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スペーサー
自衛隊ニュース   1095号 (2023年3月15日発行)
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自衛官にとっての「人生100年時代」(19)
幸福な「人生の後半」を全うしよう!

シリーズを終了するにあたり
 「『人生100年時代』を我が事として考えよう」との見出しで、「定年後も "長い" 人生は続く!」ことを強調して始まった本シリーズも今回で19回を数え、いよいよ最終回となった。

自衛官は益々忙しくなる

 昨年末、画期的な「戦略3文書」が策定された。それだけ国際環境や周辺情勢が緊迫している証拠でもあり、自衛隊に課せられた役割と国民の期待が増大し、自衛官は緊張感をもって隊務に従事することが求められるだろう。よって、現役の間に第2の人生に向けて諸準備することなどが益々難しくなってくる可能性もあるだろう。
 一方、少子高齢化が一層進展し、生産年齢層の減少から、70歳ぐらいまで働くことを前提に高齢者雇用のニーズは今後増大するだろう。しかし、そのことは、働く意欲と能力がある高齢者が年齢に関係なく(好条件の)仕事を得る「エイジフリー社会」が到来することを意味するのであって、脇目を振らずに自衛官一筋に生きてきた退職自衛官が希望通りの職を得て、安泰な「人生の後半」を送ることが保障されているというわけではないだろう。
 つまり、自衛官は、自衛官として職務を全うしつつ、退職後の "長い" 人生のために必要な準備をするという「二兎を追う」ことを余儀なくされ、益々忙しくなるに違いないのである。

「人生の後半」は "自走人生"

 第2・第3の人生に向けて、最小限「何をすればよいか」について、不十分ながらも本シリーズで紹介してきた。
 さて、「100年時代」の人生をマラソンに例えれば、定年退職は「折り返し点」を過ぎたあたりであろう。
 これまでの往路はコース設定や走り方などすべてを自衛隊が管理し、ただひたすら走ればよかったものが、これからの復路は、コースの設定も、走り方も、障害の排除までもすべて自分で計画して行動する "自走人生" を走らなければならないのである。
 当然ながら、人生のコース設定はひとり一人違うし、参考にするモデルさえ見つからない場合もあるだろう。その上、ライバルは転職を繰り返し、経験豊富な世の中の同世代だ。
 それでも、自分の「人生の後半」を思い描き、何らかの準備をする者は救われるだろう。逆に、準備を怠ったまま定年を迎え、世に放り出された場合に感じるカルチャーショックは想像以上に大きいものがあろう。50代後半は心と体が曲がり角に差しかかる年代でもあり、最悪、「定年(燃え尽き)症候群」に陥る場合もあるのだ。
 頑張ってこれを乗り超え、再就職期間を無事終えたとしても、60歳前半から中頃、再び「職探し」を余儀なくされる。今度は「自己開拓」しかなく、何も準備していなければ選択肢は益々狭くなることは必定なのである。

「最後の任務」が待っている

 国防に人生の半生を捧げた自衛官が退職後も "例外なく" 幸福な「人生の後半」を全うすることは、「最後の任務」であると考えてほしい。それは本人や家族のためだけではない。そのような姿が全国各地にロールモデルとして存在すれば、自衛官を目指す若者の募集の拡大に寄与することが期待でき、そのことが我が国の未来の安寧にも繋がると思うからである。
 繰り返すが、このような「最後の任務」を完遂できるかどうかは、現役時代からの心構えと準備にかかっている。
 自衛官にとっての「人生100年時代」は、単に "生き永らえれば良い" というものではないだろう。全自衛官が「人生の後半」、「最後の任務」を全うし、「幸福な一生だった」と振り返ることができるような人生を送ってほしいと切に願いつつ、本シリーズを終了する。 頑張れ、自衛官!
□ □ □
 長い間ご愛読ありがとうございました。本シリーズは、1回から16回までと19回は宗像久男、17回は山形克己、18回は楠本裕幸が担当しました。紙面をご提供頂いた「防衛ホーム」に改めて感謝申し上げます。「退職自衛官の再就職を応援する会」のホームページには逐次最新情報を掲載しています。当会の詳細と問い合わせ、本シリーズのバックナンバーはこちら
https://www.saishushoku-ouen.com/


曹友連合会第1級褒賞・JSS顕彰 授与式
 2月15日、「曹友連合会会第1級褒賞・JSS顕彰授与式」が陸上自衛隊曹友連合会(会長・吉永真准尉)主催で開催された。曹友連合会第1級褒賞は名誉会長・山根寿一陸幕副長から一人一人に手渡しされ、JSS顕彰は曹友連合会長・吉永真准尉から手渡された。
 これは曹友会活動に貢献した隊員に曹友連合会第1級褒賞を、各方面から選考された35歳以下の隊員にJSS顕彰が与えられるもの。JSSとは、ジャパン・サージェント・サリュートの略であり、曹友会員の参画意識を高揚させ、会員の育成と慰労のために毎年行っている。受賞者は次の通り。
 ▽第1級褒賞
 中村隆曹長(第10師団司令部付隊)早坂貴行曹長(自衛隊山形地方協力本部)高橋和正曹長(関西補給処)日高久朋准尉(国分駐屯地業務隊)
 ▽JSS顕彰
 【北方】飯島航3曹(第1地対艦ミサイル連隊)岩見なな3曹(第1電子隊)
 【東北方】和久石大輝3曹(第9高射特科大隊)及川誠斗3曹(東北補給処)阿部友哉3曹(東北方面後方支援隊)齊藤龍生3曹(第20普通科連隊)
 【東方】森田みき3曹(需品学校)牛丸蓮司2曹(東部方面航空隊)高木未央3曹(中央輸送隊)平島千義3曹(普通科教導連隊)
 【中方】南海星3曹(第7施設群)有村健一郎3曹(第3高射特科大隊)池崇志2曹(第304水際障害中隊)
 【西方】前田剛志3曹(第103施設器材隊)渡邉祐他3曹(第41普通科連隊)大城和秀3曹(第15後方支援隊)

航空自衛隊連合准曹会
発会30周年記念会
 2月25日、グランドヒル市ヶ谷に懐かしい顔が続々と集まってきた。これは「航空自衛隊連合准曹会発会30周年記念会」に出席するため、現職及び0Bが北は北海道、南は九州から集まってきたもの。コロナ禍により延期になっていたがやっと開催できたとあって、開会前から盛り上がりを見せていた。
 第7代連合准曹会会長の杉山氏の乾杯に始まり、来賓の曹友連合会の秋篠准陸尉・横須賀上級海曹会の関海曹長らからの祝辞、井筒空幕長からのビデオメッセージと続いた。中盤には、令和4年度連合准曹会顕彰表彰式も行われた。1級8名、2級8名、合計16名の受賞者のうち当日来ることのできた10名はは満面の笑みで写真撮影をしていた。
 上田順一連合准曹会会長は「これからも、諸先輩方が築き上げてこられた連合准曹会の歴史を重んじ、会員一同熱い想いをもって基本理念を達成すべく、皆様の期待を我々の力とし、一意専心の気持ちで活動に邁進していく」としている。

ノーサイド
北原巖男
敢えて諌言申し上げます

 インド。
 グローバル・サウスの代弁者・擁護者を自負するモディ首相率いる第三極の大国。本年G20議長国を務めています。
 アジアやアフリカ・中南米等の南半球を中心とする多くの途上国、いわゆるグローバル・サウスは、ロシアのウクライナ侵略に対する国連総会での非難決議等において棄権票を投ずるなど、中立的な姿勢を取っています。
 我が国は、同じアジアの国として、アジアを代表する国連安保理非常任理事国として、更に2か月後の5月19日〜21日には広島サミットを主催するG7議長国として、インドとの緊密な連携・信頼関係を最大限重視した外交活動を展開しなければならないことは論を待ちません。
 インドは、1月12〜13日に「グローバル・サウスの声サミット」をオンライン形式で主催。何と125か国もの国々が参加したのです。そこで、モディ首相は「我々の時代が来つつある。新しい世界秩序を築こうではないか」と訴えたと報じられています。(3月2日付け、読売新聞)
 岸田首相は、1月23日の施政方針演説でグローバル・サウスに対する関与を強化して行く旨表明。1月31日の衆議院予算委員会でも、日本外交を進めるうえで、いかにグローバル・サウス、中間国を仲間に引き入れるかがポイントになる旨強調しています。更に、ロシアのウクライナ侵略から1年となる2月24日のG7首脳によるテレビ会議でも、グローバル・サウスへの関与や支援の重要性を訴えて来ました。
 しかるに、3月1日〜2日にインドで開催されたG20外相会合に対する我が国の対応は信じ難いもの、そのように僕は思いました。
 「G20外相会合については、林外務大臣が出席する可能性を追求しましたが、同会合や国会を含む国内での公務の日程、内容等を総合的に勘案し、最終的に政府外務省として山田賢司外務副大臣とすることが適切であると判断を致しました…」(3月2日 参議院予算委員会における岸田首相の音喜多 駿委員(日本維新の会)に対する答弁)
 G20メンバー国であるロシアのウクライナ侵略は、1年を迎えて益々混迷の度合いを深めており、全く予断を許しません。
 前日の2月23日、国連総会緊急特別会合は、日本はじめ141か国の賛成を得てロシア軍の撤退や戦争犯罪の調査・訴追、ウクライナの包括的・公正かつ永続的な平和の実現を求める決議を採択しました。ロシアやベラルーシ、シリア、北朝鮮など7か国は反対。
 棄権票を投じたのは32か国。その中には、G20議長国インドが含まれています。同じくG20のメンバーである中国・南アフリカも棄権。ASEAN諸国の中ではベトナム・ラオス。更にパキスタン・スリランカ・バングラデッシュなどのアジア諸国やアフリカ・中南米諸国も棄権しています。
 こうした中で、インドで開催されたのが今回のG20外相会合なのです。米国は外交トップのブリンケン国務長官、ロシアも同じくラブロフ外相、中国は就任以来初めての秦剛外相等を送り込みました。会合ではロシアのウクライナ侵略を巡り激しいやり取りが展開されたとのこと。各国の対立は一段と鮮明化、「共同声明」の発出は見送りになりました。
 米国・ロシア・中国を始めこのG20外相会合に参加した各国外相たちは、全体会議の合間を外交活動の絶好の機会と捉え、それぞれに活発な2国間会談を展開しています。
 あろうことか、全体会合や2国間会談の場に我が国外交トップ林外相の姿はありません。これまで全閣僚出席が慣例となっている参議院予算委員会の「基本的質疑」への出席を優先し、G20外相会合に派遣されたのは山田外務副大臣。
 「G7議長国としての立場を含め、我が国の主張は、山田外務副大臣からしっかりと発信しました。」 これは、G20外相会議が終了した翌日の3月3日、日米豪印外相会合等に出席した林外相がニューデリーで行った記者会見(外務省HP)ですが…。なお、G20外相会合期間中、山田外務副大臣が行った2国間会談は、3月2日のモーリシャス外相。(外務省HP)
 ウクライナを巡る各国の厳しく複雑な対立構造の中で、今ほど我が国の断固とした覚悟と責任感に裏打ちされたリーダーシップが、目に見える形で求められるときはありません。
 そうした観点から、僕には今回の判断を適切とはどうしても思えないのです。与野党・国会サイドに対して、政府外務省がどのように林外務大臣が出席する可能性を追求したかは、全く分かりません。しかし、与野党・国会サイドの理解・了解を得ることは出来た国益に係わる重要国際会議だったと思います。
 ちなみに僕が日本経済新聞の大きな記事の見出し「林外相、G20欠席検討」「自民、予算審議優先を要請」「日本の外交力低下の恐れ」を見たのは2月25日の朝。直ちには信じ難い報道内容に驚きましたが、それからでもG20出席のためインドに向けて出発するギリギリの2月28日までには、追求・調整の時間は十分にあったと言わざるを得ません。
 岸田首相は、前掲施政方針演説で高らかに打ち上げています。
 「G7議長国として達成した成果を、インドが議長国を務めるG20に引き継ぎ、友好協力五十周年を迎えるASEANとの特別首脳会議に繋げ、アジアから世界に発信していきます。」
 この拙稿を書いているとき、岸田首相がモディ首相と会談するため、3月19日〜21日にインドを訪問することで調整している旨の報道がなされています。
 時を失しない、したたかな日本外交の展開に心から力いっぱいの声援を送ります。

北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事


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