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最先任等に対する統合研修はじまる

次世代の下士官リーダーを育成

写真=統幕副長の講話に聞き入る参加者たち


 統合幕僚監部は、令和7年度より陸海空自衛隊等の最先任等に対する統合研修をスタートさせた。軍種の垣根を超えた最先任等に対する研修はこれまで行われていなかった。統幕では、今後統幕最先任等が下士官の代表として防衛交流の場に立つ機会は増えると考えており、米軍の最先任が戦略、歴史、安全保障環境を踏まえて自身の考えを発言するように、自衛隊の最先任等にも必要な能力を修得させたいという考えに基づき動き出した本事業。将来、統合幕僚監部、統合作戦司令部各自衛隊メジャーコマンド等の最先任を志す准曹から選抜された24名(うち女性2名)が全国から一堂に会し、市ヶ谷地区と目黒地区において1週間にわたる研修を通じてスキルアップを図った。


 昨年6月の前期研修に続いて、1月13日から19日に行われた後期研修には陸自、海自、空自のほか、海上輸送群や自衛隊サイバー防衛隊等の共同部隊も参加した。共同部隊からの参加は今回が初めてだ。

 研修初日、市ヶ谷地区で松永浩二統合幕僚副長が、緊張気味の参加者に対し訓示に立った。「私はここ(統幕)に来て、制服の色を意識したことはない。みんな同じ統幕の仕事をする隊員だ」、「完璧な指揮官などいない。だから君たちがそれを補ってもらいたい」と述べた。参加者の目指すべき方向性がひとつになった瞬間だったと聞く。

 翌日からは、目黒地区で「安全保障」と「服務」をテーマに3グループにわかれてディスカッションを行った。時間が経つにつれて熱を帯びていき、活発な意見が飛び交った。「陸海空に加え共同部隊も交えたディスカッションは、より統合を意識することができた」「違う軍種の最先任らに感化されて、自己の足らざる部分を知ることができた」等の声が参加者から寄せられた。

 議論を一歩引いて見守っていたのが統幕最先任、統合作戦司令部最先任、陸上自衛隊最先任上級曹長、海上自衛隊先任伍長、航空自衛隊准曹士先任等、最先任のトップたち。次世代の下士官のリーダーを目指す参加者に熱い視線を注ぐ姿が印象的だった。


JJOC研修や在日米軍最上級曹長の講話も

 研修ではこの他、昨年3月に創設された統合作戦司令部(JJOC)研修、パネルディスカッション、個人発表に加えて、前期参加者の意見を取り入れた在日米軍最上級曹長の講話が行われた。JJOC研修では、自身が所属する部隊が自衛隊の統合運用の中でどの機能を担っているのかを俯瞰的に見ることで、広い視野を養うことができたようだ。また、ダミアン在日米軍最上級曹長は講話において、「最先任という立場から、若い隊員への接し方等は日米共通の課題だ」「服務指導だけではなく、部隊の練度向上を忘れてはならない。有事の時は隊員を家族の下にちゃんと帰さないといけないのだ」と述べ、参加者はその言葉に大きく頷き共感していた。


今後も年2回で継続

 指揮官の考えを理解しそれを部隊に浸透させる一方、部隊から吸い上げた意見をまとめて指揮官に伝えるという、部隊の円滑な運用において核心となる役割を担う最先任等。指揮官からは「信頼できる片腕」として、部隊からは「良き兄貴姉貴分」としてその存在感は大きい。今後、統合運用体制の強化を見据えた次世代の最先任等を育成することが、複雑で厳しい安全保障環境の真っ只中にある日本の防衛に寄与する事は論を俟たない。統幕は「研修への参加希望者が多数で、意識の高さを感じる。研修期間は所属部隊での任務があるので1週間程度に設定しているが、参加者の声を反映しながら内容を充実させ、今後も年に2回は実施していきたい」としている。


新たにはじまる

日米統合教育連携

 米国では統合下士官軍事専門教育が複数あるが、自衛隊は2月、それらのひとつ「GATEWAY」に1名を派遣する。自衛隊員が米国の統合下士官軍事専門教育に参加するのは初めてのことだ。また、11月には統幕総務部長が渡米して、統合参謀本部J1、J7部長らと初めての人事・教育幕僚懇談を行う予定だ。


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成長への気づき

陸上自衛隊武器学校最先任上級曹長 准陸尉 喜田 賢二

 私が大切にしている言葉に「守破離」というものがあります。この言葉は剣道や茶道などで成長の3段階を表す言葉として使われ、本質を忘れず、師の教えを守りながらも独自の道を進むという解釈になります。この考え方は仕事や学習などの幅広い分野で応用されています。仕事に当てはめてみると、規則、規律、基本基礎、伝統を「守り」、仲間と連携や協力、工夫することにより固執した考えを「破り」、効率的に業務を実施して、本質を踏まえた上で創造力や向上心をもって古い考えから「離れて」いくことが必要であり、一つ一つの物事に守破離を意識して積み重ねていくことで自らが成長でき、組織に貢献できるのではないかと考えております。

 昨今、「テクノロジーの進化」「働き方の改革」「価値観の多様化」「社会構造の変化」など時代の変化がある中で、不変・可変を見極めながら必要に応じ対応していかなければなりません。私自身も今までの固定観念にとらわれることなく、進化していけるように精進していきます。

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