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自衛隊ニュース   999号 (2019年3月15日発行)
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ベトナム人民軍総参謀長
河野統幕長が公式招待
 3月4日、河野克俊統合幕僚長は、ベトナム社会主義共和国人民軍総参謀長のファン・ヴァン・ザン陸軍上将を公式招待し、防衛省で懇談を行った。
 河野統幕長は両国の防衛協力・交流が進展していることを歓迎。「今後も様々な分野で、自衛隊とベトナム軍の交流を深めていきたい」と述べた。ザン総参謀長は「自衛隊の教育機関で教育を受けた自国の人材が、帰国後に良い働きをしている。今後も各階層での交流を深めていきたい」と両国の防衛交流に期待感を示した。
 日本とベトナムは、国交樹立45年を迎えた昨年5月に両国大臣が「日ベトナム共同ビジョン」に署名、9月には「くろしお」が海自の潜水艦としては初めてベトナムを訪問した一方、同月にベトナム海軍艦艇が初めて日本を訪問する等、近年交流が進んでいる。また、ベトナム軍に対する能力構築支援事業が様々な分野で実施されている。
 3月6日〜9日の間、一般幹部候補生課程の卒業生が外洋練習航海の一環としてベトナム・ダナンに寄港し、交流行事や両国の音楽隊による合同の演奏会が実施された。

第9師団冬季集中八甲田演習
生存限界超える地域、任務完遂目指す

 第9師団(師団長・岩村公史陸将=青森)は、1月23日から2月22日までの間、「第9師団冬季集中八甲田演習」を実施した。
 本集中演習は、「青森第5普通科連隊八甲田演習」をはじめとして「弘前第9偵察隊・第39普通科連隊八甲田機動訓練」、「師団機能別訓練(施設)」及び八甲田地域の生地において師団が26年ぶりに統裁する「平成30年度冬季訓練検閲」の4つの訓練から構成され、積雪寒冷地における任務遂行能力の向上を図った。

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幸畑陸軍墓地参拝

 演習に先立ち、1月22日、青森市の幸畑陸軍墓地において、参拝行事を実施し、第9師団長及び師団最先任上級曹長が陪列する中、第5普通科連隊(青森市)、第39普通科連隊(弘前市)及び第9偵察隊(弘前市)の隊員約240名が参加して、八甲田雪中行軍で遭難した旧陸軍歩兵第5聯隊軍人のほか、日中、日露戦争及び大東亜戦争までの殉国の英霊をたたえるとともに、演習間の安全を祈願した。

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(1)青森第5普通科連隊 八甲田演習

 第5普通科連隊(連隊長・古賀博彦1陸佐=青森)は、八甲田地域において、「青森第5普通科連隊八甲田演習」を実施した。本演習は、「平成30年度冬季訓練検閲」を見据えた、自隊計画による2回の練成訓練により構成され、第1回練成訓練は、1月23日から24日の間、スキー行進及び宿営を主体とした訓練を、第2回練成訓練は、2月13日から14日の間、偵察及びスキー行進を主体とした訓練を実施して、積雪寒冷地における部隊の基本的行動の練度向上を図り、冬季訓練検閲に向けた準備を完整させた。

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(2)弘前八甲田雪中機動訓練

 続いて、第39普通科連隊(連隊長・木原邦洋1陸佐=弘前)及び第9偵察隊(隊長・池田2陸佐=弘前)が、1月29日から2月5日までの間、十和田、新郷、八甲田において、「弘前八甲田雪中機動訓練」を実施した。訓練は、各部隊から選抜された隊員が参加し、八甲田雪中行軍に成功した旧陸軍歩兵第31聯隊と同一ルートを車両及びスキーにより機動して、総距離約220kmの行程を踏破して、積雪寒冷地部隊としての冬季山地踏破技術及び能力の向上を図った。

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(3)師団機能別訓練(施設)

 第9師団は、2月12日から15日までの間、青森駐屯地において「平成30年度師団機能別訓練(施設)」を実施した。担任部隊である第9施設大隊(大隊長・三輪2陸佐=八戸)のもと、師団隷下12個部隊が参加し、積雪寒冷地における作戦・生存能力向上の一つとして、宿営施設(イグルー)を構築した。訓練は、全般教育、構築要領等の展示・説明に引き続き、部隊毎にスノーソー等の工具を使用してイグルーを構築、その後、イグルー内の宿営空間及び内外での温度差等を研修して、訓練で得られたノウハウ等を共有し、良好な成果のもと、本訓練は終了した。

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(4)平成30年度第5普通科連隊 冬季訓練検閲

 最後に、本演習の集大成として実施した「平成30年度第5普通科連隊冬季訓練検閲」は、2月15日から22日までの間、旧陸軍歩兵第5聯隊が雪中行軍を行った先人の遺訓残る生地において26年ぶりに実施し、指揮幕僚活動、冬季戦技に関する練度管理、作戦行動及び射撃を検閲課目として、「有事に臨む物心両面の準備」、「指揮官企図の徹底」、「冬季戦技・射撃」の練度に関し、有事に行動できる部隊かどうかを評価し、その進歩向上を促した。
 本訓練検閲は、2月15日、作戦準備の段階から状況が開始され、八甲田地域の大中台において敵の後方連絡線遮断のための伏撃の態勢を確立するまでの一連の状況下で実施された。作戦準備は、隊容検査、スキー装着状態での射撃訓練、各級指揮官による精神教育及び心情把握等を実施し、作戦準備を完整させた。2月20日未明、作戦準備に引き続き、5連隊は、青森駐屯地から車両及びスキー機動により深沢地区まで前進後、迅速に雪濠を構築、警戒しつつ宿営した。
 翌21日早朝、深沢地区からスキー機動を再開し、約8時間をかけて、前進目標を占領後、敵の後方連絡線遮断のため、連隊主力をもって、積雪寒冷地の特性を活かした伏撃の態勢を確立し、作戦準備から7日間にわたる第一状況を終了した。
 翌日、2月22日、丸山基本射場において、任意で抽出された約90名の隊員を対象とし、スキー装着状態での応用射撃を実施した。各射手は、初弾必中を期し、日頃の練成の成果を遺憾なく発揮し、訓練検閲の全状況を終了した。

 今後、第9師団は、「冬季の生存限界を超える地域、つまり、敵の行動する事の出来ない地域で生存し、機動の自由を発揮して、敵の予測できない時期・場所・要領でこれを撃破し、任務を完遂する」という師団の目指す冬季作戦の理念を具現するため、日々練成に励んでいく。
(2面記事)


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