自衛隊ニュース

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防衛省・自衛隊
地方協力本部

写真=新潟に初入港した最新鋭護衛艦「あがの」(新潟地本)


あがの初入港

<新潟>

 新潟地方協力本部(本部長・村岡史朗1陸佐)は7月5、6の両日、新潟西港において、海自第14護衛隊に所属する護衛艦「あがの」(艦長・藤原明永2海佐)の艦艇広報を第12偵察戦闘大隊(大隊長・結城倫太郎2陸佐)、第30普通科連隊(連隊長・郡山伸衛1陸佐)、新潟救難隊(隊長・景浦浩2空佐)とともに実施した。

 「あがの」は昨年就役した。艦名は新潟県を流れ日本海に注ぐ一級河川「阿賀野川」に由来。主砲・近接防空ミサイル・対艦ミサイル・アスロック短魚雷・哨戒ヘリコプターというあらゆる方向へ対応しうる装備のほか、海上自衛隊で初めて無人機による機雷処分を実施し、また護衛艦としては初めて機雷戦能力を獲得した最新鋭の多機能護衛艦で、新潟県へ入港するのは今回が初めて。

 当日は「あがの」の新潟入港を待ちわびた多くの来場者が会場を訪れ、2日間で延べ8千人にのぼった。これは過去最高の来場者。

 特別見学では、乗組員でなければ入ることができない艦橋や作業艇の格納庫などを乗組員の説明を受けながら見て回った。見学者からは「艦内は新造艦らしい香りが満ちていました」、「艦橋が想像した以上にシンプルかつコンパクトで驚きました」などの感想があった。

 募集ブースでは、広報官による自衛隊制度説明や現役防大生との懇談会が設けられ、対象者や家族が熱心に話に耳を傾け、「直接お話しすることができ、疑問や不安なことを質問できてよかったです。自衛官への興味が湧いてきました」と話した。

 新潟地本は、今後も艦艇広報を通じて自衛隊に対する理解を深め、志願者獲得につなげていく。


イベントに参加した女性

<和歌山>

 和歌山地方協力本部(本部長・髙岡1陸佐)和歌山募案内所(所長・別府2陸尉)は7月6日、和歌山県・和歌山市が後援、POLA有田川が主催する「POLA marche」に参加した。

 このイベントは、和歌山県で働く女性の活躍推進を目的とするイベントであり今回で7回目。会場の和歌山大学前駅ビルでは和歌山県内からさまざまな業種で活躍している女性を中心とした約30店舗・ブースが展開された。

 会場は老若男女幅広く楽しめる内容であり、来場者は多様な職業・文化等を体験した。会場に約850名、自衛隊ブースには約350名が来場した。

 自衛隊ブースでは自衛隊試着コーナーや自衛隊入隊説明、迷彩使用(カモフラージュ)ドーラン体験などを行い、盛会に貢献した。ドーラン落としはPOLAのスタッフ様にご協力いただいた。

 来場者からは「自衛隊がいるとは思わなかった。来てラッキーだった」、「迷彩服を着て顔にドーランを塗ってその気(自衛官)になれました」などの感想が聞かれた。

 防衛省・自衛隊も女性活躍推進に取り組んでおり、和歌山募集案内所は「今後も地域のイベントに積極的に参加し募集基盤の拡充に努めていく、特に意欲と能力、適性のある女性があらゆる分野にチャレンジする道が拓かれていることについて知っていただきたい」としている。


再就職備え

<福井>

 福井地方協力本部(本部長・大宅学1海佐)は6月18日、鯖江駐屯地で就職補導教育を実施した。

 退職を控えた任期制隊員に再就職に必要な知識や心構えについて教育するとともに雇用環境及び企業の実態等について説明し、円滑な再就職活動の資とした。また、予備自衛官等制度についても紹介し、退職予定隊員の予備自衛官への志願促進を図った。

 部外講師によるコミュニケーション能力育成では、エゴグラム診断で自らの性格傾向を分析し、行動変容へのポイントを理解した。

 緊張気味だった隊員も、講師の軽快なトークに次第に緊張がほぐれていった。ビジネスマナー教育では講師が用意したスーツを用いて状況に応じたスーツの選択を解説するとともに、名刺交換の作法では講師による見本の後、隊員相互で名刺交換するなど実践的な内容となった。

 最後に企業の採用担当者から、運輸業、建設業及びサービス業において、それぞれの業界で勤務するメリットや、やりがいについて説明を受け、就職補導教育を終了した。

 参加した退職予定隊員からは「実践的な教育で役に立った」、「各業界の担当者から直接話を聞けて参考になった」などの声が寄せられた。

 福井地本は、今後も必要な教育を実施して退職予定隊員の早期内定獲得を目指す。


総火演研修

<福島>

 福島地方協力本部(本部長・栗木茂幸1陸佐)は6月8日、福島県雇用協議会役員5名を招待し「富士総合火力演習」の研修を実施した。

 自衛隊の最新装備を用いた精度の高い火力戦闘をじかに体感していただき、有事の際に各企業で雇用している予備自衛官等の役割について認識し、国家の防衛基盤強化への理解を深めていただく趣旨で実施した。

 当日は天候に恵まれ、壮大な富士山の麓での研修ということもあり、参加者からは福島県からの長旅の疲れを忘れるくらいの興奮した姿が見受けられた。

 いざ、対戦車ヘリや10式戦車が登場すると、テレビでしか見たことがない装備品や済々とした隊員の行動、砲弾の音・匂い・衝撃をじかに経験し「火力の迫力に圧倒された」、「有事における即自・予備自の役割への理解が深まり、有能かつ多様な人材がいることを改めて知ることができた」との感想が聞かれた。

 福島地本では、今後も各種イベントを通じて退職自衛官の雇用及び予備自衛官等制度の理解・促進と充足率向上を図っていく。


高校生学ぶ

<岡山>

 岡山地方協力本部(本部長・小松隆司1陸佐)は8月20日、21日の2日間、三軒屋駐屯地で岡山県下の高校生15名に対し職場体験学習を行った。

 1日目は資料館・装備品を見学し、車両試乗、基本教練、自衛隊体操を、2日目はロープワーク、応急処置、護身術及び通話法を体験した。昼食は携行食体験を行った。

 自衛隊体操では「ラジオ体操とは違う動きで覚えるのが難しかった」、「激しい動きやおもしろい動きをするところが楽しかった」などの声が聞かれた。

 護身術体験では「いざという時に身を守る知識を得ることができた」、「今日学んだことを友達に教えてあげたい」といった感想が寄せられた。

 全員が学校に掲示したポスターや教諭が配布したチラシを見て参加を申し込んでおり、視察に訪れた本部長や周囲の自衛官に対し、入隊のきっかけや動機、実際の訓練の内容や様子など積極的に質問をする姿が見られた。

 岡山地本は「自衛隊に興味を持つ生徒へ更なる認知度の向上を図り、進路を考える際の選択肢の一つとなるよう、今後も職場体験学習を積極的に実施したい」としている。  

音楽隊に敬礼‼<第20回>

指揮者からの薫陶

前陸上自衛隊中央音楽隊長 樋口 孝博

写真=気迫あふれる小澤征爾氏の指揮


 音楽隊は予算の制限があるため、演奏会にプロの指揮者をお呼びすることはなかなかできません。それ以前に音楽隊長は、指揮官として隊員たちをけん引する立場ですから、他の人に指揮を譲るということもほとんどありません。しかし演奏技術や音楽表現力向上のため、稀にプロの指揮者をお呼びして薫陶を受けることがあります。

 世界を股にかけて活躍される下野竜也氏の指揮指導は、いつも笑いが絶えません。常に笑顔を絶やさずにテンポ良く指導し、話には必ず〝オチ〟をつけて盛り上げてくれます。しかし音楽へのアプローチは鋭く、その指揮棒から放たれる旋律は戦慄(ゾクゾク感)となって聴衆へ飛んでいくのです。

 長野オリンピック・ファンファーレ曲の録音では、小澤征爾氏が音楽隊の指揮をしました。しかし当日、いくら待っても氏が現れません。プレイヤーたちも次第にイライラした表情を見せ始めていました。しかし、「中止か?」と思ったその矢先、指揮棒を高々と上げた笑顔の小澤氏が登場しました。ステージの空気感が一変したその瞬間は身震いしたほどです。練習が始まると、怒涛の指導にプレイヤーたちがどんどん引き込まれていきます。棒の振り方は1小節、1拍ごとに表情を変え、ときには隊員の目の前にまで歩み寄って熱い指導をされます。その姿には、神がかっているほどのオーラが放たれていました。(このシーンは「長野オリンピック ファンファーレ」で検索すればYouTubeで見ることができます)。しかし、圧巻の録音が終了したあとに楽屋でラーメンをすする「世界のオザワ」を目にしたときは、それが非現実的なものに見えてなりませんでした。

 食事のつながりで思い出されるのは岩城宏之氏です。リスト作曲の《ハンガリー狂詩曲第2番》のトレーニングが始まると、大編成というのに埋もれているパートまでをも引き出し、岩城サウンドが着実に作られていくのには驚かされました。昼食は、「そば屋がいい」とおっしゃるので店に向かうと、「ボクは、きつねうどんとオカメそば!」と2つも頼まれるのです。「さすが、活力あふれる指揮の源は食事だなぁ」と思っていると、「ボクは何度も首の手術をしているので、あまり食べられないんだよ。せめて種類だけは贅沢させてください」とおっしゃって、目の前の麺を数本すするのみでした。

 音楽隊は募集広報の一環として、「カレッジ・コンサート」や「キャンパス・コンサート」という名の演奏会を、全国の音楽大学と共同で行なっています。ある大学で、汐澤安彦氏が学生と音楽隊の合同演奏を指揮したことがありました。しかし氏は、音楽隊員のひとりを妥協せずに反復練習するのです。学生の目の前というのに、大人の奏者を指導するその徹底ぶりには、ステージの袖から見ていても氏の熱意が感じられました。

 札幌の北部方面音楽隊には、まだ若手であった沼尻竜典氏をお呼びして《キャンディード序曲》を指導していただいたのですが、そのお礼として「74式戦車」に体験搭乗をしてもらいました。なかなか乗れない本物の戦車に、氏は驚きつつも大満足の表情を浮かべていたのが印象的でした。

 吹奏楽界で名高い指導者である丸谷明夫氏をお招きしたときは、その温かな人柄と笑顔、大阪弁で語るジョークを交えた飽きさせない話術、妥協を許さない徹底した指導に強く惹きつけられました。その指導は本番前のリハーサルでも続けられます。プロの演奏会では音響や進行のチェックがほとんどですから、このような徹底した指導が名門と呼ばれる吹奏楽団体を育てるのだと改めて知ることができました。

 ほかにも松尾葉子、現田茂夫、飯森範親、北原幸男、山下一史、齋藤一郎、時任康文ら各氏のタクトが音楽隊の新たな一面を引き出してくださいました。やはり一流の指揮者(指揮官)は、魅力あふれる〝何か〟がそこにあるのです。

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