自衛隊ニュース

ゲッキーのイラスト

MFO第8次派遣要員が出国

写真=出国報告を行う金塚2佐


 4月23日、エジプトとイスラエルとの停戦監視を行う機関「多国籍部隊・監視団(Multinational Force and Observers、以下MFO)」の司令部に派遣される4名が、荒井正芳陸上幕僚長に対して出国報告を行った。MFOはエジプト・シナイ半島で1982年から活動を行う国際機関で、日本はMFOの要請を受けて2019年から司令部要員を派遣しており、今回が8次要員となる。4名は5月12日に出国、派遣期間は約1年間を予定している。

 出国に向けた4名の抱負は以下のとおり。

 金塚友成2陸佐(連絡調整部計画担当副部長要員)「英語教育をはじめ、様々な支援・機会をいただいて感謝しています。この4人なら任務を達成できると信じています」

 田畑大佑3陸佐(同部運用幹部要員)「日本隊として、中東に貢献していきたい」

 岸本健太3陸佐(後方支援部施設幹部要)「施設幹部として、皆を支えていきたい」

 伊地知聡志2陸曹(同部施設課要員)「施設の任務を通して、下士官交流をしていきたい」

空中給油任務で空自が受賞

写真=代表して表彰された青野2佐


 航空自衛隊は令和7年9月から10月にかけて、北米及び欧州親善訪問(Atlantic Eagles)を実施し、F-15戦闘機部隊を米国、カナダ、英国及びドイツへ派遣した。

 本派遣は米アラスカ及びカナダを経由して大西洋を横断する極めて長距離の運航であり、戦闘機としては航空自衛隊創設以来初の試みであった。各国基地での部隊間交流、共同会見、報道公開等を通じ、空軍種間の信頼関係と相互理解を大きく前進させることができた。

 本派遣を支えた重要な要素の一つが空中給油であり、米国空中給油機を含む新たな枠組みの下で実施された空中給油任務は、日米相互運用性の向上に大きく寄与した。

 これら一連の取り組みは国際的にも高く評価され、令和8年4月に米国フロリダ州で開催された空中給油システム支援グループ(ARSAG※)会議において、航空自衛隊が表彰されることとなり、航空幕僚監部運用支援課の青野純也2空佐が、代表して表彰を受けた。今回の受賞は、現場の努力と国際協力の成果を示すものであり、防衛協力深化に向けた確かな一歩である。

※:Aerial Refueling System Advisory Group

ノーサイド
北原 巖男

「忘れないで下さい 東ティモール」

 これまでになく厳しく複雑な国際情勢。

 今や日本を含む世界は、先行き予断を許さない事態の生起・展開に翻弄され続けています。

 こうした国際社会に在って、資源小国でもある我が国が、その国益を追求・確保し、安全保障に遺漏無き舵取りをして行くためには、国内では自ら汗して積極的に挑戦・行動することはもちろん、関係諸国との強い相互信頼・絆を基盤とした時宜を逸しない重層的且つしたたかな外交活動の推進が肝要と思います。

 今年の大型連休、多くの閣僚が外遊されました。

 茂木外務大臣は資源豊富なアフリカのザンビア・アンゴラ・ケニア・南アフリカを訪問して、資源外交を精力的に展開されました。小泉防衛大臣はASEANやグローバルサウスのリード国でもあるインドネシア、そして中国と南シナ海の南沙諸島の領有権等をめぐり激しく対立・海警船と巡視船の衝突も頻発しているフィリッピンを訪問。それぞれ我が国との防衛・安全保障協力関係の強化を目に見える形で世界に示しました。

 高市首相はベトナムとオーストラリアを訪問。ベトナムでは、和やかな雰囲気の首脳会談において、「パワー・アジア」の初案件としてベトナムの原油の追加調達支援の推進などを表明。更に、同国滞在中、安倍首相による提唱から10年を迎える「自由で開かれたインド太平洋構想(FOIP)」について、「進化した自由で開かれたインド太平洋~共に強く豊かに~」と題して外交政策の発表も行いました。ベトナム首脳陣から賛同を受けています。

 同首相は次いでオーストラリアを訪問しました。

 オーストラリアのアルバニージー首相との首脳会談の際、高市首相は、日豪両国が先駆的な安全保障協力を進める同志国連携のフロントランナーであり、いわば「準同盟国」とも言えるレベルの関係を築いている旨、述べています。

 首脳会談後に発出された共同文書は、「経済安全保障協力」、「エネルギー安全保障協力」、「重要鉱物協力強化」、「日豪戦略的サイバー・パートナーシップ」、「強化された防衛・安全保障協力」と、重要分野5つにも及んでいます。これらは、現下の国際情勢の中に在って、「準同盟国」とも言える両国の関係強化が焦眉の急であることを示す証左の一例でもありましょう。

 5つの共同文書の中の、例えば「エネルギー安全保障協力に関する日豪共同声明」の中には、「両国は、エネルギー安全保障の強化、液化天然ガス、石炭及び液体燃料を含む必要不可欠なエネルギー物資の両国間における流通を支援すること、並びにエネルギー製品に係る貿易の安定的かつ透明性のある取り組みを維持するとともに、投資環境に関する予測可能性と透明性を向上させることへのコミットメントを再確認する。」等の記述があります。

 我が国のオーストラリアからの液化天然ガス輸入量は、総輸入量の約38%を占めていると言われています。いつ解決するか分からない中東での混乱の直撃を受けている今、改めて資源小国日本の命運は同国にかかっていると言っても決して過言ではありません。「準同盟国」として、一層の関係強化は必須です。

 併せて筆者が訴えたいのは、唐突で恐縮なのですが、我が国の液化天然ガスの総輸入量の約3%を占めてきた国が東ティモールであることです。

 これまで採掘して来たティモール海にあるバユウンダンガス田の天然ガスは、海底パイプラインでオーストラリアのダーウィンに送られ、そこで液化され年間約300万トンの全てが日本に輸出されて来ました。統計上はオーストラリアからの輸入に含まれてしまっているため、東ティモールの重要性はあまり認識されていません。

 筆者には苦い経験があります。昨年開催された大阪関西EXPO2025の会場で行われた東ティモールの経済フォ‐ラム。我が国に対する液化天然ガス供給国を説明された資源エネルギー庁の方が示したパワーポイントや発言からは、オーストラリアの名前は出ても、東ティモールの名前は全く出なかったことです。残念でなりません。

 なお、同ガス田の採掘は現在終了しました。今後は、絶好の二酸化炭素貯蔵施設として、我が国はフルに活用して行ったらよいのではないでしょうか。

 今、東ティモールとオーストラリアは、バユウンダンガス田と同様にティモール海で見つかっているグレーターサンライズガス田の開発方法を巡って厳しい交渉を続けています。東ティモールは、今度は海底パイプラインを東ティモールに、オーストラリアは、引き続きダ‐ウィンに持ってくることを主張し、未だ何らかの合意には至っていません。交渉が長引いているうちに、日本の関係企業複数社が、本案件から手を引く動きを見せていることは、資源小国日本のエネルギーの安全保障上、看過することができません。経済産業省・資源エネルギー庁の取り組みはどうなっているのでしょうか。

 ここで思い出すのは、筆者が駐東ティモール大使在任中の話しになりますが、同僚の当時の中国大使が「バユウンダンのガスは日本に取られたが、グレーターサンライズは我々が頂く」と語っていたことです。現在、中国がグレーターサンライズガス田をどう見ているか、小生には分かりませんが・・・。時宜を失することの無い国家戦略的決断と行動を願って止みません。

 なお、併せて東ティモールの関係で忘れないで頂きたいことがあります。それは、東ティモールが独立を回復した2002年5月20日以降、今日まで、日本の首相で東ティモールを訪問された方が誰もおられないことです。

 小なりといえども、正に「山椒はピリリと辛い」の例え通りの東ティモールです。地政学的に重要な位置を占める親日国。昨年10月26日には日本が重視するASEANの11番目の加盟国にもなりました。当日開催された「日・ASEAN首脳会議」に出席した高市首相が東ティモールのグスマン首相と笑顔で熱い挨拶を交わしているテレビ報道が浮かんで来ます。日本と基本的価値観を共有。同国の政治的民主化度はASEAN第一。「自由で開かれたインド太平洋構想」を支持。日本・ドイツ・インド・ブラジルの国連安保理常任理事国入りを支持。平均年齢21歳・30歳以下が人口の65%・合計特殊出生率は4・0(日本は1・15)。高市首相がいみじくも述べている「静かな有事」である少子化が加速し続けている日本とは真逆の若い国。技能実習生の派遣・受け入れは、2023年から開始。現在、約70名。引き続き増加を図って行くことは、双方にとって有益。更に、常石造船や管清工業,伊藤忠商事等、いくつかの日本企業の同国進出・投資が開始されるなど、パートナーとしてのウイン・ウインの関係はゆっくりですが、着実に歩を進めて来ています。

 東ティモールは、したたかな全方位外交(Zero Enemy, No allies)を展開。中国やキューバとも近い。紛争経験国や脆弱国から成るg+7諸国20カ国(うち14か国がアフリカ)の首脳会議を主宰しリード。g+7事務局は、東ティモールの首都ディリに置かれている。更にポルトガル語圏諸国共同体(CPLP)のメンバーでもあり、島嶼国との関係も深い。日本として、これら諸国に対するアプローチの一つとして、必要に応じ、東ティモールの協力も得られるように常日頃から緊密な信頼関係・絆を構築しておくことは、日本外交にとって重要なアセットになるのではないでしょうか。

 同国には、2027年のシンガポール、2028年のタイに続いて2029年に初のASEAN議長国の順番が回って来ます。その大任を引き受け成功裡に実施するとの決意の下、既にグスマン首相を長とする国家組織を立ち上げています。日本はそんな東ティモールに寄り添うなかで、ASEAN新米メンバーが議長国としての重責を果たしうるために日本が出来る協力・支援について早急に合意し、着手して行って頂きたいと思います。議長国を1回パスする旨を表明せざるを得ない事態には陥らせないとの強い姿勢を、日本が内外に示していく外交効果は大きいと思います。

 このような東ティモールは、今月5月20日に24回目の独立回復記念日・日本との国交樹立記念日を迎えます。

 高市首相が、日本首相として初めて独立回復後の同国訪問に踏み切り、共に将来を見据えたウイン・ウインの内容を盛り込んだ首脳会談を実施することになれば、両国の信頼関係・絆の強化は格段の弾みがつくことは言うまでもありません。特に中国をはじめとするアジア諸国・ASEAN加盟国の国際的反応も注目されます。


北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事

 お悔やみ

 4月21日、大分県日出生台演習場で、射撃訓練を行っていた西部方面戦車隊に所属する10式戦車の砲塔内で弾薬が破裂した事故におきまして、亡くなられた隊員の方のご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、ご遺族様および関係者の方々にお悔やみを申し上げます。

防衛ホーム新聞社

西部方面戦車隊(玖珠)

  濱邊 健太郎 1等陸曹(特別昇任)

  髙山 新吾  2等陸曹(特別昇任)

  金井 効三  2等陸曹(特別昇任)

紙面一覧
紙面一覧
close