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防衛力強化へ自衛隊組織改編

写真=宮﨑副大臣から隊旗を授与される東峰隊長(陸自情報作戦隊)


 3月23日、自衛隊は大幅な新改編を実施した。陸上自衛隊では情報戦への対応強化のため「情報作戦隊」を、後方支援能力強化のため「後方支援学校」と「補給本部」を新改編させた。海上自衛隊では、65年続いた「護衛艦隊」を廃止し「水上艦隊」を、情報戦への対応強化のため「情報作戦集団」を新編させた。航空自衛隊では、今年度の航空宇宙自衛隊への改編を見据え、「宇宙作戦群」から人員を倍増させた「宇宙作戦団」を新編させた。各部隊は新改編行事を行い、新たな一歩を踏み出した。小泉大臣は定例会見で「これらは、いずれも我が国の防衛上、大変重要な意義を有するものです。いかなる事態においても、国民の皆様の命や暮らしを守り抜くことができるよう、引き続き、防衛力の変革を推進してまいります」と述べた。


情報作戦隊

 3月29日、朝霞駐屯地で情報作戦隊(隊長・東峰昌生陸将補)の隊旗授与式が行われた。

 国際社会においては、偽情報等によって他国の世論や意思決定に影響を及ぼすような工作等が行われており、陸上自衛隊はこのような認知領域を含む情報戦への対応を強化することを目的に、同月23日付で陸上総隊隷下に情報作戦隊を約80名体制で新編した。これまで各部隊が個別に対処していた分析や情報収集を同隊に一元化する。

 式には宮﨑政久副大臣、伊藤晋哉整備計画局長、荒井正芳陸上幕僚長、江川宏情報本部長、吉岡猛情報作戦集団司令官、平澤達也自衛隊情報保全隊司令、黒木孝太郎自衛隊サイバー防衛隊司令、米軍および豪軍のサイバー・情報関連部隊の指揮官等が来賓として参列した。

 宮﨑副大臣は隊員に対し「情報は、全ての領域における能力発揮の基盤だ。防衛省自衛隊が意思決定の優越を確保し、我が国の防衛という任務を完遂できるか否かは、諸官の働きにかかっている」と訓示。「情報本部、自衛隊情報保全隊、自衛隊サイバー防衛隊、海上自衛隊情報作戦集団等の関係部隊、同盟国の米国や同志国の情報関連部隊との間で連携協力を一層推進していくことが必要だ」と述べた。


後方支援学校

 陸上自衛隊は、補給・整備・輸送等、後方支援に係る職種の枠を超えて、横断的な教育・研究を行うことを目的に、3月23日に武器学校(土浦)、需品学校(松戸)、輸送学校(朝霞)を統合して、朝霞駐屯地内に陸上自衛隊後方支援学校(学校長・田浦尚之陸将)を約500名体制で新編した。

 朝霞の学校本部では、各職種の横断的な教育・研究が行われ、従前の各職種学校は各職種科部として残り、引き続き教育が行われる。また、後方支援学校には後方支援センターが設置され、後方支援職種以外の隊員にも後方支援に関する教育が行われる。

 4月4日、朝霞駐屯地体育館で新編行事が盛大に行われ、部内から若林洋平大臣政務官、荒井正芳陸上幕僚長ら、部外から松下昌代朝霞市長ら合わせて約80名が来賓として参列した。

 若林政務官は「戦後最も厳しく複雑な安全保環境に直面している中、後方支援の重要性が益々高まっていることは論を俟たない。後方支援作戦の整備が、有事における自衛隊の作戦が成功するか否かに直結する生命線だ」と新編の意義を強調し、「より多くの知識と技術を身につけ、後方支援分野におけるエキスパートとして自衛隊の作戦を支えてもらわなければならない」と訓示した。

 来賓を代表して松下朝霞市長が「本校に後方支援に関する最新の知見が結集され、職種横断的な教育と研究が推進されることで、陸上自衛隊の後方支援能力がさらに向上し、我が国の防衛力強化へと繋がることを大いに期待している」と祝辞を述べた。


補給本部

 3月23日、弾薬・燃料・需品等の補給機能を一元的に管理することを目的に、陸上自衛隊補給統制本部を、陸上自衛隊補給本部(本部長・柿野正和陸将=十条)に改編した。大きな変更点は、方面隊隷下にある各補給処を補給本部が一元的に運用することだ。有事や大規模災害等では、方面隊を跨いだ運用が想定されることから、補給本部が各補給処を一元的に指揮・監督できるようになることで、各種事態に対するより迅速で柔軟な対応が期待される。人員は約30名増えて約970名体制となった。

 4月5日、十条駐屯地で若林洋平大臣政務官、荒井正芳陸上幕僚長ら、部外から十条自衛隊協力会長、十条防衛懇話会長らを来賓として招いて、改編記念行事が行われた。若林政務官は、「作戦行動に必要不可欠な弾薬・燃料・需品等の物資を保有する後方支援活動は、自衛隊の継戦能力を支える生命線となる極めて重要な任務であり、その正否は、有事において我が国を防衛するという自衛隊の使命を全うし得るか否かに直結する」と訓示。「今回の改編は全国の各補給処を一元的に指揮・監督できる体制と変革させるものであり、後方支援能力を質、量ともに大きく向上させる」と改編の意義を強調した。


情報作戦集団

 3月23日、海上自衛隊の情報戦を一手に担う情報作戦集団(司令官・吉岡猛海将)が新設された。同26日には、防衛省で宮﨑政久副大臣、内倉浩昭統合幕僚長、俵千城統合作戦司令官、齋藤聡海上幕僚長をはじめとした高級幹部、米・豪の情報戦関連部隊司令官等を来賓として迎えて新編記念行事が行われた。

 サイバー攻撃や、偽情報・影響工作等を用いた認知戦を含む情報戦への対処能力を強化するため、これまで情報に関する任務を担っていた艦隊情報群、海洋業務対潜支援群およびシステム通信隊群を集約して指揮系統を一本化。司令部を市ヶ谷に置き、作戦情報群とサイバー防護群から成る組織に新編された。

 宮﨑副大臣は小泉大臣の訓示を代読し、「四面環海の我が国において、海上自衛隊の情報戦の最前線を担う諸官のニーズは非常に重く、艦艇や航空機、潜水艦等による目に見える領域の作戦を根幹から支える極めて重要かつ崇高なものだ。吉岡司令官のもと、諸官一人ひとりが自らの専門性を不断に高め、互いに協力し合いながら、部隊一丸となって任務の達成に努めてほしい」と述べた。

 吉岡司令官は、「情報本部、自衛隊サイバー防衛隊、宇宙作戦団等の関係組織と連携して対応していく必要がある。そして、アメリカやイギリス、オーストラリアといった同盟国、同志国の情報戦関連部隊との連携が今まで以上に必要だ」と述べた。また、指揮方針として「チームワーク」、「スピード」、「チャレンジ」を掲げ、「チームワークは、それぞれの専門性の有機的な連携。スピードは急激に変化する情勢への対応。そしてチャレンジは失敗を恐れない精神を示すものだ」と説き、「情報作戦集団として、これら3点を重視し、先ほどの訓示のお言葉を胸に、任務遂行を達成すべく研鑽努力していく」と力強く決意を表明した。


宇宙作戦団

 航空自衛隊宇宙作戦団の新編記念行事が3月28日、東京・府中基地で開かれ、宇宙空間の防衛を担う中核部隊が新たなスタートを切った。

 新編記念行事には在日米軍関係者らを含む約170人が出席。石井浩之宇宙作戦団司令が若林洋平政務官に対し、編成完結を報告。政務官から隊旗を授与された。

 森田雄博空幕長は式辞で「宇宙空間の安定的な利用を確保することは、国家にとって死活的に重要な課題となっている。航空自衛隊は今後、空のみならず、宇宙も主要な行動領域となることを見据え、航空宇宙自衛隊の歩みを着実に進めてまいる」と決意を述べた。

 若林政務官は訓示で「宇宙領域はこれまで以上に自衛隊の任務遂行において重要性を増していく。宇宙作戦団が果たすべき役割も今後さらに大きくなる。隊員諸君におかれては今後とも強い使命感と責任感を胸に宇宙作戦団司令、石井浩之空将補の指揮統率の下、力を合わせて任務に精励され、国民の皆さんの信頼と期待に応えていかれることを心から期待する」と述べ、激励した。

 カーナビのGPS(全地球測位システム)情報をはじめ、人工衛星からの情報は、現代社会では欠かせなくなっている。

 高度100キロ以上の大気圏外の宇宙空間を防衛する防衛省・自衛隊初の宇宙領域専門部隊として2020年5月、宇宙作戦隊が発足、22年3月に宇宙作戦群へ、さらに今回、隊員約670人規模の宇宙作戦団へと改編された。

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