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自衛隊ニュース   951号 (2017年3月15日発行)
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平成28年度航空保安管制競技会を実施
〈空自・航空保安管制群〉

 2月14日〜16日の間、航空保安管制群(群司令・太田久雄1空佐=府中)は、航空自衛隊小牧基地で、第5術科学校の飛行場管制実習装置(タワー・シミュレーター)を利用した「平成28年度航空保安管制競技会」を実施した。本競技会は全国の航空自衛隊の航空保安管制業務を実施する部隊が一堂に会し、日頃の業務に関連する訓練の成果を年に一度評価するもの。昭和46年に第1回が開催され32回目となる今年度は、航空支援集団司令官・小城真一空将の視察を受け、オブザーバーとして陸上自衛隊中央管制気象隊長・鈴木力1陸佐、海上自衛隊航空管制隊司令・竹山好文1海佐が参加した。
 航空自衛隊が実施する航空交通管制業務には、「飛行場管制」「着陸誘導管制」「ターミナルレーダー管制・進入管制」があり、競技会では毎年異なった業務を評価している。今年度は管制塔において、飛行場に離着陸する航空機、管制圏及び飛行場周辺等を飛行する航空機の管制を行う「飛行場管制業務」について、航空管制官やパイロットが審査員として評価した。
 全国の基地から参加したのは15チーム。1チームは4名で構成されており、それぞれに役割を持つ。飛行場管制業務に関する全般の責任者である「運用主任席」、飛行場に離着陸する航空機を目視で確認し、航空機へ必要な指示を発出して航空機同士に安全な管制間隔を設定する「飛行場管制席」、駐機場や誘導路を走行する航空機同士や車両等に無線で指示を発出し、安全な間隔を設定する「地上管制席」、関係する管制機関や他の部隊と電話等により連絡や調整を行う「副管制席」。この4名に対し、架空の官民共用飛行場を舞台に、通常の離着陸機が飛行する中、様々な不測事態が発生する状況が付与され、安全性や正確性を確保した上で、適切に優先順位をつけて対応できるかが審査された。安全な管制間隔の保持、適切な管制用語の使用が重要であり、また運用主任を中心に、4名が補完しながら対応するチームワークが要となる。
 競技会のシナリオは約3ヶ月前から作成。かつてシナリオ作成の主幕僚として関わった事がある太田群司令は「20分間という短時間で、こんなには多くの事象は起きないという状況でも、いかに冷静沈着かつ適宜適切に対処していくか。通常冷静な判断をもっていれば、しっかり対応できるだろう、というものを作っていた」と振り返った。
 今年度は、基礎的な技能習熟度を見るため、選手は基本的に技能証明資格取得後5年未満の隊員であり、運用主任は部隊で最年少の管制幹部が選出された(選手全体の平均年齢は30・2歳)。会場は緊張感で溢れており、部隊の代表という責任の重圧からか、選手達の中には表情が強張っている者もいたが、いざ競技が始まると、それぞれが数ヵ月間の強化訓練の成果をいかんなく発揮していった。
 わずか20分間にVIP等の優先機の着陸、スクランブル発進、緊急機の着陸、車両の滑走路への誤進入等様々な状況が矢継ぎ早に付与され、目まぐるしく状況が展開していった。前方モニターには、航空機が次から次へと現れる。5術校の教官が担当する、会場後方の航空機操作卓との無線によるやりとりも頻繁になり、管制席は時間とともに慌しさを増していった。そのような中で、競技者達は、運用主任の冷静な判断による指導、管制官同士の相互補完によって、非常に複雑な状況に対処していった。その姿を目の当たりにすると、彼らの弛まぬ努力で「空の安全」が守られているのだと実感することができた。本競技会を通して、自身の技量をあらためて知り、士気や団結の向上を図る事ができた隊員たちは、部隊に戻り更なる活躍が期待される。
 太田群司令は閉会式で表彰チーム及び個人を讃えるとともに、審査結果が僅差であったことから、参加した全管制官に対し「胸を張って帰ってもらいたい」と述べた。そして「航空保安管制というのは、本当にやりがいのある仕事であり、ぜひこの管制という仕事、組織に誇りと自信を持ち、そして我々は航空保安管制のプロであるという自覚をしっかり心に刻み、今後とも日々奮闘、努力することを大いに期待する」と訓示した。
【競技結果は次のとおり】
 優勝▽三沢管制隊、準優勝▽芦屋管制隊、3位▽小松管制隊
〈個人の部〉
 運用主任席▽古賀庸修1空尉(小牧)、飛行場管制席▽林宏3空曹(三沢)、副管制席▽池田哲也2空曹(芦屋)、地上管制席▽工藤美郷3空曹(三沢)


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