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社訓

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2025年

「衛生機能の変革」の中核に

衛生学校で2新規集合教育開始

衛生学校で2新規集合教育開始

合同教育開始式に臨んだ学生たち


 陸自衛生学校(学校長・水口靖規陸将補=三宿)は1月15日、「衛生機能の変革」のための第1期集合教育「ダメージコントロール手術」、同「航空後送間救護」の合同教育開始式を同校で行った。

3文書受けて
 二つの新規集合教育のうち「ダメージコントロール手術」は、戦闘外傷に対するダメージコントロール手術(=DCS、患者の状態を後送に耐えうるレベルまで安定化させる応急的手術)、およびダメージコントロール蘇生(=DCR、DCSを支えるための蘇生処置等)の知識・技術を修得させるとともに、チームとして任務が達成できる要員を育成する。
 教育期間は約7週間。自衛隊中央病院(三宿)などから10人(医官、看護官、准看護師)が入校した。
 「航空後送間救護」は、同救護に必要な知識・技術を修得させ、同救護要員として島嶼間の患者後送に際しクルー単位で航空機に添乗し、救護を実施する要員を育成する。
 教育期間は約8週間。自衛隊中央病院(三宿)などから5人(医官、看護官、准看護師)が入校した。
シームレスな医療・後送態勢を
 開始式には、大友災害医療センター病院長、平山自衛隊中央病院副院長、菊池陸幕衛生部長らの来賓、水口学校長をはじめとする学校職員、入校学生の合わせて約50人が出席。両集合教育の参加学生を代表して力武2陸佐(自衛隊中央病院)、和田3陸佐(同)がそれぞれ入校を申告した。
 2022年12月に策定された安全保障関連3文書の「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」は、第一線から最終後送先までのシームレスな医療・後送態勢の強化などを柱とする「衛生機能の変革」を提示している。
 水口学校長は式辞で衛生学校が「衛生機能の変革」の実効性向上のための取り組みを進めているとし、「本集合教育はこれらの取り組みの中核であるとともに、最新の自衛隊衛生を象徴するものでありその期待は大きい」と述べた。
 さらに、「(両集合教育による態勢強化は)前線で戦う隊員に勇気を与え、その家族に安心感を与え、日本の平和と安定に貢献することになる。諸官にはその先陣を切ってもらいたい」と学生たちを激励した。
 衛生学校教育部教務班長の福留3陸佐は取材に対し「チームビルディングが重要。医師、看護師、准看護師の三つの医療特技を持つ隊員が一致団結しチームワークを持って処置することが求められる」と話した。

戦傷治療集合訓練も公開
有事想定し
 陸自衛生学校は1月13~17日、「令和6年度戦傷治療集合訓練」を同校で実施。15日、訓練の様子を報道公開した。
 集合訓練では、有事を想定した収容所での戦傷治療をシナリオに基づいて行い、参加チームが統裁部の評価を受けた。陸上総隊と各方面隊(北方、東北方、東方、中方、西方)の衛生科部隊から6チーム(1チーム7人)が参加した。
 1チームずつが順に、それぞれ異なる設定状況に対処した。体育館内に開設された収容所を想定した施設に3人の傷病者(人体シミュレーション模型)が相次いで運ばれ、隊員たちは負傷箇所・度合を目視等で確認。声を掛け合いながら、救急車(治療施設)に引き継ぐための応急治療を迅速に行った。
 副課目として、別な場所では8人の負傷者へのトリアージ(傷病の状態に応じて治療の優先度を決める)も行われた。
 訓練の立案・準備にあたった衛生学校企画室の田脇3陸佐は、「評価する運営側も育成することを目的とし訓練を準備した。また、人体シミュレーション模型を用い、これまで実現できなかった外傷に特化したリアリティーある状況を付与した。傷病者3名が到着するタイミングをばらばらにし、突発的な受け入れに対してしっかりと治療と後送の優先順位を決定し対応できるかを確認した」と話した。
 取材を受けた西方チーム班長、香取陸曹長(42即機連=北熊本)は、「時間差で患者が来る状況に対し、どう隊力を分散し運用するかを迷った。参加メンバーを中心に、他の小隊員に普及したい。また、成果を師団に持ち帰り、師団の中でも共有したい」と力強く語った。

記念号

50th ANNIVERSARY

おかげさまで防衛ホームは50周年を迎えました。
隊員とご家族の皆様に寄り添い歩んできたこれまでの一面をご紹介します。

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