、同7年度予算で3隻を調達する計画だ。
豪に提案中
オーストラリアが計画する次期汎用フリゲートの調達プロジェクトに、日本は「もがみ」型護衛艦の能力向上型(新型FFM)を提案している。6月1日のシャングリラ会合における日豪防衛相会談でも議題に上がり、中谷大臣は「採用されれば自衛隊と豪州の相互運用性は更に高まり、両国にとって大きな戦略的価値がある」と説明したとのこと。最終候補は日本とドイツに絞られている。
機略縦横(95)
あなたは村人になりますか?
青年になりますか?
写真=富士学校最先任上級曹長
准陸尉山本 喜彦
以前、連隊長から「屠龍の技」(とりゅうのぎ)の話を聞きました。
「屠龍の技」とは、中国のことわざで、昔山奥に悪い龍が住んでいて、時折現れては村人に害をなした。一人の青年がこの龍を退治しなければならないと考えて、その龍を屠る技を身に着けるべく一生をかけて体を鍛え、技を磨き万が一に備えたそうです。しかし、その後、龍は二度と姿を現さなかった。村人の中には無駄なことをしたと笑う者もいた。辞書には「現れない架空の龍のために努力をすること。無駄な努力」と記されています。
我々日本人は、戦争等が発生することを望んでいる者はいないと思います。だから日頃から実施している訓練、体力練成は無駄になった方が良いのです。
しかし万が一、起こった際には屠龍の技で日本国家を守り抜くことが必要です。この日本国家を守ってくれた先祖のためにも、未来の子供達のためにも我々下士官は、どんなに技術が進歩しても体を鍛え、技を磨き、肚を決めて行かなければなりません。
「あなたは村人になりますか?青年になりますか?」