自衛隊ニュース
日米豪3カ国の作戦構想を連接
ヤマサクラ91(YS91)を実施
写真=記者会見に臨んだ左から豪・日・米の各指揮官(9月2日、陸上総隊司令部)
陸上自衛隊、米陸軍・米海兵隊、豪陸軍による日米豪共同指揮所演習「ヤマサクラ91(YS91)」が、8月29日から9月10日まで、北海道、埼玉、香川、熊本、沖縄の各地で実施された。陸自約5200人、米軍約1100人、豪軍約200人が参加し、指揮幕僚活動を演練した。
演習では、陸自の領域横断作戦(CDO)、米陸軍のマルチドメインオペレーション(MDO)、米海兵隊の機動展開前進基地作戦(EABO)を踏まえ、3カ国の作戦構想を連接。共同で作戦を実施する際の指揮幕僚活動の実効性と相互運用性の向上を図った。
訓練の開始にあたり、日米豪の各指揮官は、YS91に臨む隊員に訓示し、演習に懸ける考えや3カ国の連携強化への意気込みを語った。
日・遠藤陸将
相互理解と信頼を重視
陸上総隊司令官の遠藤充陸将は、3カ国の指揮幕僚活動の実効性向上に加え、率直な議論や知識・経験の共有を通じた相互理解と信頼関係の深化を重視。共同記者会見では、宇宙・サイバー・電磁波領域を含む情報共有や、迅速な意思決定・指揮統制の重要性を挙げた。
米・マクファーレン中将
各国の能力を統合
米陸軍第1軍団長のマクファーレン中将は、YS91について「単なる第46回ヤマサクラではない」とし、同盟の力をより現実的な形で示すことを強調。指揮統制の統合やAIなど新たな能力を取り入れ、人員、手順、技術の各面で相互運用性を高める考えを示した。また、各国が持つ能力を各領域で最大限に生かし、連接することの重要性を指摘した。
豪・コリンバーン少将
技術を生かす「人」
豪陸軍第1師団長のコリンバーン少将は、YS91を3か国が複雑な作戦環境でともに活動するための「リハーサル」と位置付け、人員、システム、司令部の相互運用性を高める機会と説明。新たな技術を取り入れ、試しながら適応していくことの重要性を述べる一方、最終的に作戦を動かすのは人であり、人の適応力も重要だと強調した。豪陸軍のヤマサクラへの参加は令和5年度からで、今回が4回目。
3指揮官の発言で共通することは、装備やシステムだけでなく、それを扱う人と指揮統制、3カ国の信頼関係が重要だという点だ。YS91は、相互理解を深め、日米豪の連携を強化するものとなった。
JXR‐南海トラフ地震に備えて‐
<第1師団>
写真=海上輸送艦「ようこう」への車両搭載
第1師団(師団長・富崎隆志陸将)は7月21日から24日までの間、令和8年度自衛隊統合防災演習(08JXR)に参加し、大規模震災発生時における指揮幕僚活動を演練するとともに、南海トラフ地震対処計画の実効性及び師団としての対処能力の向上を図った。
発災想定日の21日、師団司令部における指揮所活動を開始するとともに、各部隊の連絡員を静岡県庁及び東京都神津島へそれぞれ実派遣し、関係機関との連携を図りつつ、被害情報の収集及び部隊展開に伴う諸調整を実施した。また伊豆諸島の部隊展開の際の各種諸元及び教訓事項を収集するため、自衛隊海上輸送群「ようこう」に人員・車両等を実搭載し、神津島への部隊輸送を実施した。
翌22日には静岡県清水駅東口広場において救護所を開設、患者収容及び応急処置等の衛生救護訓練を実施して、実地における救護所の開設、運営能力の向上を図った。
23日には静岡県のマックスバリュ松崎店において地域住民への給水支援訓練を実施した。本訓練では酷暑対策のため、ファンベストを着用した隊員による活動を実施して夏季における生活支援活動の実行性向上を図った。
師団は本訓練を通じ、多くの課題や貴重な教訓を得ることができた。
今後も関係機関との連携を強化するとともに、演習で得た成果や教訓を各種計画・訓練等に着実に反映し、大規模災害等に迅速・的確に対処しうる能力の更なる向上に努め、引き続き国民の期待に応え続けていく所存である。
中方総監に松永陸将が着任
写真=松永中部方面総監
中部方面隊は、8月4日、伊丹駐屯地において「中部方面総監着任式」を挙行した。
松永総監は、福岡県出身、前職は統合幕僚副長、経歴として、第15旅団長、第7師団長などの要職を歴任し、このたび、第39代中部方面総監として着任した。中部方面隊での勤務は、2度目となる。
着任式では、冒頭で令和8年熊本地震の犠牲者にお悔やみを述べ、被災された方に対する方面隊としての全力の支援を指示するとともに、任務や訓練、隊務運営に励む全ての隊員に感謝と敬意を表した。
統率方針として「任務完遂」を、要望事項として「即応性の向上」「相互信頼」「地域とともに」をそれぞれ示すとともに、「実行動によって結果を出し、任務を遂行し、国民・地域の皆様の期待や負託に応えることが自衛隊の本質・使命である」と述べ、「厳しい安全保障環境にしっかり対応できるがごとく、皆で力を合わせて頑張っていきましょう」と着任の辞を締めくくった。
中部方面隊は「引き続き、2府19県の皆様の信頼と期待に応えるため、より強靭な部隊を目指して隊務に邁進していく所存です。皆様の変わらぬご支援とご協力の程、よろしくお願い申し上げます」としている。
准曹士の先頭に立ち部隊導く
写真=杉本准尉
8月1日、第14旅団兼ねて善通寺駐屯地最先任上級曹長が交代した。
離任する第9代最先任上級曹長の西森正剛准陸尉は、1年4カ月の在任間『芯の強い・心の強い・繋がりの強い准曹士の育成』を目標に掲げ、隊員一人ひとりに寄り添いながら、フォロワーシップの醸成と後輩隊員の育成に尽力した。特に、旅団隷下部隊における陸曹候補生指定者を127名輩出し、将来の陸上自衛隊を担う陸曹の確保・育成に大きく貢献し、旅団の人的戦闘力の維持・向上に寄与した。
新たに着任した第10代最先任上級曹長の杉本守准陸尉は、交代行事において隊員に対し「現場の意見を受け止め、旅団長の意思を各部隊へ浸透させ、国民・地域から信頼される強い第14旅団を築いていきたい」と抱負を表明した。
また、旅団長統率方針『すべては実任務のために』を常に胸に刻み、准曹士の先頭に立って共に歩み・共に汗を流しながら、『自ら考え行動できる隊員の育成』に全身全霊で取り組む決意を述べた。
第14旅団は、新たな最先任上級曹長のもと、隊員相互の連携・信頼・団結を一層強固なものとし、いかなる任務にも即応できる精強な部隊を目指していく。