自衛隊ニュース
陸自幹部候補生学校で合同入校式
初のキャリア採用幹部が入校
写真=着校した第1期キャリア採用幹部
陸上自衛隊幹部候補生学校(学校長・香川賢士陸将補=前川原)は、4月3日、第107期一般幹部候補生(防大・一般大卒)課程、第107期一般幹部候補生(部内)課程(前段)、第62期医科・歯科幹部候補生課程、第9期看護科幹部候補生課程及び第1期キャリア採用幹部課程の計647名に対し、陸上幕僚副長(德永勝彦陸将)立会の下、入校式を執り行った。
今年度は、陸上自衛隊として初めてキャリア採用幹部※1が7名、一般幹部候補生(専門要員)※2が9名、それぞれ入校した。
入校式では、久留米市長(原口新五氏)、防衛大学校副校長(足立吉樹陸将)等多数の部内外来賓の立会のもと、候補生による任命、宣誓及び入校申告が行われた。
香川学校長は、式辞において「常にベストを尽くすこと」、「同期で『ONE TEAM』になること」を要望し、「新入生諸官へ。諸官は、本入校式において感じている不安と期待、緊張感と高揚感、『ONE TEAM』となる同期と出会った感動を決して忘れないでほしい。学校長以下全ての学校職員は、諸官との出会いを大きな喜びと感じるとともに、率先垂範、苦楽を共にして諸官を導いていくことを誓う」と歓迎の言葉を送った。
続いて、德永陸上幕僚副長から「幹部自衛官としての使命感を確立せよ」、「目的意識を持ち、主体的に修学せよ」の2点の要望事項と、「本校入校間、全力で修養に励み、規律の維持や遵法精神によって国民の信頼を益々深めるとともに、利他心をもって同期生と切磋琢磨し、揺るぎない絆を育ててもらいたい。その絆は卒業以降も続くものであり困難に直面した際に心の支えになるであろう。同期の絆を大切にし、共に助け合
う存在であってもらいたい」
と期待の言葉が贈られた。
来賓を代表して原口久留米市長からは、「開校以来、脈々と受け継がれる「質実剛健にして清廉高潔」の校風とともに、香川学校長をはじめ教官の皆様のご指導を通じて皆様は陸上自衛隊の中枢を担う幹部としての教育や訓練を受け、心身の鍛錬と知識や技能を修得する日々が待っています。国民の信頼を得、その期待に応えることのできる幹部としての資質を身に付けられますようご期待を申し上げます」と祝辞が贈られた。
また、入校式には約500名の候補生の家族が参加し、式典において各候補生は着校から数日間で成長した自身の姿を家族に披露するとともに、会食において各候補生は家族とともに笑顔で食事をしていた。
入校式を終えた候補生は、決意を新たに前川原での教育に挑むことになる。
※1 キャリア採用幹部とは、大学等において、所定の専攻学科を卒業後、関連する業務経験を有する者を対象とした採用制度であり、陸上自衛隊としてデジタル分野及び衛生分野の部門を設定。採用時の階級は、経歴、経験年数等によって異なる。
※2 一般幹部候補生(専門要員)とは、幹部任官時、情報分野、デジタル分野、研究開発分野、法務分野に配置される採用制度。幹部任官以降、それぞれの分野で幹部自衛官として活躍が期待される。
お母さんの名前は?
在ブラジル防衛駐在官 1陸佐 淺田 健
2月下旬に出国し、ブラジルの首都ブラジリアに参りました淺田です。
国内の引越もいろいろな手続きが必要になりますが、ブラジルへの引越も、出国前の納税者番号取得にはじまり、引越業者の選定と手配、到着後の身分証の申請、運転免許証申請や自動車の名義書換え、携帯電話番号の取得、銀行口座の開設、スマホ決済、住居の手続きなどがあります。手続きの時、窓口で頻繁に聞かれたのが「Qual e o nome da sua mae ?(お母さんの名前は何?)」でした。はじめは、陽気なブラジル人が、窓口にやってきた無骨な私とのコミュニケーションのきっかけにしているのなのかなと思い、何気なく笑顔で「カズコです」と答えていましたが、父の名前を聞かれたことはありませんでした。それでも母の名前を問われることが気になり出し、「母の名前」を書く欄のある書類まで作成することがありました。これはどういうことだと思い、ブラジル人に聞いたところ「わからないなぁ、ずっと前からだよ」という反応が多かった中、次の答えが返ってきました。それは、ブラジル人は同じ姓名の人が多いので、母親の名前で同姓同名による混乱を回避しているのだとのこと。あぁそうだったのかと衝撃を受け、また情報の世界に身を置くことになったにもかかわらず、のんきなことを想像していたことを反省しました。
このようなことで新しい職務が始まりましたが、この度の私の海外赴任に際し、ご理解とご支援ご協力を頂きました関係各位には、紙幅を借用し厚くお礼申し上げ、引き続き宜しくご指導をお願いいたします。
ノーサイド
北原 巖男
言葉
米国のトップリーダーであるトランプ大統領について、特に気になることがあります。
イランに対する米国とイスラエルよる先制攻撃から始まった戦いを巡って、トランプ大統領は、様々な言葉を頻繁に発しています。
筆者が各種報道に接する中で、最近とみに懸念するのは、冷静さを欠いているのではないか、責任回避ではないか、と思いたくなるような、或いは専ら相手を愚弄したり罵倒したり、傲慢としか思えないような言葉の数々です。
各国大統領や首相は、国民の先頭に立って国の進路に誤り無きよう舵取りをし、平和と安全を守り、より一層豊かな生活を確保して行く崇高な使命を有する皆さんです。いずれも国民の負託を受け、その国を代表する最高権力者です。
親しみや信頼、尊敬や畏敬の念を抱かせる人間力と卓越したリーダーシップを兼ね備えたリーダー像の最も象徴的な存在。それが彼らではないでしょうか。次代を担う子供達や若者達にとって、尊敬の対象となったり、将来自分が目指すべきロール・モデルと捉えることも多いのではないでしょうか。
2025年1月20日、大統領に復帰したトランプ大統領は、就任演説にて次のような表明を行っています。
「我が国は再び繁栄し、世界中で尊敬されるようになる。我々はあらゆる国がうらやむ国になる。」「米国は再び、世界で最も偉大で、最も強力で、最も尊敬される国としての正当な地位を取り戻し、世界中の人々から畏敬と称賛を受ける国となるだろう。」「野心は偉大な国の生命線だ。今、我が国は他のどの国よりも野心的だ。米国のような国は他にはない。」「米国は信仰と善意を持つひとびとからも再び尊敬され、称賛されるようになるだろう。」
…世界は、人々は、今のトランプ政権の米国を、どう見ているでしょうか。
これまでにない厳しく複雑な国際軍事情勢の下、我が国の安全保障体制の根幹が唯一の同盟国である米国との揺るぎない日米安全保障体制にあることは言を待ちません。筆者は今、正直に申し上げて、何と表現すればよいのか分からないような気持ちに苛まされています。
そんな中、4月5日に行われた防衛大学校の入校式に参加して参りました。初めて防衛大学校の制服に身を包んだピッカピッカの新入生の皆さんの緊張感。痛いほどに伝わって来ます。
4月1日付で第11代防衛大学校長に着任されたのは、前統合幕僚長の吉田圭秀さん。
式典にて、吉田学校長は、将来我が国の防衛の任を担い、いかなる事態の生起に対しても国民の負託にしっかり応えて行ける幹部自衛官にとって不可欠な、リーダーシップについて取り上げました。
そして、その素地を涵養する重要性を指摘。新入生に次の3点の修得を強く訴えました
曰く、
(1)「志を立てること」(リーダーシップの素地を涵養する出発点である。自分は幹部自衛官となり、何をなすのか、考え抜け。)
(2)「信頼(TRUST)を醸成すること」(国民・国内外の組織・同盟国・同志国等との連携や協力を深める上で最も重要な基盤。まずは、校内で信頼関係を構築せよ。)
(3)「自主自立を体現すること」(将来、難局に立ち向かう際の、最大の武器となるのは主体性と自立性。学生時代に体現せよ。)
吉田学校長は、自らについても言及。新入生の皆さんに語り掛けました。
「私には、幹部自衛官としての諸君のロール・モデルとなることが期待されていると理解しています。更に自衛官退官後の生き様においても諸君のロール・モデルとなるべく、私自身も諸君と共に研鑽を積んでいく所存です。」
そして最後は、次のような言葉で締めくくっています。
「ここ小原台において、深い教養を涵養し、人間味溢れる人格を陶冶する日々が始まりました。幹部自衛官にとって、リーダーシップとは、その職にある限り、追求すべき「道」そのものです。ここで修得したリーダーシップの素地は、諸君の今後の幹部自衛官としての基盤になるだけでなく、難局の時代に直面する我が国の羅針盤にもなって行くことでしょう」。
北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事