自衛隊ニュース
小泉大臣2年目へ「非連続のスタート」
写真=訓示を述べる小泉大臣
第2次高市内閣で留任した小泉進次郎防衛大臣は18日、防衛省講堂に集まった約400人の職員を前に訓示し、「2年目は1年目の延長ではなく、非連続の2年目。新たなスタートだ」と強調した。年内に予定する戦略三文書の改定をはじめ、安全保障環境の変化を踏まえた防衛省・自衛隊の変革を進める考えを示した。
小泉大臣はまず、昨年10月の就任時に示した三つの使命として、国民の命と平和な暮らし、領土・領海・領空、そして任務に当たる隊員と家族を守ることを改めて提示。このうち人的基盤について、令和9年度概算要求に盛り込んだ「退職自衛隊員・家族支援庁」の設置に触れ、「ようやくスタートラインに立った」と述べた。自衛隊創設以来約70年間、一度も行われていない自衛官独自の俸給表の見直しなど、隊員と家族が誇りを持ち、安心して人生設計できる環境づくりは「これからが本番」とした。
日米同盟については、日米の訓練や共同活動を支える現場の努力を「日米同盟の底力」と位置付け、抑止力・対処力の強化を進める方針を示した。同志国との連携強化や防衛装備・技術協力、防衛産業の強化にも言及。防衛装備庁と共にスタートアップ支援やファストパス調達、SBIRなど、この1年間で政策を進化させ続けてきた努力を評価した。
スピードアップ求める
安全保障環境については戦後最も厳しく、複雑であるとし、年内に改定する戦略三文書について「我が国と地域の未来を左右する」と述べ、残された期間はわずかだと強調した。その上で「絶対に新たな戦争は起こさせないために、防衛省・自衛隊の総力を結集させる必要がある」とし、「求められている変革の強度と速度は前例のないものになる」と指摘。「この2年目は1年目の延長ではなく、非連続の2年目だ。新たなスタートだ」と強調した。さらに、平時と有事の境界が曖昧になる中、「平時に最適化され過ぎた面もある」と指摘。次の時代の防衛省・自衛隊を形づくるため、組織全体でチームワークを強化し、「全省的に政策のスピードを上げてください」と求めた。
一人の声が未来の仲間を呼ぶ
空自が隊員自主募集優秀隊員を表彰
写真=空幕長と優秀部隊長
航空自衛隊は9月9日、令和7年度の隊員自主募集で優れた成果を挙げた優秀部隊7部隊の表彰式を市ヶ谷基地で行い、航空幕僚長から賞状を授与した。また、個人で高い入隊成果を上げた優秀隊員4名を招き、航空幕僚長との懇談会を開催した。
隊員自主募集は、隊員一人一人が家族や友人、地域の人々に航空自衛隊の魅力を伝え、入隊希望者につなげる活動である。令和7年度は2498件の情報が寄せられ、そのうち556名が入隊した
表彰式では、第2級賞状に航空中央音楽隊(府中)と北部航空音楽隊(三沢)、第3級賞状に第13飛行教育団(芦屋)、第4級賞状に飛行教育航空隊(新田原)と硫黄島基地隊(硫黄島)、第5級賞状に西部航空音楽隊(春日)と宇宙作戦団(府中)が受賞した。受賞した各部隊は、演奏会や技術指導、学校訪問、地域貢献活動のほか、隊員による声掛けや動画を活用した情報発信など、それぞれの特色を生かした取組により今回の成果につなげた。
懇談会には、北部航空音楽隊(三沢)の吉野2曹、南西高射群(那覇)の我那覇士長、第9航空団(那覇)の上野士長、第1輸送航空隊(小牧)の坂下士長が参加した。吉野2曹は年間7名、我那覇士長は2年連続で各3名、上野士長は年間5名、坂下士長は年間6名の入隊につながる成果を上げ、その取組を紹介した。4名は、後輩への働き掛けや地元とのつながり、航空祭での広報活動など、成果につながった自らの経験や工夫について積極的に語った。
航空幕僚長は、優秀部隊や優秀隊員がそれぞれの長所や特性を生かして成果を上げたことをたたえ、多くの隊員が後に続くことへの期待を述べた。また、環境や装備が進化しても、それを支えるのは「人」であり、人材の確保は航空自衛隊の将来を左右する重要な課題であると強調した。
表彰式と懇談会は、募集活動の重要性を再認識するとともに、未来を担う仲間づくりへの意識を高める非常に良い機会となった。
ノーサイド
北原 巖男
三日会わざれば…
沖縄県宮古島の真南5000㎞に位置し、九州の北半分くらいの全国土に約150万人が暮らす小さな島国、東ティモール。平均年齢21歳、30歳以下が人口の65%を占め、合計特殊出生率は4・0(日本は1・14)。日本と真逆の国。
9月11~20日まで、約1年7か月ぶりに同国を訪問して参りました。昨年10月26日に、加盟申請から14年7か月の長きを要して、ようやくアセアン最後の11番目の加盟国となってからは、初めての訪問でした。
そんな東ティモールについて、特筆すべきことは、その政治的民主化度。24年間、厳しく過酷な弾圧を受け続けて来たこの国が、最も大切にしている参政権や政府選択の自由、表現や集会・結社の自由などです。
読者の皆さんの中には、「ホントかね?」と疑う方もおられるかもしれませんが、実は、アセアン第一位。トップなのです。このことを、東ティモール国民はとても誇りにしています。
何故、同じアセアンメンバー国のミャンマーに対して、アセアンの中でも最も厳しく強硬な姿勢を貫いているかが分かります。
2029年にはアセアン議長国という大役の順番が回って来ます。新規加盟から僅か4年にして、著しく重い負担と責任が求められる議長国を引き受けることが出来るのか?これまで他国の例もあり、順番は一回パスしたほうが良いのではないか、そもそもパスせざるを得ないのではないか、といった見方も、既に流れています。
今回の東ティモール訪問でお会いした国父グスマン首相からは、既に自らをトップにした議長国引き受けに向けた全国家的組織の責任者として、持ち前の卓越したレーダーシップとしたたかな外交手腕を遺憾なく発揮し、全力で取り組んでいる意気込みと迫力ある責任感溢れる行動の一端が伝わって来ました。
かつて国際社会が「成功しないだろう」と見ていた東ティモールの独立回復を成し遂げたグスマン首相です。今度は、グスマン首相の下に再び国民が団結して、責任あるアセアンの一員としての国造りに取り組み、そしてアセアン議長国引き受けに邁進している姿に触れることが出来ました。頑張って頂きたいと思います!
他方、筆者は、我が国政府に対して、東ティモールが必要としている協力や支援を速やかに把握し、受け止め、決断し、実行して行くことを強く求めたいと思います。それこそ、アセアン重視、アジアで生きる我が国自身の国益そのものです。時宜を失してはなりません。
その強大な経済力や外交力を展開しての中国による様々な分野における進出は、東ティモールに限ったことではありません。そんな中国に対抗することは、もはや今の日本には出来ません。しかし、そうした中に在っても、頼りにされる日本でなければなりません。しかも、それは可能です。時宜を失することの無い、Too Lateにならない、我が国自身の対東ティモール戦略外交があるはずです。
今回、筆者は、首相、2名の副首相、職業訓練・雇用担当国務長官、国民議会議長、東ティモール・日本友好議員連盟議長と議員の皆さん、国軍司令官、海軍司令官、国防省幹部、元大統領、東ティモールの若者、在留邦人等の皆さんにお会いし、また短時間ながら首都ディリ市内を見学すること等を通じて、街の変化や発展にも触れ、同国の皆さんに、一層の発展に向けた、ほとばしるような熱いワクワク感、勢いそして汗を流す努力があると感じました。
更に、筆者は、東ティモール訪問の往復の経由地としてマレーシアのクアラルンプールに立ち寄りました。郊外・市街の光景は驚きの連続でした。その発展ぶりは、今日まで全く分からず実感できませんでした。既に、日本を凌駕しているのではないか…。「日本はいい国だ」などと安住していたら、いつの間にかアジアの中でも、半周以上も取り残されてしまう、否、もう後塵を拝しているのかもしれないと思いました。
ふと「男子三日会わざれば刮目して見よ」が浮かんで来ました。
多くの日本の皆さん、特に若い人たちには、ただ国内に留まって「井の中の蛙」や「内弁慶」、「夜郎自大」に陥って欲しくありません。機会を自ら創って、海外の様々な国を訪問し、自らの眼で見て、感じて頂きたいと痛切に思いました。思っていたことや、想像していたこと、きっとこうだろうと勝手に見なしていたことなどとの驚くべき乖離や発見、そして驚きに出会うことは、日本の次代を担う皆さんの成長にとって、更に我が国の将来にとって、もの凄く有意義であり、必要不可欠ではないか、と思いました。
北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事