自衛隊ニュース
次世代主力装甲車が納車
普通科教導連隊で入魂式行う
写真=富士山とAMV
11月4日、装輪装甲車(人員輸送型)AMVが、日本製鋼所より納入され、普通科教導連隊(連隊長・山口勝1陸佐=滝ヶ原)は、翌日5日に入魂式を実施した。AMVはフィンランドのパトリア社が開発、装備化し、ポーランドやスウェーデンなど、多くの国で活躍する実績を持つ装甲車であり、現在運用している96式装輪装甲車(WAPC)の後継として装備化されたものである。
入魂式は、岡部健富士教導団長をはじめ、日本製鋼所の方々や富士教導団親睦会長、富士教育直接支援隊長など多数のご来賓をお迎えして執り行われた。
須走富士浅間神社宮司による安全祈願ご祈祷、祝詞に引き続き、第4中隊長、第4中隊先任上級曹長、連隊長、連隊最先任上級曹長、富士教導団長の手によって「普教‐4」の部隊名を書き入れ〝入魂〟を実施した。
「戦力化に向けて連隊
一丸となって取り組む」
普通科教導連隊長は式辞において「本装備の部隊配備に至るまでの自衛隊関係者、日本製鋼所をはじめとする防衛産業の皆様の努力に改めて敬意を表します。AMVは防護力、機動力をはじめ、従来の装備品をあらゆる点で凌駕しており、普通科部隊の戦い方を飛躍的に向上させる可能性を秘めている一方、従来装備品に比し、車体・重量ともに大きく、また、左ハンドルという特性、さらには後日、リモートウェポンシステム(RWS)というこれまでにない射撃システムが装着されるなど車両運行をはじめとする安全管理には十分留意が必要である、全国の普通科部隊の指標部隊としてAMVの戦力化に向け、連隊一丸となり取り組んでいこう」と述べた。
「抑止力が更に向上」
また、富士教導団長は祝辞において、「(関連企業や協力団体の)皆様の絶え間ないご支援、ご協力があってこそ、我々はこのような素晴らしい性能を有する最新の装備を手にすることができました。ここに改めて厚くお礼申し上げます。新たに導入されたこのAMVは、あらゆる面で従来の装輪装甲車の性能を大きく向上させており、中でも強化された防護力は、乗車する隊員の安全確保をより確実にすると理解しており、陸上自衛隊の抑止力を更に向上させるものと確信しています。本日、ここに参列している普通科教導連隊の隊員諸官には、今後、このAMVを装備する普通科部隊の指標となるべく、誇りを持ってひたむきに戦技を錬磨し、精進することを要望します。」と述べた。
AMVは今後も継続的に納入され、教育支援はもとより、各種訓練や演習の場での活躍が期待される。
安否確認訓練<都城>
写真=安否確認の要領を展示
都城駐屯地業務隊(隊長・浜松賢二2陸佐)は、11月9日、都城駐屯地、三股町第七分館及び同周辺地域において、宮崎県自衛隊家族会及び宮崎県隊友会の協力を得て安否確認訓練を実施した。
本訓練は、大規模災害発生時等における支援要望する隊員家族の安否確認要領を演練し、今後の家族会・隊友会と連携した家族支援の在り方について検討するとともに、同施策の実効性向上を図ることを目的として昨年11月から実施しているものであり、四回目の実動訓練では初めて都城市以外で実施をした。
当日は、両団体参加者に対し業務隊長から日頃のご支援ご協力に対する御礼、本施策の重要性及び家族支援に関する自衛隊の取組について紹介し、厚生科長から安否確認システムの周知、安否確認要領の展示を実施した後、厚生班長の統制による実動による訓練を開始した。
訓練状況開始後、都城駐屯地に開設した家族支援センターから電話・メールにより安否確認等の依頼を受けた三股町家族会会長及び宮崎県隊友会三股支部長は連絡網に基づき会員へ連絡し、連絡を受けた会員は安否確認の依頼を受けた(設想)隊員家族宅を訪問し、業務隊の検証要員等が見守る中、一連の安否確認要領等を演練した。
なお、過去の教訓から訓練場所への移動は最小限の人員とし、その他の訓練参加者はテレビ電話の映像により、現地に行かずとも訓練状況がリアルタイムで共有できるよう創意工夫した。
状況終了後の研究会においては、次回以降の訓練につながる貴重な意見が活発に交わされ、県家族会会長及び県隊友会会長からは「非常に充実した訓練であった。我々も日頃からどういった支援ができるか、また、連絡系統の確立等、しっかり検討し、いざという時に備えていきたい」とのコメントをいただいた。
宮崎県では本年3月、海空自衛隊を含む新たな連携態勢による新協定書を締結したところであるが、都城駐屯地業務隊においては今後も本協定に基づき、関係部内外機関との連携を図り、宮崎県下の家族支援態
勢の強化を図っていきたい。
永年勤続表彰
湯飲みに揮毫
<岩見沢>
写真=揮毫を終えた永年勤続表彰者たち
岩見沢駐屯地(群長・福永信彦1陸佐)は、11月11日、自衛隊記念日に合わせ岩見沢駐屯地において永年勤続者に対し表彰を伝達した。
表彰は勤続期間25年以上の隊員に対し行われ、群長から賞状及び記念品を渡し、合わせて「防衛大臣の言葉」を司会が代読した。
その後、駐屯地陶芸場において「岩見沢日の出焼き」で作られた湯飲みに揮毫をした。皆真剣な眼差しで、思いを込め筆を握り、終始和やかな雰囲気で揮毫を終了した。
ノーサイド
北原巖男
地元のリーダーから言われた言葉
今年も早や12月を迎えました。時の経過の速さに、改めて驚かされます。インフルエンザやコロナも流行しています。師走の慌ただしい毎日、全国の自衛隊員の皆さん・ご家族、そして本紙読者の皆さんには、くれぐれも気を付けられますようお願いいたします。
こうした中、補正予算編成、来年度本予算編成、安全保障関連3文書改訂、同盟国や同志国との関係、中国・北朝鮮・ロシアとの関係、防衛生産・技術基盤や人的基盤の強化等々、国民のため・この国のため、防衛省・自衛隊の皆さんが全力で取り組んでいる重要案件は、極めて広範多岐にわたります。しかも、これまでにない厳しく複雑な安全保障環境は、それぞれ一刻の猶予も許しません。正に目白押し状態にあります。頑張ってください。
そして、全国各地に展開している地方防衛局や地方協力本部・部隊・基地等の皆さんは、相互に連携しながら、いかなる事態の生起に際しても国民の皆さんの負託に応えられるよう、常日頃から、防衛省・自衛隊の諸施策の円滑な実施、駐留米軍を含む基地問題への取り組み、部隊や個人の練度の維持向上を図る訓練・演習等の実施・訓練環境の整備、各種オペレーションの効果的展開を可能にする諸環境の整備等に努めています。
これらの前提が、各地域との協力関係の構築にあることは言うまでもありません。
今この時間も、関係自治体のリーダーを始め、様々な関係の皆さん、地域の皆さんのもとに出向いて説明や質疑応答を重ねる等、尽力されておられることと思います。皆さんの相手方には相手方としての立場もあり、真に容易ならざる任務ですが、ひたすら公に尽くす皆さんの、誠意と不撓不屈とも言える努力が実を結ぶことを願って止みません。
筆者も、かつて地方に在って、地元の皆さんの理解や支持を得るべく、いろいろ走り回って来た一人です。
当時、地元のリーダーから筆者が言われ、今もはっきりと覚えているお二人の言葉を、共有させて頂きたいと思います。筆者の経験は既に遠い昔のことであり、時代も異なるとの叱声を受けるかもしれませんが・・・
(Aさん)
・「自分だけが、どうしてこんなに苦労するんだろうと思ってはいけません。大変な仕事であればあるほど、相手も同じなのですよ」
・「人間というのは、何でもないときは、お互いに顔形を含めてよく似ているなぁと思うのですが、いったん事が起きた場合、これほどまでに異なった対応をするものかと驚かされるときがあります」
・「まさに真剣勝負でことに臨み、誠心誠意懸命に努力するとき、立場や年齢、性別などを超越した気迫を感じるものです。人生意気に感ずです」
・「やるべきことは、断固としてやることは当然です。大事なことは、それをいつまでにやるかということです。全力を尽くすということは、そういうことではないでしょうか」
・「人間は正直でありたいものです」
・「私を支えていてくれるのは市民の皆さんです。私は市民と一体です。自分は市長として出来る限りのことはしたと、信念をもって考えるのでなければなりません。あなたから”いい人だ“といわれるだけでは困る」
・「私たちのふるさとをよく知ってください」
・「政治家たる者、その行動についての評価は、今求めてはなりません。道を誤るもとです。歴史が評価するところにゆだね、信念をもって行動することが大切だと思います」
(Bさん)
・「沖縄の基地問題については、皮膚感覚で捉えて欲しい」
・「沖縄の基地問題は長い歴史があります。ある事案が起きた時に、それだけで、即ち「点」で考えずに、長い歴史、即ち「線」上の「点」で考えて欲しい。県民はいつも「点」ではなく「線」で基地問題を捉えます。例えば、ある事件や事故が発生した場合などで、被害が無かったり軽微だった場合でも、「不幸中の幸い」といった言葉は、県民からは出て来ません」
・「沖縄の基地問題に対する取り組みは、あたかも外国と外交交渉を行うように、丁寧に丁寧に進めて行って欲しい」
・「沖縄県は47都道府県の1つであり、47分の1ですが、県民には、46+1といった気持ちもあることは否定できません」
・「沖縄県民は、普段はとても穏やかで優しいです。しかし何か起きると、心の中に在るマグマが火山のように突如噴出することがあります。基地問題に対する県民のマグマの存在を予め知っておいて欲しい」
・「沖縄の基地問題をめぐる現地沖縄と中央との温度差を縮める努力をお願いしたい」
―連日頑張っている現職の皆さんにとって、お二人の言葉が、今なお参考になれば幸いです。
北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事