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   2003年7月15日号
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家庭のひろば
子や孫に伝えたい
エッセイ、自分史、写真なども
高齢者の発信の場
 高齢者が投稿を通じて社会参加できるようにとシニアのための投稿誌を手掛けている民間団体「日々発見の会」(東京)は、『大人からの情報発信』を季刊で発行。すでに5年が過ぎた。エッセイ、自分史、旅行記、俳句、短歌など会員には自己表現の場として欠かせなくなっている。
 会員は全国に約100名。同誌はB5判で30ページ前後の冊子で、毎回1,000部発行する。まず同会代表の石井じゅんさんが、カメラを片手に伝統の技を守る職人にインタビューするページから始まり、「まだまだ現役」のコーナーでは仕事、ボランティア、趣味に力を注ぐ積極的なシニアを紹介したり、昔話を発掘したりする。文章での投稿以外にも絵画、写真、手芸、工芸品など会員の作品発表の場にもなっている。
 石井さんが同誌を発行するきっかけは、リュウマチと糖尿病を患っていた母親が介護する間もなくあっという間に亡くなったことだった。「母からもっと話を聞いておくべきだった。母もまだたくさん言いたいことがあっただろう」という思いが残った。
 そこで「高齢者がもっと意見や知恵を発信して子や孫に伝えていく場を作ろう」と、同誌を立ち上げた。今では「何回か投稿するうちにその会員がどんどん前向きになってくるのが感じられる」という。
 会員の集りもすでに3回ほどあった。初対面なのに「あなたがあれを書いた方ね」と和気あいあいと話がはずむ。自分を表現し、それを他の人が読み評価されることは、自分自身の存在感を得ることにつながる。石井さんは「特に病床にいる方たちに呼びかけたい」とアピールしている。

進むグローバル化
古紙回収の新たな問題
システムの定着を
 古紙は資源回収の中でも回収率65%と抜きん出て高いが、一時の余剰から、輸出やそれに伴う国内買い取り価格の変動など古紙がグローバル化し、地域の回収率の問題だけではなくなってきた。
<古紙の価値が高い>
 地域で集団回収を実践しながら、メーカーや行政が古紙問題に取り組むネットワーク作りを10年にわたり提唱してきた市民団体「古紙問題市民行動ネットワーク」(事務局・東京)では、このほど製紙メーカーや問屋、古紙回収組合を招いてシンポジウム「古紙の現状をどう見るか?」を主催した。そこで明らかになったのは、古紙が商品として国際市場でやりとりされており、そこに数年前から資源回収で古紙の絶対量が確保できるようになった日本も参入した。その結果、古紙が思いもかけず商品価値の高いことを知った。日本では新聞紙や雑誌、段ボールや包装箱、事務用紙など分別されていて工場生産に有利な均一化がされているからだ。
<品質の均一性で>
 国内に大きなパルプ工場を持たない発展途上国では、古紙は常に需要で、従来は欧米が輸出の供給国になっていた。
 しかし日本ほど分別化しないで輸出していた。特に最大輸出国はアメリカで、バージンパルプが多いという品質の良さが売り物だった。
 ところが日本は品質の均一性や中国など急速に経済が発展しているアジアにも近いため、国際競争の最前線に躍り出てきたのだ。発展途上国の古紙需要はさらに増えると予測されており、特に巨大マーケットは中国、インドとされる。
<回収をシステム化>
 このような日本の国際競争力を生み出しているのが、細やかな分別を行ってきた市民の集団回収だ。ところが担ってきた市民の高齢化や、産廃業者による一括回収が進み、今後は分別回収が先細りすることが予測される。これを防ぐためには行政の役割が問われている。「今まで市民によって培われてきた回収システムをもっと定着させることに金を使うべき。その分別回収が国内のリサイクルを支えているのだから」と中村正子同ネットワーク代表は強調する。

家庭メモ
【防虫剤に注意】
 合成繊維の衣類をクリーニングのポリエチレンの袋に入れたまま、パラジクロロベンゼンの防虫剤を入れると、衣類の染料と化学変化を起こし、変色や色移りすることがある。合成繊維に防虫剤は必要ない。
 【紅茶を色よく】
 紅茶を入れるときは、汲み置きした水や温め直したものは、酸素が失われており、色がきれいに出ない。汲み立ての水を3、4分沸騰させて使うこと。
 【遊びを見つける】
 道ばたや公園など、自然の中で見つけた木の枝や石ころなどを何かに見立て、色を付けたり、組み合わせて接着すると、五感を活用したさまざまな遊びができる。
 【二次感染を防ぐ】
 食中毒でも感染力が強いと、家族に二次感染を引き起こす。水洗トイレの取っ手やドアノブなどに菌がついたりするので、十分に手洗いして、逆性せっけんや消毒用アルコールで消毒すること。

話題の新刊
考え方ひとつでメキメキ良くなる人生
豊かにたくましく生きる99のコツ
名誉地政学博士 田原克芳 著
 もし、こんな教師や親から教育を受けることができたらどうだろか。人の集団を紫陽花にたとえて曰く、それぞれの花弁が「個性の違いをもちつつ、同じ目的に向かって団結心を持つ、そこに人の集団の美しさがあるのです」。
 陸上自衛隊第三普通科連隊長兼名寄駐屯地司令。富士教導団長、第八師団長防衛大学校幹事、富士学校校長を歴任し、「生き残る」ことを実践的に積み重ねた著者の言は重い。リアルな言葉に若い読者は自分の役割を見失ったりしなくなるのではないだろうか。
 著者は2003年、富士学校長を最後に定年退官(勇退)。独特の理論と実践に基づく人生哲学を確立し、ユニークな造語多数、全国各地での講演も多く、ユーモアあふれる話法は好評である。
 「生きるとは一人前になることだ」と言い切り、その場しのぎの癒しなどでごまかさず、問題解決のために「帰納法」の実用をすすめる。理論的思考の根には、つねに幸福と充実を求める柔軟な発想がある。
 人生の幸福、充実、余裕のためにはどうしたらよいか。また人間関係、立身出世のためにはどのような技術があるか。「体験こそ財産」の著者が、明快にこたえる。
 「国を守るという崇高な使命感をもち、自衛隊の最高位(陸将)まで上りつめた著者というと、堅苦しい感じがするが、一気に読んでしまった面白い本である。人生の原理・原則・テクニックをわかりやすく解説した、いわば『タバルの法則』である」とは、田原氏と佐賀高校の同級生である俳優・村井国夫氏。「彼は我々の出世頭として人望を集めている人物である。」と語る。
 「100人に一人しか合格しない」なら「ゼロではないんだ」と考える。「別離が寂しい」なら「別れを悲しいと思うよりは、再会を楽しみにする」と発想を切り替える。「幸せの尺度は自分自身のもの」。読後感は爽快だ。
 生きるための実用テクニックを、けれんのない単刀直入な口調で、筋道を通して教えてくれる。躓き頭を抱えて、時が傷を癒すのをただただ待つ時代に、幸福とは何か、人の世の構造を理論的に見て、勇気をもって実践しようとする人のための1冊。(入船浩之)

ハギジン出版刊。(〒105-0004 東京都港区新橋6-11-3アーバン新橋ビル電話03-5401-3386)。03年4月10日第一版。221ページ。本体1200円+税

仏・タレス社、CATSなどPR
報道機関に説明会
 7月2日、ホテルグランドヒル市ヶ谷で、フランスの電子戦システム開発企業「タレス・エアボーン・システムズ社」が報道機関に対する説明会を開いた。近年の戦闘におけるジャミング・フリアなど電子戦システムの重要性を述べ、自社製品について解説、宣伝した。(写真)
 タレス社は、半世紀以上にわたり電子戦に関する様々な技術開発を進め、この分野では欧州第一位、世界第三位のシェアを誇る大企業。この日に先立つ30日と1日の両日、防衛庁内で開催されたセミナーにフランス企業の一員として参加。本社幹部も来日した。
 湾岸戦争からボスニア、コソボを通じて電子戦が激変したことを技術者が説明し、環境に即応できる新アルゴリズムの開発と運用を全体的に紹介。引き続き商品個別の特徴と利点を宣伝した。
 すばやい戦術把握・位置特定・対象分析を行う専用機器と、相互が瞬時に連絡しあうシステムを図解説明したあと、送られてきた情報を分析する解析センターに言及。コンピュータによるシミュレーション結果は、フランス西部に所有するタレス社の試験場で実際にDC9型機を飛ばしてデータを収集・比較する点を強調し、信頼性もアピールした。
 さらにコソボで実用されたシステムを会場内のモニタで実演。実際の戦闘で製品がどのように使われるかをCGアニメーションを交えてシミュレーションしてみせた。
 システム全体の売り込みだけではなく、現行のシステムに追加機能として利用されるパターンや民需転用例も紹介するなど、アドオンシステムによる柔軟な対応力をアピールした。また米製品と比べての対等・優位性を宣伝しつつ「日本からヨーロッパへのアプローチを」と検討を促した。
「特に今後、防衛庁向けには」との質問に対し「わが社の技術力なら、あらゆる要求に応えられる。」と積極的なアピールを行った。

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