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スペーサー
自衛隊ニュース   1108号 (2023年10月1日発行)
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読史随感
神田淳
<第134回>

「姿色端麗 進止軌制」ーーー推古天皇

 第33代推古天皇(554-628)は、日本史上初の女性天皇である。飛鳥時代を代表する天皇の一人であった。推古天皇が即位した593年から、奈良時代の始まる710年までの約百年間を飛鳥時代と呼ぶ。
 飛鳥時代は古代国家日本の文明開化が進み、興隆した時代だった。仏教伝来に伴う新文化が成立し、豪族の連合体だった国家(大和政権)の中央政権化が進んだ。大陸に出現した強大な統一国家、隋・唐の律令制度に学び、律令制国家の建設が進んだ。朝鮮半島との関係も深く、国際色豊かな文化が成立した。
 推古天皇の時代(推古朝593-628年)の人物として聖徳太子が名高い。聖徳太子は推古朝の摂政として多くのことを成した。まず「冠位十二階」を定め、氏族でなく個人の能力による官吏登用の道を開いた。604年、和を尊重する国の基本法として「十七条憲法」を定めた。607年遣隋使を派遣し、大国隋(後に唐)との対等な国交を開いた。太子はまた仏教を深く理解し、国家として仏教を振興した。
 推古朝で政権の中枢にあったのは、推古天皇、摂政の聖徳太子、そして大臣(おおおみ)蘇我馬子の三人であるが、国政は主として蘇我馬子と聖徳太子に依ったという見方が根強い。中でも大臣蘇我馬子は実質最高権力者であり、自分の姪を天皇に立て、思うままの政治を行った、と。しかし、近年歴史学では推古朝の政治に推古天皇の行ったことをもっと重視し、評価する見方が強まっているように思われる。
 歴史書を読むと、推古天皇がこの時代非常に存在感のある女性だったことがわかる。推古は漢風の諡号で、和風諡号を豊御食炊屋姫(とよみけのかしきやひめ)という(以降、炊屋姫(かしきやひめ)と記す)。炊屋姫は第29代欽明天皇を父とし、蘇我氏の堅塩媛(きたしひめ、蘇我馬子の姉)を母として生まれた。18歳で第30代敏達天皇の妃となり、2男5女を儲けた。585年敏達天皇が没し、用明天皇、続いて崇峻天皇が即位したが、政権は安定しなかった。用明天皇は病弱で在位2年で死去、崇峻天皇は蘇我馬子と決定的に対立し、馬子に殺されてしまった。こうした皇室の危機にあって、群臣はこぞって炊屋姫が天皇として立つことを望んだ。即位した推古天皇は75歳で没するまでの36年間安定した長期政権を実現し、飛鳥時代の政治・文化の隆盛をもたらした。
 女性であっても群臣が炊屋姫を天皇として推戴しようとした大きな理由は、炊屋姫が聡明であり、非常に優れた政治的判断力をもつ女性であることを皆よく知っていたからである。
 聖徳太子の文化、外交における成果も、推古天皇の治世の良さに帰せられるものが多いのではなかろうか。宗教戦争のない社会も、推古天皇の治世で実現している。推古天皇は594年「仏法興隆の詔」を出し、国家の方針として仏教を受容することを宣言した。一方、推古天皇は607年「敬神の詔」を出し、先祖の信仰を継承し、伝統の神々を祀り続けることを誓い、神道を維持することを示した。以後日本は今日まで神道と仏教が平和に共存し、神仏習合する社会となっている。
 『日本書紀』に、推古天皇は「姿色端麗 進止軌制」と記されている。容姿端麗で、振舞が端正であった、という意味である。美しく聡明で、指導者にふさわしい人間力をもった女性の姿が浮かぶ。
(令和5年10月1日)

神田 淳(かんだすなお)
 元高知工科大学客員教授。
 著作に『すばらしい昔の日本人』(文芸社)、『持続可能文明の創造』(エネルギーフォーラム社)、『美しい日本の倫理』(https://utsukushii-nihon.themedia.jp/)などがある。


機略縦横(62)
第3師団最先任上級曹長 准陸尉 八木慎吾
失敗を安全に教える
 入隊してまもなく30年が経過しようとしています。この間、様々な教育訓練を受けてきました。その多くは、正しい知識・技術・行動等を教わり実施するという、言わば原案主義的なものであると感じています。もちろん、この要領に問題があるとか、間違っているとか、そういうことではありません。
 隊員にとっての原案や指導案とは、何か行動を起こす際、または任務を遂行するうえでの、一つの基準となり得るものだと思います。しかし、時として弊害ともなりえると考えます。
 部隊の現況把握において、現場の隊員と接している中で強く感じていることがあります。それは、自分も含め、隊員の多くが、これまでの教育や訓練等で教わった原案や指導案に捕らわれ過ぎてしまい、視野が狭くなり、可能性や柔軟性のある行動が取れなくなっているということです。そして、このことは、自ら考えて行動できない要因の一つだと言えます。
 自ら考えて行動できる自律的な隊員を育成していくうえで、原案や指導案を教え実行させる、これまでのような教育訓練だけではなく、「これだけは絶対にやってはいけない」「これをやったら死に直結する」というような失敗を、多く経験させる教育訓練を実施することにより、自ら考えて行動する領域を広げることができると思います。
 有事における失敗は死に直結するものであり、自身はもちろん、仲間の命をも失ってしまいます。死に直結する失敗や行動を経験しておくこととで、死に至らない行動を選択できることに繋がります。
 まさに、それを安全に教えることができる場こそ、教育訓練の場ではないでしょうか。

初の市中パレード盛り上がる
<第17普通科連隊>
 第17普通科連隊(司令・山室知由1陸佐=山口)は8月6日、山口市道場門前アーケードにて市中パレードを行った。これは隊員の士気高揚と地域の方々との交流及び活性化を目的とするもので、さらに第17普通科連隊において市中パレードは初めての試みであった。
 行進はアーケード西口から出発し山口駐屯地音楽部、主力の第2中隊及び後期教育隊の順番で15時に開始され、音楽部の吹奏から行進が始まると、この日を待ち望んでいたかのようにカメラや携帯電話を持った人々で溢れ、アーケードは一気に盛り上がりを見せた。
 音楽部の華麗な吹奏、第2中隊による堂々とした行進、提灯を持ってユニークに行進をする後期教育隊と様々な姿を見せ、アーケードメイン中央に差し掛かると、パレードを見物に来た人々でさらに溢れかえっていた。
 約15分という短い時間ではあったが、地域の方々からの多数の応援を頂き、市民との交流が深められた。

第399施設中隊訓練検閲
<第12施設群>
 第12施設群(群長・山下拓路1陸佐=岩見沢)は8月22日から26日までの間、第399施設中隊(中隊長・松村2尉)に対し「第10即応機動連隊を直接支援する施設中隊の行動」について訓練検閲を実施した。
 検閲開始に当たり検閲官は(群長)「任務の完遂」「信頼の獲得」「安全管理の徹底」の3点を要望した。
 第399施設中隊は、昨年度から継続して第10即応機動連隊との協同訓練を実施しており、本検閲は積み重ねてきた練成訓練成果の集大成の場となった。中隊長は隊員に「勝つために考えよ」を要望し訓練検閲に臨んだ。
 2日〜17日までの作戦準備段階においては、射撃、法務・兵器識別(学科)、野外衛生を検して作戦準備状況を確認した。
 18日の隊容検査では、隊員の任務の理解度、12・7mm重機関銃の射撃動作、背のう入れ組品の点検、車両点検、装面動作(防護マスク)、除染等の各動作について練度の判定を実施した。
 22日の状況開始以降、中隊長は施設幕僚として、敵の防御要領の特性をよく分析し、特にドローンを活用して敵位置の早期発見に努め、迅速な火力発揮に寄与するとともに、LTE端末を施設斥候及び分隊長以上に携行させ、中隊長の目として運用する等新たな攻撃支援の形を創造して、第10即応機動連隊の要求に合致した施設支援により任務達成に大きく貢献した。
 第399施設中隊は、今後も戦闘基礎動作、新たなる攻撃支援要領の研究、諸職種部隊との協同連携能力を向上させ、いかなる任務も遂行し得るよう、日々錬磨して行く。

陸幕長、米陸軍参謀総長と会談
 9月22日、森下泰臣陸上幕僚長は、防衛省で米陸軍参謀総長のランディー・A・ジョージ陸軍大将と懇談を行った。ジョージ陸軍大将は直前に米上院の承認を受けて就任したばかりで初の国外訪問先が日本となった。メモリアルゾーンで献花を捧げたのち、儀仗広場で特別儀じようを受けて懇談へ。森下陸幕長がジョージ大将の就任に対し祝意を述べるとともに、両者は陸上自衛隊と米陸軍との相互運用性促進等で連携強化を図ること、日米同盟を基軸とした多国間による防衛協力を推進していくこと等で一致した。
 また同月11日にも防衛省で米海兵隊総司令官のエリック・M・スミス海兵隊大将(同月21日に米上院で承認)とも懇談を行った。スミス大将も初の国外訪問先に日本を選定。「この地域での抑止、我々の関係強化についていかなる尽力も尽くす所存だ」と述べ、今後の陸上自衛隊と米海兵隊のさらなる連携について意気込みを語った。

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