自衛隊ニュース
令和6年度実爆を伴う滑走路
被害復旧訓練
<中部航空方面隊>
中部航空方面隊(司令官・門間政仁空将=入間)は、7月8日から12日の間、三沢対地射爆撃場において「令和6年度実爆を伴う滑走路被害復旧訓練」を実施した。
陸自・米空軍と共に
本訓練は、爆弾等で被害を受けた飛行場において速やかに飛散物を除去しコンクリートで滑走路の穴を埋めるなどの復旧作業を行い、航空機が離発着できるようにするための訓練であり、滑走路被害復旧能力の向上及び滑走路被害復旧要領の深化を図ることを目的とし、各航空方面隊が毎年交替で訓練を実施している。特に今年度は、中部航空施設隊(隊司令・北川圭野1空佐=入間)が中心となり、アメリカ合衆国空軍第5空軍第374輸送航空団施設中隊(中隊長Michael J.Pluger 中佐=横田)との共同、また、陸上自衛隊東部方面隊第1施設団第5施設群(群長・萩森泰聡1陸佐=高田)との協同で復旧作業を行い、更なる対処能力の向上を図ることとした。
訓練前日には、実際に模擬滑走路を数回にわたり爆破し、実践的な訓練環境を整備した。その後、司令官は「我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増し、また、世界各地の紛争等においては滑走路に対する弾道ミサイル、ドローン等による被害の蓋然性が高まっていることから、本訓練は極めて重要である。日頃の訓練成果を発揮するとともに、本訓練で得た教訓を他の部隊にも共有して欲しい」と訓練参加部隊に対し、激励の訓示を述べた。
訓練当日は降雨もあり、コンクリートの品質管理等が困難となる悪条件下であったが、中部航空施設隊で編組された滑走路被害復旧隊を中心として、米空軍第374輸送航空団施設中隊及び陸上自衛隊第5施設群と緊密に連携しつつ損傷した模擬滑走路の復旧作業に当たった。相互に積極的にコミュニケーションを図りつつ、それぞれの部隊が日頃の訓練の成果を遺憾なく発揮することで迅速に被害復旧訓練を完遂することができた。
訓練終了後、隊司令は「今回の滑走路被害復旧訓練は、日米共同、陸空協同という国境及び部隊を越え、隊員が相互に緊密に連携し、大きな訓練を成し遂げることができ、本当に素晴らしい光景、素晴らしい訓練だった」と述べるとともに、参加隊員同士、その成果を讃えあった。
引き続き中部航空方面隊は、如何なる事態においても航空戦力発揮の基盤として一役を担う飛行場の安定運用を維持していくため、被害復旧能力を維持・向上させていく。
JMAS山崎会長 カンボジアを訪問
自衛隊OB等でつくるJMAS(Japan Mine Action Service 認定特定非営利活動法人 日本地雷処理を支援する会)は、2002年5月、地雷地帯の処理安全化活動そのものを実行するNPO法人として発足、「オヤジ達の国際貢献」を開始、現在、カンボジア、ミクロネシア、パラオで活動している。中でも、カンボジアでは設立当初から活動しており、現地の人々と協力し、地雷・不発弾処理のみならず、農地支援活動、道路整備等の安全な村つくり事業等にも取り組み、一昨年には、多くの方々の協力を得て、クラウドファンディングによる小学校のトイレ・水飲み場整備等も実施している。こうした姿の見える国際貢献活動により、JMASは、カンボジア政府、CMAC(Cambodian Mine Action Center カンボジア地雷対策センター)、CMAA(Cambodian Mine Action and Victim Assistance Authority カンボジア地雷対策・被害者支援庁)等の地雷処理関係機関、現地の人々とも信頼関係の構築に努めてきた。また、今年は、対人地雷禁止条約(オタワ条約)により5年に一度、検討会議が開催される年であり、カンボジアにおいて開催されることが決定されている。
長年の貢献に対してフン・マネット首相から謝意
こうした中、山崎幸二JMAS会長(前統合幕僚長)らは、7月9日から15日の間、カンボジア王国を訪問し、フン・マネット首相、ヘン・ラタナCMAC長官、リー・トーチCMAA第一副長官、植野篤志駐カンボジア日本国特命全権大使等を表敬するとともに、プノンペン市、バッタンバン州、バンテアイミアンチェイ州のJMAS活動現場に赴き、現地の人々と国際貢献に汗を流す軽部真和代表及び専門家等の隊員を激励した。
フン・マネット首相はじめ、カンボジア政府関係者からは、JMASが設立された2002年から22年間、JMASが実施してきた地雷及び不発弾の処理、安全化された地域の農地整備事業、道路補修、学校建設等安全な村つくり事業、住民に対する危険回避教育等の活動に対し、感謝の意が表された。
現地職員らを激励
また、活動現場の軽部真和代表からは、「カンボジア内戦やベトナム戦争により多くの地雷や不発弾が残り、カンボジアの方々は苦しめられてきた。これまで長年にわたり、国際貢献の志のある自衛隊OBの多くの先人が活動してきたが、数え切れない多くの住民から感謝されていることを肌で感じる。現在のJMASの活動は、地雷及び不発弾の処理だけでなく農業支援まで幅広く行っており、カンボジアの安全と繁栄そして発展に貢献していることを誇りに思っている。自衛隊での経験が退官後にも生かすことができて嬉しい」と心強い報告を受けた。
山崎幸二会長からは、「これまでのカンボジアでのJMASの活動は高く評価され、感謝されている。これは国際貢献に高い志を持った自衛隊OBの努力の結晶であることを感じた。JMASへの期待は高く、今後も継続していきたい」と、困難な状況下、国際貢献活動に真摯に取り組む現地隊員に対し、感謝の意が表された。
JMAS
(Japan Mine Action Service認定特定非営利活動法人 日本地雷処理を支援する会)について
1.設立経緯
20世紀後半、世界の各地で発生した地域紛争の跡地には、膨大な数の地雷等が残されたままです。その厳しい環境の中で犠牲を伴い、日々の生活を送る多くの人々が今もいます。こうした中、国際社会では、1997年、122カ国が参加した「対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約(対人地雷禁止条約・オタワ条約)が成立、当初からこれに参加した我が国は、2000年1月に備蓄地雷の廃棄を開始致しました。更に、海外から地雷に関する知見や技術を持つ自衛隊OBに対する、この問題への取り組みが望まれたため、2001年9月、JMASは先ず、退職自衛官を中心とした任意団体として発足し、諸準備を経て、2002年5月、地雷地帯の処理安全化活動そのものを実行するNPO法人として発足、「オヤジ達の国際貢献」を開始、22年が過ぎました。
2.これまでの活動
この間、カンボジア地雷・不発弾処理事業、ラオスクラスター子弾不発弾機械処理事業、アフガニスタン地雷処理事業、アンゴラ地雷処理・地域復興支援事業、パキスタン水道改善事業、パラオ海域不発弾処理事業、ミクロネシア戦没船油漏れ対策事業等を実施、防衛省からの「カンボジアにおけるPKO能力構築支援事業」を受託して、カンボジアの方々の人材育成にも寄与、更に、クラウドファンディングによる小学校のトイレ・水飲み場整備等地域復興支援にも取り組んでまいりました。
3.現在の活動
現在、カンボジア、パラオ、ミクロネシアで活動しています。JMASの活動は各現地政府等から高い信頼を得ており、JMASへの期待は大きく、これからも各種平和構築活動を行い、安全で豊かな国際社会の創造に貢献し、日本人の顔が見える人道支援に寄与していく所存ですので、皆様からのご理解・ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
※JMASの活動に興味のある方、ご協力・ご支援いただける方は、左記QRコードからJMASのホームページをご訪問下さい。実際に事務局にお越しになられても結構です。
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