自衛隊ニュース

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インド太平洋国際軍事医学会議に参加
最新の戦傷病治療の知見等を共有<衛生学校>

写真=野外手術システム等によるハンズオン


 陸上自衛隊衛生学校(学校長・白石智将陸将=三宿)は、12月2日から同5日の間、インド太平洋国際軍事医学会議(IPMHE)に参加した。本会議において、インド太平洋地域各国と「自由で開かれたインド太平洋」ビジョンを共有する同盟・同志国等と、各国との衛生上の諸問題についての討議・意見交換を行い、戦傷病治療等に関する経験や最新の知見を共有した。

 2国間懇談においては、衛生学校学校長と主任教官が参加し、衛生分野の防衛協力や教育訓練の連携について意見交換を行った。

 彰古館の展示物により明治初期の治療を、野外手術システム等のハンズオンにより現代の治療を展示し理解を獲得した。また、衛生学校教官の座長支援による活発な意見交換等により円滑な会議運営にも寄与した。

 本会議を通じ、衛生学校のプレゼンスを高めるとともに、インド太平洋地域における抑止力構築に貢献した。

伝統の藤山武装障害走<陸幹候校>

写真=激走する候補生


 陸上自衛隊幹部候補生学校(学校長・香川賢士陸将補=前川)は12月19日、第106期一般幹部候補生(部内選抜)課程(後段)に対し、伝統行事の一つである藤山武装障害走を実施した。

 冬晴れの中、約200名の候補生が4名ずつの55組に分かれて勢いよく出走した。

 候補生は戦闘員に必要な各種戦技能力を総合的に発揮して、高低差約77メートル、全長2・2キロの天然地形に射撃・手榴弾投てきを含む計20個の障害を設置した、日本一過酷な障害走路に挑み、出走した全員が全力を尽くして、決勝点(ゴール)を目指して疾走した。

 今回の障害走に際し、候補生の部隊応援者、幹部候補生学校OB会、隊友会、家族会および偕行会の約60名から激励を受けた。

旅団総合戦闘射撃競技会で健闘
<第13普通科連隊>

写真=狙いを定めて…


 第13普通科連隊(連隊長・秋山伸太郎1陸佐=松本)は、11月12日から20日、関山演習場で実施された旅団総合戦闘射撃競技会に参加した。

 連隊は今回の競技会を見据え、練成及び競技会等を実施して練度向上を図り、13連隊一丸となって優勝を目指した。競技会では、旅団の3コ連隊から各3個中隊、計9個の中隊が参加した。

 13連隊は、第3中隊が先陣を切り、重迫撃砲中隊及び迫撃砲小隊は小銃小隊の前進を射撃支援した。小銃小隊は射撃と前進を繰り返しながら敵を圧迫し、強襲を実施した。その後、第1中隊、第2中隊が続き、各中隊の指揮官は状況を的確に判断し、目標へ火力を集中させた。また、重迫撃砲中隊および迫撃砲小隊は火力と情報・機動を連携させながら戦闘を支援した。

 各中隊は今まで積み上げてきた練成成果を発揮して、13連隊優勝のために全力を尽くした。重迫撃砲中隊射撃の部では、13連隊が第1位となり健闘した。

 各中隊は、これまで積み上げてきた経験と技術にさらに磨きをかけ、今後も練成を重ねていく。

ノーサイド
北原巖男

高校3年奨学生2名の手記

 幼い頃父親を炭鉱の落盤事故で失い、女手一つ、母子家庭で育てられた「学研」創業者の(故)古岡秀人さんが、1980年に私財を投じて設立した「古岡奨学会」。

 爾来、厳しい環境の中に在って向学心溢れる母子家庭の高校生に対する給付型奨学金を通じて修学を支援し続け、各方面に有為な人材を多数輩出して来ています。その数は、今春卒業が見込まれる第44期奨学生を含めますと、総計1万71名になります。

 現在の「公益財団法人古岡奨学会」の理事長は、「株式会社学研ホールディングス」社長の宮原博昭さん。宮原博昭さんは、防衛大学校の卒業生です。現在、「公益財団法人防衛大学校学術・教育振興会」(理事長 岡崎 匠さん)の評議員も務められ、母校の発展にも尽力されています。

 この度、同古岡奨学会から第44期奨学生360名の手記をまとめた文集「奨学」第44号が発行されました。詩人の金子みすゞさんではありませんが、卒業を控えた「みんなちがってみんないい」皆さんの思いや心情の吐露に、おのずと引き込まれます。

 ここでは、その中から2名の奨学生の手記を、自衛隊員・ご家族の皆さんそして本紙読者の皆さんと共有させて頂きたいと思います。(筆者抜粋)

1.「迷いと決意」 愛媛県の女子奨学生

 「私の将来の夢は動物園の飼育員になることです。小学生の頃から動物と仲良くなれる仕事にあこがれて来ましたが、ある時「動物園の動物と野生の動物、どちらが幸せか?」という問いに出会い、飼育員という仕事に迷いを感じました。それでも私は、動物園が果たす役割に意味があると考え直し、再び飼育員を目指すことに決めました。例えば最近、野生の熊が人里に現れ人を襲う事件が増えています。動物園という場で本物の熊を見ながら、人が野生動物について学ぶことで、人と動物の関係について考えるきっかけが生まれると思います。そして私は、動物が本来持つ力や性格を活かし、その生き様を人に魅せられるような動物園をつくりたいです。将来、動物にとっても人にとってもより良い動物園をつくれる飼育員になるために、展示の仕方や野生動物の住む環境、絶滅危惧種の保護や繁殖など幅広く学び、知識と経験を積んでいきます。…感謝を忘れず、応援してよかったと思ってもらえるよう、努力を続けます」。

2.「母の魔法」福岡県の女子奨学生

 「私の母は魔法が使えるのかもしれない。…ここで私は、母が使える魔法とともに日頃の想いを伝えたい。

 1つ目は、色んな姿に変身できる魔法だ。美味しいご飯を作ってくれる母やおしゃれを教えてくれる姉、ダジャレを言って笑わせてくれる父など、色んな姿に変身することができる。私と母、二人しかいない家が大家族のように賑やかで明るくなるのは、きっと母の魔法のおかげだろう。

 2つ目は、未来を見ることができる魔法だ。母は私が不安を抱えているとき、いつも「今までの努力をお守りにしなさい。明るい未来が待っているよ。」と、優しく芯のある言葉で私を包んでくれる。私は、何度も母の前向きな言葉に支えられてきた。母が私にかけてくれた言葉はすべて、私のお守りだ。

 最後は、私の気持ちや考えていることがわかる魔法だ。嬉しいとき、楽しいとき、悲しいとき、辛いとき、どんなときでも、母にはすぐにばれてしまう。そして、その度に母は私を真正面から受け止め、向き合おうとしてくれる。いつも私のことを第一に考えてくれる母は偉大だ。自分のことで手一杯な私も、いつかは母のような人になれるのだろうか。母の魔法にかけられる度に強くそう思う。

 母の「魔法」は「優しさ」だ。…」

 奨学生の皆さんは、いずれもお母さんが女手一つで大変な苦労をして育ててこられた「掌中の珠」と言っても過言ではありません。これからもご家族を大切に、胸を張って、元気に活動されていくことを期待し、心から力いっぱいのエールを送りたいと思います!(筆者は、2012年から同奨学会理事)


北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事

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