自衛隊ニュース
感謝の気持ち忘れずに 二十歳の集い
写真=先輩隊員の加勢を受けながら
90式戦車引く<北恵庭>
北恵庭駐屯地(司令・烏賊弘二郎1陸佐)は1月15日、成人祝賀行事を実施し、本年成人を迎える14名の内、8名の隊員が90式戦 車との綱引きに挑んだ。
本行事は、二十歳を迎える隊員等を祝賀し、成人及び自衛官としての責任を自覚させるとともに、駐屯地としての融和団結を図る事を目的として行われた。
駐屯地各部隊の先輩隊員の応援の下、戦車につながれた4本の綱を引いたが約50トンの重さに新成人だけではぴくりともせず、多くの先輩隊員の加勢により、ようやく戦車がゆっくりと進み始めて約50センチメートル動かすことができた。
新成人代表者は、「新成人となったこれからは、社会人としての責任と自覚を持ち、今まで支えてくれた家族や指導してくれた先輩たちへの恩返しの気持ちを持って日々邁進していきたい」と、二十歳になった決意を述べ、社会人として、自衛官としての自覚と責任を新たにした。
国民の負託に応える<福島>
福島駐屯地(司令・南利裕数1陸佐)は、1月16日、同駐屯地体育館において「二十歳を祝う会」を挙行した。来賓には福島市長代理危機管理監をはじめ各協力団体、駐屯地近傍の地域の方々、駐屯地モニター、隊員の家族が多く列席した。
式辞では、駐屯地司令が「これまで過ごしてきた日々を振り返り、お世話になったご家族・友人・同僚への感謝の気持ちを忘れることなく、これから何をすべきかを真剣に考えるようにしてもらいたい」と述べた。また、駐屯地修親会(会長・駐屯地司令)及び駐屯地曹友会(会長・44普連遠藤曹長)より記念品の贈呈を行った。
最後に、二十歳を迎えた隊員を代表して4名が「二十歳の主張」を発表した。うち、第44普通科連隊第1中隊の菊地秋社陸士長は「この日を迎えることができたのは、家族や友人、多くの方々の支えがあったからだと改めて感じています。挑戦を恐れず可能性を広げる時、立ち止まりながらも前に進んでいける強さを身につけたい」と語った。
式終了後は、同駐屯地食堂において、二十歳を祝い祝賀会食も開かれた。会場は駐屯地音楽隊の演奏で包まれる中、福島県郷土料理「こづゆ」を含む特別お祝い献立でテーブルを彩った。
来賓式辞は、福島県防衛協会会長代理(副会長・大槻博太様)が二十歳を迎えた隊員と家族を祝い、乾杯のご発声は女性による自衛隊協力会「花ももの会」(会長・横山りつこ様)が祝福と激励の言葉とともにおこなった。
二十歳を迎える隊員を代表して、第44普通科連隊重迫撃砲中隊の千葉愛美華陸士長は「二十歳を迎えられたのは、愛情をもって育ててくれた家族、支えてくれた仲間のおかげです。これからは社会人・自衛官としての責任を持ち、国民の皆様の負託に応えられるよう日々努力してまいります」と誓った。
最後は、福島県隊友会(会長・片倉幸男様)の万歳三唱で人生の節目を迎えた二十歳の隊員の門出を祝った。
挑戦の心をもって<仙台>
仙台駐屯地(司令・大野真陸将補)は1月15日、仙台駐屯地成人行事を実施した。
隊員食堂において前段は式典形式の厳粛な雰囲気で行われた。仙台市長代理の宮城野区長をはじめ多数のご来賓及び各部隊長や新成人の御家族に参列いただき、駐屯地司令は式辞の中で「今年度二十歳となる18名に対して人生の一つの節目において自衛官であることに対する感謝と敬意、自衛隊員としての服務の本旨を理解しながら勤務すること、御家族や周囲の方々への感謝の気持ちを忘れず国民を守る自衛官であるという使命を自覚しながら常に挑み戦う挑戦の心をもって、厳しい訓練や勤務に励み成長し活躍することを期待する」とはなむけの言葉を述べ、成人隊員はその言葉を噛みしめながら聞いていた。
そして、成人隊員代表が「二十歳という人生の大きな節目を迎え、これまで育ててくれた家族や上司、先輩方、同僚、後輩のおかげであることを改めて認識し深く感謝するとともに様々な人達に認められる立派な自衛官、社会人として成長できるよう努力します」と決意と誓いの言葉を述べた。
後段は、東北方面音楽隊の生演奏が流れる中、和やかな雰囲気で祝賀会食が行われた。隊員達は緊張感のほぐれた様子で家族や上司、御来賓の方々からの祝福の言葉を受けながら笑顔で会話をしていた。また、新成人となった隊員一人一人が個性的な一文字を掲げながら二十歳の抱負を述べ、ユニークな内容も交えながらも二十歳の節目に新たな決意が感じられた。そのたのもしい姿に隊員御家族や御来賓の方々は大変満足された様子で会場を後にされた。
昨日の自分よりも前に<えびの>
えびの駐屯地(司令・甲斐久博1陸佐)は、1月13日「令和八年えびの駐屯地二十歳のお祝い行事」を行った。
二十歳を迎えた11名の隊員は、二十歳の決意を文字に表し、駐屯地隊員及び協力団体の皆様が見守る中、決意の表明を行った。
「成長」を掲げた丸山一士は、「二十歳という節目を迎え、すぐに大きく変わることはできなくても、昨日の自分より少しでも前に進むことを大切にしていきたい、人として成長し続けられる大人になることを目標に成長という言葉を選びました」と力強く述べた。他にも「全力投球」「感謝」といった決意が語られ、それぞれの思いが会場に響いた。
行事の最後には、駐屯地先輩隊員より激励の言葉が贈られ新たな門出をお祝いした。
社会に貢献したい<勝田>
勝田駐屯地(司令・𠮷春隆史陸将補)は、1月15日、「駐屯地二十歳の集い」を実施し、駐屯地として二十歳を迎えた隊員4名を祝福した。
行事において、駐屯地司令から二十歳の隊員に対し、「二十歳を迎えることができたことを家族に感謝するとともに、自衛官として志をもって、日々の訓練等に取り組んでほしい」との言葉を贈り、隊員の前途を祝福した。
また、勝田駐屯地修親会及び曹友会から記念品として実印用印鑑セットを贈呈するとともに、二十歳代表者謝辞において施設教育直接支援中隊の水野3曹が、「私達4名が二十歳を迎えることができたのは、愛情をこめて育ててくれた両親をはじめ、多くの方々の支えのおかげであり、今後は、社会人として自覚と責任を持ち、感謝の気持ちを忘れることなく、社会に貢献できるよう努力してまいります」と挨拶した。
最後に隊員一人一人が二十歳の抱負について、漢字で力強く表現した色紙を持って発表し、自衛官として、また一社会人としての自覚と決意を胸に大人の一歩を踏みだした。
音楽隊に敬礼っ‼<第29回>
前陸上自衛隊中央音楽隊長 樋口 孝博
音楽隊のプログラミング
写真=演奏プログラムの表紙
「隊長! 次の演奏会はどういう企画にしましょうか?」係とのやりとりは、演奏会の数か月前から繰り返されます。「これを演奏してみたい」「これが流行ってるから」といった考えだけでは、聴衆の心に響かせる選曲にはなりません。そのためプログラミングは、神が降りてくるまで悩み続けるのです。
音楽隊の演奏会に大曲や難曲を取り上げても、それを期待して来られる聴衆は10%にも満たないでしょう。客席には家族や友人などの応援団も少なく、常にアウェーで試合をするようなものです。会場に足を向けてくださるすべての聴衆に対して、音楽団体の模範として、そして自衛隊の代表として良いプログラミングをすることは、良い演奏をする以前に重要なポイントなのです。
期待値のシミュレーション
音楽隊では、まず初めに上司や主催者の意向を考えます。コンサートの成功を一番に願っているのはこういった方々ですので、その期待に応えることが最初のポイントになります。企画係のほとんどは生粋の「吹奏楽人」ですから、普通のクラシック・アレンジ曲や吹奏楽曲を取り上げることはお手のもの。しかし、これだけではプロ吹奏楽団や一般の演奏団体と何ら変わることはありません。それらと大きく異なる第二のポイントは、〝制服姿から奏でられる凛々しいサウンド〟です。聴衆のほとんどは、クラシックコンサートのような曲目やソリストを目当てに来場するのではなく、「音楽隊そのもの」を期待して来られます。制服で着飾った隊員たちが颯爽と入場するだけでステージは華やかになり、全員の立ち姿には拍手が湧きます。そして階級章を付けた指揮者によって、晴れ晴れとしたマーチを演奏する姿がひとつのカタチになるのです。もちろん選曲にはマーチだけでなく、たくましさを感じさせる曲もプログラミングされます。世界のミリタリーバンド(軍楽隊)のために書かれたものを取り上げたり、ドラムパフォーマンスやファンファーレなどを加えたりするのも音楽隊にふさわしいといえるでしょう。
名曲と名演
定期演奏会や音楽まつりでは、幕開けやオープニングに名曲《君が代》を演奏することもありますが、その演奏で会場がひとつになるのは自衛隊ならではといえます。しかし馴染みの薄い吹奏楽の作品は、なかなか受け入れられてもらえません。委嘱作や新作の披露といっても、趣旨が伝わらなければ興ざめしてしまうことすらあります。更にクラシック曲をいくらアレンジしても、オーケストラの響きを超えることはできないものです。それでも「名曲」と呼ばれる作品に対して真摯に向かいあい、「名演」を披露できたときには聴衆に深い感動を与えるものです。
ときにはゲスト奏者や指揮者をお迎えすることもありますが、曲の選定はお任せにしないよう心がけています。もしゲストが音楽隊のカラーを知らなければ、いくら名演であっても「自衛隊の演奏会」として聴衆に違和感を与えてしまうことがあるからです。ゲストの方々もそのことは承知しているとは思いますが、プログラミングのキャッチボールはとても重要なことになります。
期待以上を熟考する
このように、「聴衆が何を期待しているのか?」と考えてプログラミングすれば、自然と音楽隊らしい選曲になってきます。しかし、ここからが重要なポイントになります。それは、「期待以上のものをすること」です。この「もの」というのは、演奏者側の音色や表現力、超絶技巧や演出などがあります。そしてもうひとつは、サプライズです。
聴衆は演奏曲にある程度の基準と期待値を持っていますから、それを上回ることが最も大切なことなのです。レストランや旅行でも期待以上であれば嬉しいものですし、テーマパークはサプライズの連続です。期待以上のものは、感動を与えつつ人の記憶にとどめます。そのため音楽隊の企画係は、〝夜も寝ながら〟プログラミングを考えるのです。