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   2003年2月1日号
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防大新図書館オープン
新たに入退館システムなど設置
利便性高まり学生等に大好評
 防衛大学校(西原正校長)では1月6日、新図書館がオープンした。
 これは、防大創立50周年記念事業の一環として完成したもので、旧図書館に比べて新たに▽入退館システム▽自動貸出返却装置▽AVホール▽閲覧個室▽グループ研究室などの器材、施設が備えられており、建物が近代的に大型化した分、閲覧席数や視聴覚機材、会議室、集密書庫も大幅に増加した。
 また、防大本館の後方に隣接しているため、利便性が高く、学生(本科・研究科)・教職員が効率よく移動することも可能であり、図書情報検索、AV装置等、IT化を取り入れており、旧館以上の利用が見込まれている。
 この新図書館は、防大としては3代目となるもので、面積は旧館の約3倍の広さがあり、1年間に蔵書が8千から1万冊増えていくと計算しても、今後約20年間に合計70万冊の図書を保管することができる。また、防大のホームページを通じて図書の紹介を行ったり、全国の国立大学図書館等と図書情報について交流もしている。
 新図書館オープンにあたって、西原校長は読書の重要性を挙げ、「若い時に、精神的、知的に自らを鍛えるためには、読書が最も大切なこと。読書は自らの思考を広げ、かつ深めるものであり、特に専門書、教養書、文学作品等の良書を読む習慣を身につけて欲しい」と語っている。また、戸部良一図書館長は「最近の学生はテレビやパソコンなどの影響を受け、活字離れが進んでいる。もっと図書館の書籍を利用して活字になじむよう」要望している。
 一方、利用者と直接意見交流し、実質的に図書館の業務を担っている西岡實樹事務長以下15名は、最新の建物と設備に対し、内部充実を目指し、「プロ意識」「創意工夫(一歩前進)」「立場の逆転的発想」などをモットーに、今後とも利用者に対するきめ細かいサービスと、蔵書の向上を常に心がけていくとしている。
 ※開館時間は午前8時30分から午後9時まで((月)〜(木))。金曜日は午後5時までで、定期試験期間前と期間中は、休館日((土)、(日)、祝祭日、月末の金曜日)を問わず、開館して、学生等に便宜を図っている。

空自第3補給処・熱海3空曹
警察署長等から感謝状受ける
―― 火災現場で人命救助 ――
 空自第3補給処(処長・小野田治空将補)に勤務する熱海孝(あたみ・たかし)3空曹(32)は1月10日、人論救助で宮城県石巻警察署長の島瀬勝治警視正から感謝状が贈られた。(=写真)
 これは、熱海3曹が、義理の祖父の葬儀に参列するため帰省していた同日未明、隣家から出火。就寝中だった熱海3曹は「火事だ!助けてくれ!」という隣家の奥さんの声に起こされ、現場に急行、倒れている4人をひとりで次々に救出したことに対して贈られたもので、救出活動中に熱海3曹自身も屋内に充満したガスを吸い込んだり、進入時にガラスを手足で割ったため右手や左足を負傷した。しかも、4人目を外に搬出した直後に、バックドラフト現象が起き、一気に家が燃え上がるという間一髪の救出劇だった。
 栄えある受賞式で熱海3曹は「無我夢中で4人を救出しましたが、全員助かって本当に良かった」と安堵の様子だった。また、同23日、熱海3曹に善行褒賞を授与した小野田処長は「その勇敢な行為は全自衛隊員の模範である。このようなすばらしい隊員を部下にもつことを指揮官として誇りに思う」と語っている。
 なお、熱海3曹は同28日にも、石巻地区の加賀見勝敏消防長から感謝状が贈られるなど、今回の人命救助に対して全地域をあげて感謝の意を表わしている。

12普連で新企画「トピック」を掲示
幅広い情報を提供
 第12普通科連隊(連隊長・川久保源映1佐)の第3中隊(中隊長・佐々木3佐)では、毎週、各ジャンルのニュース・特集等から話題をピックアップして「ザ・トピック」を作成・掲示し、隊員が幅広い教養・知識に触れるようにしている。
 これは、情報社会にあって「疎くなりがちな自衛官の実状」を踏まえ、仕事のみならず他分野にも見識がなければ発想や工夫は生まれてこないこと、また情報を知り得ないばかりに損をすることのないよう考慮して開始した。

自衛隊東京音楽まつり開催
応募締切は2月14目<東京地連>
 東京地方連絡部協力10団体主催による「自衛隊東京音楽まつり〜Music Fair 2003〜」を開催します。概要、申込要領は次のとおりです。
 <日時>3月1日(土)午後2時〜午後4時
 <場所>日比谷公会堂(東京都千代田区日比谷公園1の3)
 <出演部隊>陸自第1音楽隊、第1普通科連隊ラッパ隊、朝霞振武太鼓、ゲストバンド
 <申込要領>
 ◎代表者の住所・電話番号・氏名・年齢・性別・職業(学校名)・同行者の氏名・年齢・職業・住所を明記の上、「往復はがき」で左記宛てご応募下さい。抽選の上、無料でご招待します。〒162-0845東京都新宿区市ヶ谷本村町5-2自衛隊東京地方連絡部広報室ミュージックフェア「防衛ホーム」係宛
 ◎往復はがき1枚で2名様までご入場できます。
 ◎2月14日(金)必着
 ◎お問い合わせ ?03・3268・3111(内線48040・48042)
 ※陸自東京地連ホームページでも応募を受付けています
アドレス http://www4.ocn.ne.jp/~tokyoplo/index.html

<論陣>
大企業の経営危機だけを救うのか
デフレ退治は政策が一番
 「西武百貨店、そごうデパート再建のために主力銀行が二十二百億円の債権放棄、西武は川崎店など四店を閉鎖、千人のリストラ」のニュースが、連日、テレビ、ラジオで流れ、新聞で特集が組まれている。それを見るたびに「政府は大企業、大手金融機関だけを救済しようとしているのではないか」とつい思ってしまう。
 貸しはがし、貸し渋り。この言葉は中小企業や僅かなお金を借りている庶民だけに当てはまる"文字"だと思う。デフレ、不景気にあえぎながら、細々と商売をしたり、生活している弱者は、運日、金融機関からの取り立てに苦しんでいるのが実情である。何百万円の運転資金を借りている中小企業の経営者や念願のマイホームを建てた個人などに金融業者は「とに角、一旦、例え半額でも返済しなさい。そうすれば、上司と話し合って必ず同額を貸すように努力します」。ところが、この話は真っ赤なウソ。同じ金融機関に貸し出しを頼むと、担当の態度は、昨日とうって違って冷酷そのものに変わる。「わたしは必ずお貸しするとは言ってはいません。努力をすると言っただけです」。これが返事である。貧乏人にとっては世の無情を嘆く以外に道はない。
 一転、目を大企業に向けると甘い話だらけである。一広、経営幹部は「苦しい不況下、大いに経営努力はしています」といっているが、金融機関の幹部は、僅かばかり給与削減をしているところもあるが、ほとんどは高給をとり、形式的なリストラで世の風圧を避けている形である。
 会社経営が苦しくなると、金融機関、主力銀行に「債権を放棄してくれ」と泣き込む始末。一度に何千億円の借金を負けてもらい放題である。そう書くと、銀行はあっさりと貸し金をゼロにしているようだが、裏には"公的資金"の注入という魔術があることを当てにしている。
 いまの政府は銀行に対して「早急に不良債権を処理して、自己資金を充実させろ」と要求している。デフレの進行で、銀行が抱える不良債権の金額は増える一方、また、担保の不動産の含み資産の価値は値下がりが続いている。赤字は増えるばかりである。それに対して政府は「金融円滑のため金融機関に公的資金を注ぎ込んでやる」との方針を打ち出している。公的資金とは、われわれが納めている"血税"である。税金を「じぶん個人の金」のような顔をして、金融機関にどんどん注ぎ込まれてはたまったものではない。
 こんど西武と業務提携する「そごう」は、法的整理によって、すでに一兆五千億円の借金が棒引きになっている。西武と合わせると、なんと一兆七千三百億円もの債務免除を受けることになる。
 西武とそごうの再建計画には、新しく内閣府の産業再生機構が参画することになっている。設置関連法が成立すると「新型の救済策」が登場することになる。こうした動きを外から見ると、中小企業切り捨て、大企業保全としか思えないのは、わたしだけであろうか。
 数年前から国内でも大企業が倒産している。例えば「社員が悪いのではありません。すべて社長であるわたしの責任です」と債権者や株主、また、報道陣を前に泣きじゃくった山一証券、ホテル建設の支援として大金を貸し付けた北海道拓殖銀行などもいま考えると"潰してしまうより、助けてやった"ほうが地域や株主のためになったのではなかったか。かつて山一証券や北拓の将来を信じて株式を買って、いまではそれが「紙くず」同然になってしまった株主などは、その後の国がらみの救済劇を見ていると、泣くに泣けない心情であろう。
 大企業の経済危機を"みんな救え"というわけではない。例えば食肉加工で法律違反をした雪印、贈収賄事件がらみなどで大赤字に転落、倒産に追い込まれたゼネコンなどは言語道断、問答無用である。可哀相だという気持ちは湧かない。
 大不況はまだまだ続く。その上、リストラは、こんご増大するはずである。当局の担当者は「国民は多額の預貯金をもっている。それで消費を高めてくれれば景気は上向く」と語っているが、「明日はわが身。失業するかも知れない」と不安の日々を送っている庶民が必要以上の物を買うはずはない。要は政治と政策の問題であろう。

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