自衛隊ニュース
令和7年度防衛基盤整備協会賞を贈呈
「もがみ」型仕切弁の自動化等5件を表彰
協会は装備移転支援や
サイバープロ人材育成にも尽力
写真=鎌田理事長(右)から表彰状を授与
11月25日、公益財団法人防衛基盤整備協会(理事長・鎌田昭良)は、ホテルグランドヒル市ヶ谷(東京都新宿区)で、防衛装備庁の後援を受けて「令和7年度防衛基盤整備協会賞贈呈式」を行い、護衛艦「もがみ」型にも採用されている仕切弁の自動化等5件を表彰した。
式には防衛省から整備計画局長、統幕後方計画部長、陸海空幕僚監部装備計画部長、海自補給本部長、防衛装備庁長官、各装備官、各部長、および関係団体から日本防衛装備工業会、防衛技術協会、日本航空宇宙工業会の代表者らが参列した。
「防衛基盤整備協会賞」は、企業が自ら発案して、国等からの支援を受けることなく独自に防衛装備品等の研究開発に尽力し、部隊等でその性能が証明された技術・研究者グループを称えるもの。協会設立当初か行われているもので、今年度で47回目、累計表彰件数は242件にのぼる。
鎌田理事長は「政府は、3年前の12月に策定した戦略3文書において、防衛産業を防衛力そのものとして位置づけ、また一昨年の6月に策定された防衛生産基盤強化法に基づき、防衛生産基盤の強化を図っている。このような中で、協会賞を贈呈することにより防衛生産基盤の強化に貢献できることは協会にとっても名誉なことだ」と挨拶。また、海外移転装備案件に対して防衛装備移転円滑化基金から助成金を交付する「装備移転支援業務」や、「サイバープロ人材育成助成金制度」等協会が行う新しい事業について、「防衛省自衛隊や防衛産業にとって有益となる新たな事業の展開を目指していく所存だ」と述べた。
今年度の表彰業績・企業は以下の通り(敬称略)。
◇「24式対空電子戦装置の開発」(三菱電機)
◇「装輪戦闘ファミリー車両(16式機動戦闘車、24式装輪装甲戦闘車、24式機動120㎜迫撃砲)の開発」(三菱重工業株式会社)
◇「18式防弾ベストの開発」(東洋紡エムシー株式会社・京セラ株式会社)
◇「艦艇用洋上給油管伝動軸付仕切弁自動化による運用省力化」(株式会社内山バルブ製作所)
◇「ONBOS CL/ISの開発」(富士通株式会社・富士通ディフェンス&ナショナルセキュリティ株式会社)
「防人」応援隊
写真=祝辞を述べる学校長
航空学校でヘリ整備の
民間力導入を開始
<エアロファシリティー(株)>
10月1日、陸上自衛隊航空学校において、練習ヘリコプターTH480Bの整備業務にかかわるエアロファシリティー株式会社の「明野事業所」及び「宇都宮事業所」の開所式が実施された。
航空学校ではこれまで、約1年間をもって練習ヘリコプターTH480Bの整備業務にかかわる民間力導入の検証と準備を進めてきた。
今後、エアロファシリティー株式会社の整備従事者が明野駐屯地と北宇都宮駐屯地に常駐し、TH480Bの機体整備等の一翼を担うこととなる。
募集看板を正門前に設置
<入間つばさ会>
入間航空祭を2日後に控えた11月1日午前、入間基地稲荷山門前に入間つばさ会が制作した募集看板が設置された。設置には入間つばさ会の武藤茂樹会長をはじめ、早坂事務局長、畑中理事、そして中部航空警戒管制団から人事部長、人事班長らが立ち会い、出来上がった看板を前に完成を喜び合った。
この看板は、渡久地理事が中心となってデザインしたもので、企画変更や度重なるデザイン修正、設置日の変更など、さまざまな困難を乗り越えて完成に至った。東町門に設置した看板と同サイズで、紫外線にも強い素材を使用しており、長期にわたって掲示できる耐久性を備えている。
正式な引き渡し式は後日に予定されいるが、航空祭当日には多くの来場者の目に触れたことだろう。
入間つばさ会は「ぜひ皆さまも現地を訪れ、看板をご覧になり、記念写真を撮っていただけると幸いです。航空祭の賑わいの中で、多くの方々の関心を集め、SNS等でも広く紹介されることを期待しています」とコメントしている。
災害時協定締結<JUIDA>
航空自衛隊第1警戒隊(隊長・松永康佑2空佐=笠取山分屯基地)は、無人航空機の普及を目指す一般社団法人日本UAS産業振興協議会(理事長・鈴木真二、以降JUIDA)と、災害時応援に関する協定を締結した。空自が民間のドローン団体と災害時の連携協定を締結するのは全国で初めて。分屯地が所在する三重県津市等で災害が発生した際に、第1警戒隊の要請を受けたJUIDAが会員のドローン事業者と連携して情報収集や物資輸送等で支援を行うことを想定。今後は年に2、3回の訓練で実効性を高めていくという。鈴木理事長は「今後災害時のドローンの活用が国内で進んでいくことを期待している」と挨拶。松永隊長は「空自の先駆けとして、当分島基地の厳しい環境下において本協定を運用できれば、その他の地域でも広く運用することが可能となる」と期待感を表した。
機略縦横(107)
信頼でつながる、任務と人生
化学学校最先任上級曹長
准陸尉 髙﨑 雄人
最近、親しい先輩の退官をきっかけに、51歳を迎えた自分もこれまでの時間を振り返りました。そこで気づいたのは、「仲間と共に任務を果たすこと」と「自分の人生を豊かに生きること」は、実は深くつながっているということです。
自衛官の通常の勤務は1日約8時間、演習や訓練を含めれば家族と過ごす時間より職場にいる方が長いかもしれません。つまり、一度しかない人生の大半を自衛隊で過ごしていると言っても過言ではありません。
自衛隊は団結・規律・士気を重んじ、仲間との信頼関係が任務遂行の要です。信頼できる仲間がいるからこそ、困難な任務にも立ち向かえます。その信頼はお金では買えず、生涯の宝となります。現場主導で任務に真摯に向き合い、互いに信頼を築く努力を重ねることで、人生そのものが豊かになります。さらに異動を重ねる中で新たな出会いが生まれ、仲間が増える。それもまた自衛官の醍醐味です。
「仲間と共に任務を果たすこと」と「自分の人生を豊かに生きること」は表裏一体。信頼という絆が強いほど、仕事も人生も充実していくのだと実感しています。そして、信頼関係の第一歩はやはり挨拶から。今日も笑顔で、元気に「おっすー!(おはようございます)」から一日を始めたいと思います。