自衛隊ニュース

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日韓陸軍種間の関係を強化

定期的なハイレベル交流を継続

写真=公式夕食会で懇談する荒井陸幕長と金陸軍参謀総長


(1面からの続き)17年ぶりとなった陸幕長の公式訪問には、陸自最先任、防衛協力センター長、防衛協力班長らが参加した。韓国側からは陸軍参謀総長、最先任上級曹長らが参加。懇談のほか、公式夕食会、韓国陸軍部隊への訪問、駐韓国日本大使への表敬を行った。韓国陸軍部隊では概況説明を受け、装備品の展示を視察した。

 日韓の防衛協力・交流では、2024年7月の日韓防衛相会談で、活性化に向けた方針を確認した。両国は、防衛相間の相互訪問の活性化、幕僚長級の相互訪問再開、各軍種間の実務者協議の再開、日韓捜索・救難共同訓練の再開を含む部隊間交流の活性化について調整を行うとともに、年間交流計画を共同で作成することで一致した。

 陸自と韓国陸軍の間では、これまでも陸軍種トップ間のハイレベル交流、日韓幕僚協議、幹部候補生学校と韓国3士官学校の交流、下士官交流、多国間会議や訓練の機会を活用した交流などが行われてきた。

 北朝鮮をめぐる情勢を含め、地域の安全保障環境が厳しさと複雑さを増す中、日韓、日米韓の連携がますます重要になっており、陸上自衛隊は、今回の訪韓を陸軍種トップ間の信頼関係を強化し、陸軍種間の協力・交流を進展させる機会と位置付けている。

 今後は、陸軍種間のハイレベル交流や幕僚協議を継続するとともに、幹部候補生学校と韓国3士官学校の交流、下士官交流などの人的・実務的な交流を進める。

 共同訓練等については、双方の状況を踏まえ、オブザーバー参加も視野に入れて幅広い検討を行っていくとしている。

防衛省版SBIRはじまる

公募説明会に239社が参加

スタートアップの参入を促進

写真=開会の挨拶をする南事業戦略部長


 防衛省は10月2日、「防衛省版SBIR」の公募を開始した。SBIRは「Small Business Innovation Research」の頭文字で、スタートアップなどが持つ革新的な技術やアイデアを広く募り、研究開発を促進する制度。防衛省が取り組む、従来よりも迅速に研究開発・装備化を実現する調達様式「ファストパス調達」の主要な取り組みの一つとして取り入れられた。防衛省版では、部隊が現場で直面する課題やニーズを研究開発課題として示し、スタートアップから募った解決に向けた技術を研究開発から実証、試験運用へと段階的に進め、早期の装備化を目指すものとして整備された。

奇抜で柔軟で意欲的

な提案を期待

 10月6日、ホテルグランドヒル市ヶ谷(東京・新宿)で公募説明会が開かれ、239社が参加。会場は満席となった。

 開会に当たり、防衛装備庁の南亜樹事業戦略部長は、無人機やAI(人工知能)など民生分野の技術を防衛分野に取り込むには、「従来から防衛分野に携わってこられた企業の皆様だけではなく、柔軟な発想、優れた技術力を有したスタートアップの皆様との連携が不可欠」と述べた。その上で、「防衛イノベーションは防衛省だけで起こせるというものではない」とし、これまで防衛分野とは接点の少なかった企業から「従来の発想にとらわれない、奇抜で柔軟で意欲的な提案」を期待した。

 挨拶に続き、制度の概要や防衛省が提示した7つの研究開発課題、公募方法について説明が行われた。

研究開発から装備化

までを段階的に

 防衛省版SBIRでは、現場部隊のニーズを踏まえて研究開発テーマを設定し、複数の企業と契約して研究を進める。

 フェーズ1では概念実証、フェーズ2では試作・実証を行い、それぞれの段階でステージゲート審査を実施。各自衛隊もテーマ設定や審査から関与し、段階的に技術を絞り込んでいく。

 フェーズ3では、部隊と企業が一体となって実際の運用を想定した実証を行い、短期間でフィードバックと改良を繰り返す「アジャイル型」の調達に移行する。その後は成果を量産につなげ、早期の装備化を目指す。研究開発だけで終わらせず、試験運用を経て装備化まで進める仕組みとなっている。

 また、企業側が自ら投資して自衛隊のニーズに合わせるのではなく、予算化された事業の中で製品の改良を進められるため、スタートアップにとって、障壁となっていた費用の面が解消されることが期待される。

 公募期間は10月2日から11月2日まで。書面審査を経て12月上旬に採択結果を通知し、来年2月に採択契約を締結する予定だ。

機略縦横(126)

中隊は家族

幹部候補生学校 最先任上級曹長
准陸尉 松尾 和博

 世界最古の王朝を持つといわれる我が民族。大和民族と称された日本人は、現代に至るまで脈々とその精神を育んできました。国歌に謳われるよう「君が代は 千代に八千代に」と、世のため人のため、和をもって誠を貫き、情を重ね尽に生き、勇猛で潔い嘘偽りのない日本民族固有の精神。そしてこの魂は、我々日本人のDNAの中に確かに組み込まれ、誰しもが脈々と受け継いでいるのだそうです。

 この絶え間ない育みの根源にあるのは「家族」であり、誰もが我が子を愛し愛された場所こそ実相ではないかと考えます。

 翻って我が組織は、中隊長は親父、先任上級曹長は母親、小隊長や営内班長等は長男・長女であり、かわいい弟・妹達の面倒をみる「中隊は家族」の結集であります。その中で育まれる愛情こそが我が組織の最たる由縁であり、隊員の人生を背負う覚悟がそこにあります。この愛によって隊員に宿る我が民族の魂が静かに目覚め、その精神を発揮するようになる、そう信じてやみません。先輩が不断に努力し、後輩のために何ができるのかを追求し教え導く組織。それは案外そう難しくない、馴染みのあるどこか見慣れた景色かもしれません。

ノーサイド
北原 巖男

高市首相の所信表明に思う

 10月5日、臨時国会が召集されました。会期は、12月12日までの69日間。(閉会直後の12月14~15日は、高市首相はじめ、トランプ大統領、習近平国家主席、(プーチン大統領?)等が出席する「主要20か国・地域(G20)首脳会議」が米国にて開催予定。高市首相と習近平国家主席との会談実現を願って止みません。)

 今臨時国会の最重要事項は、政府が会期内成立を期して提出する2年間限定の消費税減税関連法案の取り扱いです。

 消費税は、急速に進む高齢化社会において増え続ける社会保障費に充当されてきました。減税に伴い生ずる年間約5兆円の税収減を埋める財源について、高市首相は、同日の所信表明演説では、「特例公債に頼らずに確保することにしており、ご心配には及びません。」とだけ述べるに留まりました。具体的な財源は明らかにしませんでした。

 この点、経団連の筒井義信会長も、同日の記者会見にて、「出来るだけ早く財源を明示して頂き、十分に説明して頂きたい。」旨、求めています。財源をどう確保するのか、国民が注視する国会審議での開示・説明は必須です。

 高市首相の所信表明演説の中で、筆者が少なからず落胆のような気持ちを抱いたのは、「日本外交」についてです。見出しは「力強い日本外交」となっていますが、そこで具体的に語られている基本姿勢・「進化」したFOIP・諸外国との関係について、その内容を読み進めたとき、はたして、これを以て「力強い日本外交」と言えるのかという思いでした。ちなみに、「力強い日本外交」という表現そのものは、本文の中には出て来ません。

 また、今回の所信表明は、「私たちが慣れ親しんだ自由で開かれた安定的な国際秩序は、大きく揺らいでいます。」と、昨年10月の所信表明と同様の認識を採用しています。

 この表現に続いて、高市首相が10月の所信表明で高らかに打ち上げていたのは、「こうした国際情勢の下、世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻します。」でした。当時、筆者は、この心地の良い、綺麗な言葉にロックオンしました。しかし、その実体は・・・。

 今回、このような表現は見当たりません。

 また、懸案の中国との関係について、昨年10月の所信表明にあった「日中首脳同士で率直に対話を重ね、「戦略的互恵関係」を包括的に推進していきます。」は消え、「中国は、重要な国であり、課題がある中でも長年の積み重ねがあります。これを踏まえつつ、「戦略的互恵関係」を包括的に推進していきます。」、「共通の課題について意思疎通を図り、国益を守るための対話を進め、建設的かつ安定的な関係を構築していきます。」となっています。

 昨年11月の高市首相の台湾をめぐる国会答弁を機に、これまでになく厳しい日中関係。今もそのまま続いています。こうした中、高村正大衆議院議員一行や岩屋 毅前外務大臣一行などの国会議員や経済界の皆さんが中国を訪問され、要人の皆さんと話し合い、関係改善等に向けて尽力している姿が報じられています。大変な時であればこそ、対面して、率直に意見を交換し合うことは極めて重要です。改善に向けた進展は容易でなく、たとえ遅々として進まなくても、それを目指して対話を重ね、胸襟を開き、意思疎通を図っていく。しかも重層的に行っていく。とても大切なことではないかと思います。

 一私人に過ぎない筆者には、現在、日中間で、どのような対話が水面下で進められているか、高市首相が、どのようなリーダーシップを発揮されているのか、知る由もありません。ただ、今のままで良いハズはありません。日本政府として、国益を踏まえた関係改善を尽くすべきことは確かです。しかも、焦眉の急です。

 こうした中にあって、筆者が愚考していることがあります。「何言ってんだ」、「身の程知らず」、「失礼千万だ」、「お門違いだ」等々、叱責されるかもしれませんが・・・。

 高市首相におかれては、元首相の福田康夫先生や麻生太郎自民党副総裁に、身を粉にしての中国訪問をお願いされたらいかがでしょうか? 出来れば、11月18~19日に中国で行われるアジア太平洋経済協力会議(APEC)にて、高市首相と習近平主席の会談実現を目指して。困難な場合は、12月14~15日のG20での会談を目指して。

 高市首相が所信表明で繰り返したキーワード。「決断、挑戦、実行」。対中国外交でも、時機を失しないしたたかさが求められていると思います。

 高市首相は防衛力について、「我が国を取り巻く安全保障環境は、加速度的に変化し、複雑かつ深刻になっています。」として「防衛力の抜本的強化のため、年末までに、「(安全保障関連)3文書」を見直します。」と表明しています。その具体的な内容等については、見直し作業が加速する中で、また、国会審議が展開される中で、明確にすると共に、国民の理解と支持を得るため、どこまでも丁寧な分かり易い説明を尽くしていただきたいと思います。

 高市首相は、更に「自衛官の処遇改善や、退職自衛隊員とそのご家族への支援の強化に取り組んで参ります。」と明言されました。

 それだけに、国民の皆さんの自衛隊や自衛隊員を見つめる眼は一段と厳しくなり、期待値も高くなります。

 現職の自衛隊員の皆さんには、まずは良き社会人であってください。そして、常に国民と共に在る国民の自衛隊員として、精強で信頼される謙虚な存在であり続けて頂きたいと思います。

 頑張ってください!


北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事

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