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   2003年10月1日号
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メモリアルゾーンに弔銃響く
慰霊碑地区が完成
1726柱奉る
立派な追悼の場整う
 防衛庁は9月11日、自衛隊殉職者慰霊碑地区(メモリアルゾーン)の整備完了に伴う披露行事を行なった。
 午前10時すぎ、執行者の石破茂長官はじめ防衛庁・自衛隊の高級幹部、来賓、遺族会代表、関係団体の長ら多数が参列する中、第302保安中隊による特別儀仗隊が入場「捧げ銃」を行なった。拝礼、黙とうのあと、石破長官が挨拶に立ち、慰霊碑地区整備に至る経緯について触れながら「本日この場において、御霊の御遺志・御偉業を自衛隊員の鑑として永く顕彰するとともに自衛隊の任務完遂のため最善をつくす」ことを誓った。
 石破長官、遺族会代表、森前首相、瓦元長官、虎島元長官が順次慰霊碑に献花したあと、来賓を代表して森前首相が「尊い犠牲になられた方々のために心から感謝を申し上げ、併せて関係者の皆さんの御努力に重ねてお礼と敬意を表します」と挨拶。また、遺族会を代表して井上景子会長が「このような立派な施設を整えて頂いたことは、殉職隊員の御霊や遺族にとって新たな安らぎの場を得たという思いです」と挨拶した。
 最後に、特別儀仗隊による「弔銃」の音がメモリアルゾーンに響き渡った。
特別儀仗隊の弔銃がメモリアルゾーンに響きわたった
石破長官挨拶(全文)
 本日、ここに森前内閣総理大臣、虎島元防衛庁長官をはじめとする来賓の方々及び殉職隊員の御遺族の代表をお招きして、自衛隊殉職者慰霊碑地区の整備完了に伴う御案内をさせていただくに当たり、一言御挨拶を申し上げます。
 自衛隊は、昭和29年の創立以来、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つという崇高な任務を全うして参りました。今日においては、テロ対策支援や国際平和協力など、ますますその任務も多様化し、我が国を含む国際社会の平和と安全の確保に大きく貢献をしているところであります。これは、隊員一人一人が自らの使命を自覚し、自信と誇りを持ち、全力をもって自らの任務を果たしてきたからにほかなりません。
 そのような中にあって、志半ばにしてその職に殉ぜられた隊員諸君の尊い犠牲があったことを決して忘れることはできません。
 この慰霊碑は、殉職した隊員の功績を永久に顕彰し、深甚なる敬意と哀悼の意を捧げるため、昭和55年に隊員の募金等により建立されました。御覧のとおり左右一対で霊峰富士山を形どっており、現在までに1726柱を奉っております。
 防衛庁においては、本日御臨席の森前総理、虎島元防衛庁長官の御発意により、隊員諸君が自らの任務の崇高さに想いを致し、事故根絶の誓いを新たにするとともに、御遺族が心安らかに慰霊碑を参拝できるように、昨年度からここ慰霊碑地区の整備を推進してまいりましたが、庁創設50年目を来年に控えて、ここに完成を御案内する運びとなりました。諸外国の軍においては、殉職者の名誉に非常に重きを置いております。本日御臨席いただいております虎島元長官が、米国においてアーリントン国立墓地の無名戦士の墓を御参拝されました際には、その警護部隊長より、この墓標は自由を守るべく命を投げ出した者を永遠に忘れないため全米で最も敬虔に名誉を与えられた廟であり、全米国民を代表して参拝に心から感謝する旨の書簡が送られております。その意味で、今般、防衛庁においても諸外国にひけをとらない立派な追悼の場を有するに至ったことは、誠に意義深いものであります。これも、御臨席の皆さまの温かい御理解・御協力の賜であり、改めて感謝申し上げます。
 私は、本日この場において、御霊の御遺志・御偉業を自衛隊員の鑑として永く顕彰するとともに、長年の懸案であった事態対処法制の基礎が確立するに至った今日、ますますその役割が多様化し、重要性が増大する自衛隊の任務完遂のため、最善を尽くす誓いを新たにするものであります。
 最後に、本日の御案内に当たり、ここに改めて御遺族の方々に衷心から哀悼の意を表すとともに、関係の方々からの御理解・御協力を賜りましたことに謝意を表し、私の御挨拶とさせていただきます。
森前首相挨拶(全文)
 本日、石破防衛庁長官から御案内をいただきました、自衛隊殉職者慰霊碑地区が装いも新たに生まれ変わりました。皆さんとともに目の当たりにいたしまして心から感動を覚え、御挨拶を申し上げます。
 さきほど長官からのお話もございましたように防衛庁・自衛隊はまもなく50年の歴史を引き継ぎつつ、我が国の平和と独立を守るという崇高な任務のほかに、近年におきましては、国際社会におきます我が国の国際貢献ということも期待が大きく、自衛隊の皆さんの御精励をお願い申し上げる次第です。
 私はちょうど総理の時に、この防衛庁の新しい新庁舎での自衛隊殉職者追悼式に出席をさせていただきまして、遺族の皆様方に心からの感謝を申し上げ、お慰みを申し上げたことがございました。その時に、小さなまだ幼いお子様お2人の手を引いたお母様が前に進んで来られて、御挨拶、お参りをされておられました。その姿を見て、このお母様はこれからこの2人の子を育てていかなければならない。どんな御苦労が、また、どんな悲しさがこれからこの御家族にくるのだろうか。そう想いますと本当に胸がつまりました。そういうお母様
方が心からお子様に対して、パパは立派に国家のために国民のために働いたんだよということを誇りを持って教えてくださっているだろうか、それとも逆に将来こういう仕事に就いてはいけない、お父さんはこんな悲しい目に遭うんですよという意味で教えられるのだろうか。このことは防衛庁の皆さんの大きな責任だと思う。当時、私は、官房長始め皆さんにそう強く申し上げました。国のために殉じ、国家・国民のために命を懸けたことに対して、国がそして防衛庁が心からその霊を慰め感謝をする、そういう形を整えるということがこの犠牲になられたお子様達にどんな大きな誇りとなるか。そして、残された御遺族の皆さんにどんな大きな誇りとなって、こども達の教育に当たっていかれるだろうか、そのことをよく考えていただきたいと虎島長官にもお願い致しました。この慰霊碑地区を、あるいは慰霊碑地区をもっともっと立派に整備して、心から国民の皆さんがここで感謝を申し上げ、御霊のご冥福をお祈りできる、そういう場所を改めて整備し直すべきではないか、そう長官に申し上げ、虎島長官も大変な苦労をされて、また事務方の皆さんもいろいろ折衝されて、このすばらしい慰霊碑地区が完成したわけでございます。改めてそのことを思い出しまして、感動し胸がいっぱいでございます。どうぞ、これから日本の国はますます世界に誇り得る平和国家として、そして、また皆の努力で国際社会における大きな貢献・役割を果たしていく、そういう平和大国としてこれから歩んでいくことになりますが、そのためにも尊い犠牲になられた方々のために心から感謝を申し上げ、併せて関係者の皆さんの御努力に、重ねてお礼と敬意を表しまして私の御挨拶とさせていただきます。
井上遺族会会長挨拶(全文)
 自衛隊遺族会を代表いたしまして、一言御礼の言葉と御挨拶をさせていただきます。
 本日は、防衛庁慰霊碑地区整備完了に伴う披露行事にお招きいたふぁきまして、心から御礼申し上げます。
 私ども遺族は、近くに赴いた折りには、市ヶ谷台の慰霊碑に足を運び参拝して参りました。
 このたび、整然と整備された慰霊碑地区を拝見いたし、このような立派な施設を整えて頂いたことは、殉職者隊員の御霊や遺族にとって新たな安らぎの場を得たという思いであります。
 自衛隊員は我が国の防衛という崇高な使命のため、日夜、厳しい訓練を行ない、国の安全を保つという任務を行なっていると思います。しかし、遺族にとって、突然に訪れる悲しみは言葉では言い尽くせないものがございます。これ以上、新たな御家族が悲しみに暮れることがないことを願って止みません。
 隊員の皆様は、これからも厳しい環境での任務の遂行が求められることと思いますが、事故に遭うことなく任務を全うされますよう心から祈念しております。
 最後になりますが、慰霊碑地区の整備に多大なご尽力をいただきました、関係各位の皆様に対しまして、心から厚く御礼申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。

第4次東ティモール PKO、準備完了
「世に生を得るは、ことを成すためにあり」
 東ティモール国連平和維持活動の第4次隊派遣要員候補者約400名は8月18日〜28日までの11日間、大野原演習場(長崎県東彼杵町)と飯塚駐屯地(福岡県飯塚町)で、派遣前最後の大規模な訓練となる第3次準備訓練を行なった。
 5月6日の準備隊発足以来、これまでに2回の準備訓練を行なってきた。第1次準備期間は6月3日〜13日の間、飯塚駐屯地で、導入教育、語学教育、機能別教育、各個訓練などを行ない、基礎的知識と各個の練度を向上させるとともに派遣要員候補者としての自覚を醸成した。第2次準備訓練は7月6日〜13日までの間、日出台演習場で、各種施設作業、機能別訓練、不測事態対処訓練などを実施し、主に中隊等の基礎となる部隊以下の練度向上を図った。
 第3次準備訓練は、派遣前最後の大規模な訓練との位置づけから、現地派遣部隊としての総合力を発揮できるように、これまでの訓練成果を基礎として各種訓練を実施した。
 また、現地の勤務環境にできる限り近い状態になるよう訓練環境を整えた。具体的には、大野原演習場を現地のディリ地区に見立てて群主力を展開させるとともに飯塚駐屯地を現地のマリアナ地区に見立てて一部の部隊を展開させ、群本部の命令・指示に基づく橋梁構築、道路拡幅などの施設作業の訓練を行なった。また、国連旗の掲揚、現地に合わせた日課時限の設定、宿泊地警備、大統領の訪問を想定した接遇・警備要領、防疫作業、洗濯・給食の訓練などを行なった。あわせて、現地の各種交流行事で日本文化を披露するために、沖縄の盆踊り「エイサ−」をはじめ、武道、音楽演奏などの練習も行ない、現地で予想しうるすべての活動について、万全の態勢を整えることができた。
 派遣要員候補者一同は、10月の派遣に向け「世に生を得るはことを成すためにあり」との坂本龍馬の言葉を合言葉に、一致団結、派遣準備を整えている。

空挺普群3隊員に警察署長が褒賞
 第1空挺団普通科群第2中隊の田中宏3曹、篠宮好文3曹、遠藤幸一3曹の3名は8月4日、13時20分頃「みずほ銀行船橋支店」の窓口で手続きをしていたところ、そばにいた中年の女性が突然「お金を取られた!」と大声を出した。辺りを見渡すと、早足で店外に出ていく不審な男性を発見。すぐさま「泥棒だ!捕まえろ!」と叫びつつ3名で連携し、逃走する男性を追いかけ、店外の袋小路になっている場所まで追いつめ、男性の後ろから両腕ごと羽交い締めにし、現行犯逮捕した。
 犯人は外国人(国籍不明)であり、銀行員の通報で駆けつけた警察官に身柄を引き渡した。
 外国人の犯罪が増加する中、今回の現行犯逮捕がなければ更に犯罪を誘発させることが予想され、3名の行動は自衛官の、また、空挺隊員の模範。犯人を取り押さえた田中3曹は「とっさの出来事であったが、常日頃から即応態勢を心がけている成果が現われ、市民の安全に貢献でき嬉しい」と語った。
 船橋警察署長からは今回の3名に対し8月26日、船橋署で、感謝状が贈呈され、9月1日に行なわれた駐屯地朝礼ではその功績の概要の紹介があり、寺崎司令から3名に褒賞状が手渡された。

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