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自衛隊ニュース   1014号 (2019年11月1日発行)
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令和元年台風19号に係る災害派遣
人命救助活動、生活支援継続中

(10月23日現在)
 令和元年台風19号が10月12日から13日にかけて関東、東北地方を襲った。災害派遣要請を12日20時30分に宮城県知事が陸自第2施設団に対して行われたのを皮切りに、栃木県・静岡県・長野県・東京都・福島県・茨城県・岩手県などの知事から各地の自衛隊に災害派遣要請が行われた。要請を受け、人命救助・災害孤立世帯救助のための資材輸送・避難誘導に係る人員輸送・水防活動・行方不明者捜索救助などを行うと同時に18都県に連絡員も派遣した。
 10月23日現在、人命救助活動等に延べ約2040名・給水支援延べ約6740t・給食支援約1万2500食・入浴支援約2万8300名・災害廃棄物など54カ所約5620t・防疫支援延べ約17万3900平方メートル・物資輸送約60t・家屋応急処置延べ約970軒などの支援を行なった。
【写真】大場剛第4師団副師団長を指揮官とした西部方面隊と東部方面隊は、長野市にて給食支援・災害廃棄物等撤去・防疫・入浴支援などを行なっている。

カレ国連活動支援局長が来省
支援の拡充を協議 衛生学校、中央病院の視察も
 10月17日、来日中の国連活動支援局のアトゥール・カレ局長が防衛省と、陸上自衛隊衛生学校や自衛隊中央病院が所在する三宿地区を訪問した。
 国連活動支援局には、現在日本が国連三角パートナーシップ・プロジェクト(TPP)の枠組みの中で参加する、国連PKO支援部隊早期展開プロジェクト(RDEC)を掌握する「特別活動部」がある。
 平成29年、カレ局長から国連日本政府代表部へ施設分野に加え医療分野への支援拡充の依頼があり、これを受けて自衛隊は今年10月より、陸自衛生学校の医官2名を教官としてウガンダに派遣。医療分野における訓練をスタートさせている(前号参照)。
【自衛隊のRDECへの取組みを評価】
 カレ局長はインド出身。2002年から2004年に主に陸上自衛隊の施設部隊が「国際平和協力法」に基づく国際平和協力活動として参加した国連東ティモール支援団(UNMISET)において、2004年から2005年に副特別代表を、2006年から2009年には国連東ティモール統合ミッション(UNMIT)の特別代表を務めた。今年度に自衛隊がケニアで行ったRDECでは現地を視察している。また親日家としても知られ、5回の訪日歴があり、2016年には工兵部隊を教育する陸自施設学校(勝田)を訪れている。現状、PKOに対して先進国が積極的ではない一方、参加国の練度が低いことが原因でPKOの現場で年間100名以上の死傷者が出ている。そのためこの問題点を解消することに「教育」という観点から貢献している自衛隊のRDECへの参加を、カレ局長は高く評価する。
【遠隔医療など自衛隊の支援のさらなる拡充に期待】
 午前中カレ局長は防衛省で、11月からベトナムで活動するRDEC教官団(2面に関連記事)を激励した後、河野太郎防衛大臣と懇談を行った。懇談後のインタビューでカレ局長は、河野大臣にTPPの貢献に対する謝意を伝えた事と、遠隔地でもインターネット回線等を通じて診療が行える「遠隔医療」について協議したことを明かし、「専門医による火傷や神経の治療、その他専門的な分野において医療の支援を頂きたい」と支援の拡充を求めた。さらに「遠隔医療は、10ヵ月以内にTPPの枠組みの中で始めたい」との意向を示した。また、これまでのPKOにおける自衛隊の活動について「プロフェッショナリズムがあり、高い能力と規律を持ち合わせている」と絶賛した。
【三宿地区で自衛隊の医療に係る取組みを視察】
 午後には三宿地区の陸上自衛隊衛生学校と自衛隊中央病院を訪れた。衛生学校では救急救命訓練を視察し、救護所内や屋内のシミュレーションラボ等で第一線救急医療の状況を確認した。中央病院では都内有数の大型ヘリポート、感染症病室、救急除染室等を視察した。中央病院に国連の局長級が訪れるのは初めてのことだという。

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