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統合最先任等会同
准曹士の視点で統合運用を再確認

軍種を超えた共通認識を確認
下士官のトップオブザトップが集結

写真=統幕長(中央)の説示を聞く最先任たち


 統合幕僚監部は2月16日、17日の両日、市ヶ谷駐屯地A棟において、令和7年度統合最先任等会同を実施した。現在、メジャーコマンド等の部隊で指導的立場にある最先任ら32名が参加し、今回で6回目の開催となる。会同では、内倉浩昭統合幕僚長、梨木信吾運用部副部長による訓話のほか、3グループ(JJOCに繋がる部隊の最先任、陸・海・空各部隊最先任、統幕・陸海空・JJOC最先任)に分かれてパネルディスカッションを実施。軍種を超えた准曹士の視点から、統合運用に関する共通認識を確認する中身の濃い時間を共有した。

 1月13日から19日にかけては、令和7年度(後期)最先任上級曹長等に対する統合研修も実施されている。本研修は令和7年6月の前期研修から開始され、主に1佐以上の指揮官に仕える最先任上級曹長等を対象として、准曹としての資質・識能を向上させる場として位置付けられている。

(関連記事:3面)


 会同の冒頭、齋藤高行統幕最先任は「交流のための統合ではなく、何のために統合し、どこに向かい、統合の先で何をするのかという意識を共有したい」と述べ、問題意識と当事者意識を持って議論に臨むよう参加者に呼びかけた。「今日は部隊を離れ、自身の職務を改めて分析してほしい」との言葉に、会同の趣旨が込められた。

 最初のパネルディスカッションでは、佐藤統合作戦司令官最先任をファシリテーターに、「無形の戦闘力」をテーマとし議論が行われた。

 作戦時に大きく影響する「心の状態」を無形の戦闘力と捉え、団結、規律、士気、練度を維持・向上させていくという共通認識のもと

・戦闘力が揺らぐ要因

・士気低下の背景にある疲労、不満、不安

・最先任として何を踏ん張り、介入するべきか

・情報共有・認識共有の大切さ

など様々な観点から、活発な意見交換が行われた。

 中村陸上総隊最先任上級曹長、佐々木自衛艦隊先任伍長、熊坂航空総隊准曹士先任、鵜飼航空支援集団准曹士先任、上治航空自衛隊宇宙作戦群准曹士先任、秋篠自衛隊サイバー防衛隊最先任上級曹長等JJOCに関わる各軍種の最先任らが参加し、団結・規律・士気・練度のサイクルについて理解を深めた。

 次のパネルディスカッションでは、齋藤統幕最先任をファシリテーターに、岡部東北方面隊最先任上級曹長、八木中部方面隊最先任上級曹長、末永佐世保地方隊先任伍長、吉田大湊地区隊先任伍長、涌井中部方面航空隊准曹士先任、上原南西航空方面隊准曹士先任等、各メジャーコマンドの最先任らが参加、主体的かつ自律的に行動できる、所謂ミッションコマンドを実践できる人材の育成等について認識と相互理解を深めた。

下士官は部隊の

バックボーン

 最後のパネルディスカッションでは、陸自最先任室の西山准尉をファシリテーターに、齋藤統幕最先任、綿引陸上自衛隊最先任上級曹長、北口海上自衛隊先任伍長、髙着航空自衛隊准曹士先任、佐藤統合作戦司令官最先任が登壇。

・主語は自衛隊であり、日本国である

・我々は約18万人の准曹士のリーダーとして重い職責を担っている

・指揮官は決める人。最先任は整える人

・教育と現場のバランスやモチベーションの保ち方

など、統合を身近に捉える比喩も交えながら、忌憚のない意見が交わされた。下士官は「部隊の背骨」であり「部隊のバックボーン」である。戦い続けられる部隊を育成する重要性が改めて共有された。

 オーディエンスとして聴講していた航空自衛隊の次世代リーダー10名からは「次世代の先任を目指す先任付として、早期に『統合』について学んでおくことが有益という観点から、本会同に参加する機会を与えていただいた。熱量ある訓話やパネルディスカッションを通じ、多くの気づきを得るとともに、最先任の悩みに触れ、自らも将来を見据え考える必要性を感じた。今後も継続的な聴講と、陸海の先任候補者と交流の機会を現段階から持つことにより、統合に資するネットワークを早期に構築していきたいと感じた」といった声が聞かれた。

 参加者からは「統合作戦司令部新設から一年を経て、陸・海・空・自衛隊の統合運用体制は新たな段階へと進んでおり、幹部、准曹士の別なく、自律的に行動できる隊員の育成が急務であると感じた」「最先任等が描いている想いを、いかにして現場の隊員に同じ熱量で伝えることができるか、自問自答しながらやっていかなければならないと再認識した」「これまでにも各幕の准曹士リーダーが集う機会はあったが、今回の『統合最先任等会同』はあきらかに参加者の緊張感も意識の高さも違っていた。我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しく複雑なものとなり、地政学的リスクや自然災害リスクが一段と複雑化する中で、我々に期待され求められることが極めて重要な時代に突入したと実感した瞬間でもあった」「下士官の視点から、我々独自の顔のみえる関係をどのように構築するかも大変重要であり、この場での問題認識の情報共有は、それぞれの現場での主体性や自律性をより高める要素となり、統幕最先任の言う『ミッションコマンド』に寄与するであろう。それぞれの『組織文化』は、急速な相互理解と連携強化をもって、新たな統合文化へと進化し、相互運用性は益々向上することが期待できる。参加者の一人として『今自分は何をなすべきか』を改めて認識し、あるべき姿を語り具現化していかなくてはいけない」「軍種による用語の違いは方言と同じという理解はわかりやすかった」との感想が寄せられた。

 最後に齋藤統幕最先任は「共通の問題認識を持つという点では十分な成果があった。しかし、今日の議論を部隊でどう活かすか、悶々としながら持ち帰ってほしい」と述べ、参加者に〝宿題〟を課し、次回へとつなげた。

機略縦横(113)

「楽しい」は最強!
心地良い組織を目指して

第1輸送航空隊兼小牧基地准曹士先任
准空尉 木本 淳平

 皆さん、今、この瞬間を楽しんでいますか?

 論語に「これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむものに如かず」と言う言葉があります。知識がある人やそれが好きな人は、心から楽しんでいる人には敵わないという意味です。

 昨年、最先任等に対する統合研修で出会った仲間たちと過ごした時間はまさにこの言葉を実感するものでした。共に学び語り合った時間は本当に楽しくその高揚感こそが次への活力になると再認識しました。私は仕事においてもこの感覚(没頭)を大切にしたいのです。楽しむためにはもちろん健康や安全も大切ですが大変な時こそ「よし、楽しもう!」と気持ちを切り替える。そして困難な目標に対しても全員でワクワクしながら向かっていく。そんな強さを持った組織でありたいと考えています。一人一人が多様な「楽しい」を認め合い、最後には「良い時間だった」と笑顔で言い合える。そんな誰もが活き活きと輝ける環境を皆さんと一緒に作っていけたらと思います。

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