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札幌病院で災害対処訓練
ドクターヘリが初めて参加する

写真=ドクターヘリで患者を転院


 11月9日、自衛隊札幌病院(病院長・森知久陸将)は、令和7年度災害対処訓練を実施した。

 本訓練は、道央地区(札幌市)における大規模地震(直下型地震)、就中被害が大きくなると予想される冬季における地震を想定し、当初、前段訓練として午前8時に月寒背斜断層を震源とするマグニチュード7・2、最大震度7の地震発生の状況付与から開始された。第3種非常勤務態勢に移行、病院当直司令が非常呼集を開始、病院職員は登庁後、アクションカード(災害時における活動内容が記載されたカード)に示された内容に従い、速やかに救護班の派遣準備、病院指揮所及び子弟預かり所を開設した。それとともに、職員の被害状況の把握及び病院機能の早期発揮並びに傷病者の受け入れを第一義として準備を実施し、初動対処要領の確立及び業務継続計画の実効性向上の資を得た。

 また、後段訓練として救急医療基盤の向上を図るため、札幌市内6コ病院(札幌医科大学附属病院等)からDMAT(災害派遣医療チーム)26名が参加し、自衛隊札幌病院と北海道DMATとの連携訓練を実施した。令和4年から毎年行われているDMATとの連携訓練ではこれまで病院機能の維持・拡充のための訓練を主に実施してきたが、今年は初めて手稲渓仁会病院のドクターヘリの参加を得て、大地震において多数の重症患者が発生した場合においても平素の救急医療レベルを提供するための広域医療搬送に繋がる連携を実施し、DMATの持つ機動性と専門性を生かした新たな訓練を実施することができた。

 訓練終了後は、DMATとの意見交換会を実施し、今後、更なる連携強化・能力向上に向けた共通認識を得ることができた。

 自衛隊札幌病院は、継続して訓練を実施し、今後いつ如何なる事態が起きても地域住民の皆様、道民・国民の皆様の安心と安全を護っていく。

ブリュネ・タカモリ25<21普連>

写真=海上機動訓


 第21普通科連隊(連隊長・清田裕幸1陸佐=秋田)は、9月1日から11日までの間、仏領ニューカレドニアにおいて実施された令和7年度仏陸軍との実動訓練(ブリュネ・タカモリ25)に参加した。

 本訓練は対ゲリラ・コマンドウ作戦に係る任務遂行能力・戦術技量の向上を図るとともに、陸自と仏軍との相互理解・信頼関係の促進を図ることを目的とし令和5年より実施されており、仏軍側からは太平洋ニューカレドニア海兵歩兵連隊が参加し、訓練は現地演習場や地元海岸等で実施された。

 訓練名称である「ブリュネ・タカモリ」は幕末から明治維新にかけて活躍した仏軍人ジュール・ブリュネと陸軍元帥西郷隆盛からとったものであり、日仏軍人の「騎士道」「武士道」の相互融合を表現している。特にジュール・ブリュネは江戸幕府の軍事顧問として函館戦争に榎本武揚らを支援して参戦し、旧幕府軍の副総裁となり最後まで参戦した仏軍人で、映画「ラストサムライ」のモデルとも言われている人物である。

 前半の機能別訓練では、戦闘射撃、衛生訓練、UAV訓練、密林内で行われるコマンドウ訓練、仏軍舟艇による海上機動訓練が行われた他、陸自初の連隊級での日仏共同指揮所訓練が実施された。

 後半に総合訓練として行った日仏共同によるゲリラ・コマンドウ対処訓練は、機能別訓練で学んだことが随所に生かされるように状況が設計されており、全日程を通じ日仏双方が最大限効果を得ることができる訓練であった。

 陸上機動及び海上機動による進入、それに引き続く日仏共同でのゲリラの捜索・撃滅等により、対ゲリラ・コマンドウ作戦に係る作戦遂行能力・戦術技量の向上を図った。

 訓練を終え、仏軍指揮官 ルイ・ベルベオック大佐は「陸上自衛隊とニューカレドニアにおいて訓練できたことは相互に多くの学びがあり、非常に意義深く、何より日仏の絆を深め合うことができたのは成果であった」と述べ、連隊長の清田1佐は「国外訓練ならではの様々な困難があったが、仏軍の素晴らしいサポートと秋田隊員らしい粘り強さのおかげで乗り越えることができた。精神面・技術面双方で得るものが多い充実した訓練となった」と語った。

 陸上自衛隊と仏陸軍は気候風土の違う異国において他国の軍と共同するという難解でありながらも極めて貴重な任務を全うし共に得難い絆と経験を得た。

第2次 師団訓練検閲
<第2師団>

写真=敵の装甲車を狙う25普連の隊員


 第2師団(師団長・大場剛陸将=旭川)は、10月24日から10月31日までの間、上富良野演習場において「令和7年度第2次師団訓練検閲」を実施した。受閲部隊となった第25普通科連隊は連隊を基幹とする第25戦闘団を編成し、対抗部隊として第3即応機動連隊が参加した。

 訓練開始に先立ち師団長訓示と隊容検査が実施され、第一線救護や特殊武器防護等の機能別検査を実施して訓練検閲受閲態勢の万全を確認した。

 雪交じりの雨が降るなか状況が開始されると、第25戦闘団は機動展開に引き続き坑堪性のある陣地を構築し、敵の攻撃を阻止するための強固な掩蔽壕や屋根型鉄条網などを概成させた。また、120ミリ迫撃砲の陣地変換予行や戦闘予行を実施するとともに、最新の装備品等を活用した監視網を構成して防御態勢を確立した。

 対抗部隊(第3即応機動連隊)がその機動力を生かして攻撃を開始すると、第25戦闘団は各種ツールを活用して敵の侵攻状況を解明共有し、緊要な時期と場所に火力等の戦闘力を集中させるなど、戦闘団の総合戦闘力を発揮して強靭な防御

戦闘を行い任務を完遂した。

 状況終了後は、本訓練間、特に功績のあった隊員として令和7年度新配置隊員を含む13名に対して師団長から褒賞を行い、第2次師団訓練検閲を終了した。

大宮駐屯地・化学学校
創立68周年記念行事

写真=中央特殊武器防護隊の展示


 大宮駐屯地(化学学校長兼大宮駐屯地司令・村上章陸将補)は、11月1日、大宮駐屯地・化学学校創立68周年記念行事を挙行した。(共催‥大宮自衛隊協力会・防衛化学会)

 大宮駐屯地及び化学学校の創立記念行事を合同で行うのは初めて。

 感謝状贈呈式では、大宮駐屯地及び化学学校の発展に多大な貢献を頂いた方々に日ごろからの感謝の気持ちをお伝えすることができた。

 記念式典では、化学学校長兼ねて大宮駐屯地司令・村上章陸将補の式辞において平素から大宮駐屯地を応援していただいている皆様へ感謝の気持ちを述べるとともに、「引き続き、国民そして大宮駐屯地が所在する地域から信頼される駐屯地となるべく、これからも駐屯地一丸となって取り組んでいくことをここにお誓いいたします」と述べた。

 観閲行進では、観閲部隊指揮官の化学学校副校長(小原1陸佐)を先頭に、第32普通科連隊、中央特殊武器防護隊等の部隊総勢294名、車両19両が参加し、一糸乱れぬ迫力ある行進を行った。

 訓練展示では、第32普通科連隊、中央特殊武器防護隊、第1飛行隊(立川)が日ごろの訓練の一端を紹介し、大宮駐屯地に対する一層の理解を得た。

 記念会食では歴代学校長をはじめとして、各協力会、企業、駐屯地及び所在部隊へご協力をいただいている皆様のご臨席を賜り、和やかで盛大な会となった。

 ほかにも高機動車体験搭乗、装備品展示、輪投げやミニ制服試着などのキッズコーナーを実施するとともに、埼玉県赤十字血液センターが実施する献血、駐屯地史料館の開放を行い、来訪された多くの皆様の笑顔で溢れていた。

 大宮駐屯地及び化学学校は、引き続き国民及び地域から信頼される駐屯地となるべく、日々邁進していく。

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