自衛隊ニュース

祝 陸自部隊で入隊式
自分信じよ<19普連>
写真=申告する竹下2士
第19普通科連隊(連隊長・牧瀬1佐)は4月5日、福岡駐屯地体育館において、令和7年度一般陸曹候補生課程入隊式を挙行した。
本式は、福岡駐屯地近隣市長をはじめ、部内外多数の来賓及び一般陸曹候補生ご家族約270名に参加いただき、盛大に行うことができました。志高く入隊した18歳から31歳の一般陸曹候補生約90名は、緊張の面持ちで式に臨んだ。
連隊長は式辞で「自分の勇気を信じて、仲間の勇気を信じて、お互いがより高いところに自分自身の足でしっかりと登ってほしい。今は見えなかった景色が間違いなく約3カ月後には見えることになる」と述べ、勇気をもって行動できる自衛官に育ってくれることを強く要望した。
続いて来賓を代表して、地元自治体の春日市長から一般陸曹候補生に対して、約3カ月後の成長が楽しみであることなど激励の言葉が贈られた。
一般陸曹候補生は、初々しくかつはつらつとした態度で声高らかに申告と宣誓及び決意の言葉を行い、自衛官としての第一歩を踏み出した。
33名入隊<神町>
第20普通科連隊(連隊長・武田1佐)は4月6日、「令和7年度自衛官候補生入隊式」を挙行した。
山形県知事代理くらし安心部長兼ねて危機管理監・庄司雅人様、東根市長・土田正剛様、山形県自衛隊家族会副会長兼事務局長・大山正弘様、各協力団体会長方々、その他多数のご来賓、そして駐屯各部隊長及びご家族皆様のご臨席を賜り、33名の自衛官候補生の入隊を祝した。
式典では国歌斉唱の後、区隊長から自衛官候補生一人ひとりの名前が呼び上げられ、大きな返事とはつらつとした態度で応えた。執行者による「任命」の後、自衛官候補生代表(深谷候補生)が「申告」、引き続き「宣誓」を行った。宣誓では「自衛官候補生たる名誉と責任を自覚し、必要な知識及び技能の修得に励むことを誓います」と若く力強い声が式場に響き渡り、立派な自衛官を目指す決意を表明された。
連隊長(武田1佐)は式辞において要望事項「同期の絆を大切にせよ」を示し、「これから始まる自衛官候補生課程の教育では時には理不尽で辛く苦しいことがあると思うが、困難にあってこそ信頼し合える同期と手を差しのべ協力し、教育のあらゆる機会を通じ同期の絆をもって自衛官らしさを身に着け、日本の未来を担う立派な社会人、そして陸上自衛隊の一翼を担う自衛官になってもらいたい」と飛躍への期待を寄せた。
式終了後には、ご家族との懇談の時間が設けられ、着隊から入隊式までの約1週間での成長ぶりを見せていた。
33名の候補生たちは、教育隊長(下山准尉)以下要員の指導の下、約3カ月にわたり自衛官として共通の基盤となる資質・識能を修得するため、同期とともに教育に励んでいく。
向上心と信頼持て<5普連>
第5普通科連隊(連隊長・伊藤裕一1陸佐)は4月6日、駐屯地屋内訓練場において、多数の来賓並びに自衛官候補生のご家族約28名が参列する中、自衛官候補生18名の入隊式を執り行った。
式では、自衛官候補生を代表して工藤健志郎自候生が申告、伊沢未彩自候生が宣誓を行った。連隊長は式辞で、18名の自衛官候補生の入隊について歓迎の辞を述べた上で、以下のように要望した。
「第1は向上心である。本教育では、初めて経験する射撃訓練、戦闘訓練などの厳しい訓練を実施する。陸上自衛隊は、人が基本の組織であり、各人が役割を遂行する事ではじめて任務遂行が可能となる。諸官には厳しい訓練をあきらめることなく、自らを信じ、高い目標をもち、向上心をもって何事にも取り組んで、自分の力にしていってもらいたい」
「第2は信頼である。本教育の目標は、陸上自衛隊で自信をもって勤務するに足る、心・技・体の実力をつけることにある。厳しい状況に直面し、一人では乗り越えることができなくても、同期皆で一致団結し、力を合わせれば必ず困難は乗り越えることができる。同期は一生の宝・財産であり、いざというとき背中を任せられる存在になるよう、互いの信頼を強固なものにしてもらいたい」
場所を移して行われた記念会食では、入隊を歓迎する御祝メニューに舌鼓を打ちながら、自衛官候補生と家族が1週間振りに団らんの時間を過ごした。
会食の最後に、代表して佐藤陸斗自候生が「今までの生活と全く異なる環境でとても不安に思っていましたが、少しずつ自衛隊の生活に慣れ、同期と会話できてきてうれしく思います。この3カ月の間、初めて経験することや厳しい訓練がたくさんあると思いますが、同期とともに助け合いながら、協力しあって一つ一つを乗り越えていきたいです」と自衛官任官に向けて決意を新たにした。
失敗恐れず<7普連>
第7普通科連隊(連隊長・佐藤教人1陸佐)は4月13日、自衛官候補生課程入隊式を挙行した。
入隊式では家族や来賓が見守る中、自衛官候補生らが堂々と入場、18歳から31歳までの50名が新たな一歩を踏み出した。
連隊長は式辞で「悩みや不安なことがあれば班長や班付に遠慮なく相談し、これからの3カ月間、前向きに失敗を恐れず、助け合い力を合わせて壁を乗り越えていってもらいたい」と激励した。
また、自衛官候補生代表として、地元福知山出身である窪田候補生がはつらつと宣誓を行ない、続いて最年長で入隊し萬代(ばんだい)候補生が「同期の絆を大切にし3カ月後には今よりもたくましくなれるよう日々精進努力してまいります」と力強く決意の言葉を述べた。
記念会食や家族時間も設けられ、久しぶりに出会う家族らに自衛官候補生らの顔から自然と笑顔がこぼれていた。
音楽隊に敬礼っ‼<第11回>
前陸上自衛隊中央音楽隊長 樋口 孝博
名誉のエディンバラ
英軍楽祭に出演 皇太子の激励も
写真=エディンバラ城を背景にした軍楽際の壮大なフィナーレ
沖縄で勤務していた頃、ときおり音楽隊に顔を出される米軍エレメンタリースクール(小学校)の校長先生がおられました。彼は音楽を溺愛しており、あるとき「私が世界中を見聞したなかで、最も感動したイベントがこれです!」と、1本のビデオを差し出してくださいました。古風なお城の前で、華やかに繰り広げられる音楽イベント。これが初めて見るエディンバラのタトゥー(軍楽祭)でした。画面に映し出されるさまざまな軍楽隊の迫力と華やかさに、「いつかは行ってみたいなぁ!」と頭に浮かんだのですが、まさか後に出演するとは思ってもいませんでした。
イギリス北部に所在するスコットランドは北海道の大自然のようでもあり、市街地はどこを観ても世界遺産の歴史を感じることができます。その街並みを一望できるのが「アーサーズシート(王の玉座)」と呼ばれる小高い丘で、その麓にあるエディンバラ大学の学生寮が1か月間の宿舎となりました。この期間は、エディンバラ・フェスティバルという大きなイベントが街中で行われており、そのメインであるタトゥーは「エディンバラ城前庭」という由緒ある場所で行われるのです。城の背に沈む夕日は左から右へと移動し、暮れるのはいつかと思わせます。その景色を見ていると、自然《蛍の光》や《アメイジング・グレイス》などの旋律が頭に響いてきます。西洋音楽の原点でもあるイギリス民謡は、多くが日本と同じ「ド・レ・ミ・ソ・ラ」の音階で構成されていますから、日本人にも受け入れ易いのです。
2017年の夏。68回目となる本イベントに先駆け、まず現地プレスの撮影が行われました。コスチュームをまとった各国の隊員がモデルとなり、これが各メディアに配信されます。事前訓練はイギリス軍の施設で行われ、そこにはアン王女も激励に来られました。そのロイヤル・スマイルには吸い込まれるような気持ちになり、何を喋ったか覚えていないほどです。伝統的なタータンで着飾ったバグパイプ奏者たちは、このタトゥーの各場面で登場します。200人ものパフォーマンスは、日本では決して見ることができないものでしょう。神秘的な音色が奏でるその響きは夢心地にもなりますが、ときには敵を怯えさせる大音響の迫力が〝兵器〟の効能を持つことも伺えました。
伝統と格式のあるイギリスの各軍楽隊にも感銘を受けました。勇壮なキルトをまとったスコッツ・ガーズ(陸軍)、独創的なスネアドラムのバチさばきを見せてくれたロイヤル・マリーンズ(海兵隊)、圧巻のサウンドを聴かせてくれたロイヤル・エアフォース(空軍)など、自信に満ちあふれた演奏と演技には、我々も多くの刺激を受けました。オフの日には、ロイヤル・マリーンズの方々と合同練習をさせていただきましたが、休憩なしで2時間近く練習する彼らのタフさにもたいへん驚かされました。
千人もの出演者たちは国も軍種も違うのですが、そこは志を等しくするバンド仲間です。現地訓練ではディレクターの指示を受けながら的確に動き、背景のプロジェクション・マッピングや素晴らしい音響とともに、複雑なステージを1日で仕上げてしまいました。各国の隊長は、総合リハーサルをメインスタンドで見学することができましたが、全員が起立した《イギリス国歌》での一幕。瞬間、目の前が急にまぶしくなり周囲から「敬礼しろ! 早く!」と促されるのです。わけのわからないまま敬礼すると、周りの全員がスポットライトに照らされた私に向かって国歌を歌っています。あとで知りましたが、この場面はチャールズ皇太子(当時)ら、毎日の超VIPに正対して歌う場面だったのです。私はたまたまその席に座っていたのですが、それを知らずに胸を張って敬礼する姿を思い出すと、穴があったら入りたいくらいです。
そして翌日から行われる本番は、世界中からの観光客を前に、夕暮れの夜9時から開演となります。