防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース              905号 (2015年4月15日発行)
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しらせ帰国 南極地域観測協力
2年連続で接岸に成功
 4月1日、175人を乗せた砕氷艦「しらせ」(艦長・日高孝次1海佐)が第56次南極地域観測協力を終え、母港横須賀基地に帰国した。雨が降る中、大勢の家族・友人・関係者が横須賀地方総監部逸見岸壁で出迎え、午前10時「しらせ」は無事に接岸した。「パパ、あそこにいる!」と艦上の父親を見つけ手を振る子供。舷梯が降りると家族たちは乗艦し、隊員と4カ月半振りの再会を果たした。
 艦内は「お帰り」「お疲れ様」と隊員を労う言葉とともに喜びの歓声で包まれた。「パパと公園で遊びたい」という3歳の女の子を膝の上に抱えた隊員は、「一緒にお風呂に入りたい」と久しぶりに会う我が子を愛おしそうに見つめながら話した。
 「しらせ」は昨年11月11日に東京・晴海埠頭を出港し、途中オーストラリアのフリーマントルに寄港、12月初旬に南緯55度の氷海に進入した。南極の状況はここ数年厳しさを増しており、分厚い海氷を突破するためのラミングという行動は往路で計3、187回と過去最多(往復でも5、406回と過去最多)を記録した。「しらせ」は、1月12日に2年連続となる昭和基地沖への接岸に成功し、燃料輸送や雪上車による大型物資の氷上輸送、ヘリコプターCH—101での空輸等を行い、1月24日に昭和基地への全量輸送を完遂した。帰路はフリーマントルで観測隊員を退艦させて4月1日無事に横須賀へと帰港した。総行動日数は142日、南極行動日数は87日、総航程は約18、000マイルに及んだ。
 甲板で行われた帰国行事では、統合幕僚長訓示(副長・山崎幸二陸将が代読)が「南極での厳しい環境を克服し任務を全うした得難い経験を事後も活かし、益々精励することを期待する」と訓示した。武居智久海上幕僚長は慰労の辞で「しらせの良き伝統を継承し如何なる条件下でも任務を完遂しうるようなお一層精強即応に努めてもらいたい」と期待を述べた。日高艦長には今次の南極観測協力の功績に対し2級賞状が授与された。

大量傷者受入訓練
〈自衛隊中央病院〉
 2月14日、瓜生田曜造病院長を統裁官として、病院職員等約530名が参加する平成26年度自衛隊中央病院大量傷者受入訓練が実施された。防衛医科大学校、東部方面総監部、衛生学校、第1ヘリコプター団、東部方面衛生隊、第1後支連衛生隊と連携した本訓練は、首都直下型地震における中央病院の災害対処能力の向上を図るとともに、首都直下地震対処計画及び業務継続計画(BCP)試行案の検証を目的としたもので、訓練前段は、発災直後の登庁から指揮所の開設、大量傷者受入準備、ライフライン点検、救出・救護活動、子供面倒見施設開設、臨時遺体安置所開設、病院救護班派遣準備態勢の検証を実施、後段訓練においては、大量傷者受入チームの行動、病棟看護業務、広域搬送患者への対応を演練した。
 本訓練は平成22年度から毎年実施されているが、特に今年度は、発災直後からの行動について、業務継続計画(BCP)試行案の検証を行うとともに当院ヘリポートを活用して発災直後の地域医療に最大限貢献するために広域医療搬送拠点(SCU)として運用する新たな取組みを試みるなど、業務継続計画(BCP)、大量傷者受入、広域搬送患者の対応についてリアリティある訓練を実施した。
 また、岩田清文陸上幕僚長、岡部俊哉統幕副長の訓練視察を受けるとともに、防衛医科大学校、統合幕僚監部、陸上幕僚監部、中央即応集団、東方管内各部隊等並びに災害医療拠点病院広尾病院長、世田谷区医師会等の医療関係者、在日米軍の医療関係者を含む、約140名の部内外関係者が研修し、首都直下地震対処における中央病院の対処要領について認識を共有するともに積極的な意見交換がなされた。
 自衛隊中央病院は、今後も大規模震災対処時の即応性の維持向上に邁進する。

警戒監視飛行1万時間達成
〈派遣海賊対処行動航空隊〉
 3月22日、ジブチ共和国を拠点としてソマリア沖アデン湾の警戒監視活動を行っている派遣海賊対処行動航空隊第18次要員(司令・菊地秀雄1海佐)が警戒監視飛行1万時間を達成した。
 平成21年6月に第1次要員が警戒監視任務を始めてから約5年9ヶ月での大台達成となった。当日、1万時間達成時はP—3C5048号(機長・尺田隆一2海佐、操縦士・横山智裕1海尉、以下15名)が警戒監視任務に当たっていた。
司令・菊地秀雄1海佐
 「約5年9ヶ月間に渡り、海賊対処に係る任務を粘り強く実施したことにより、ソマリア沖アデン湾における海賊事案発見件数は大幅に減少しました。この実績はこれまで派遣された隊員総員が整斉と日々の任務を完遂した結果であるとともに、多くの方々からのお力添えによるものです。引き続き、すべての船舶の安全運航に寄与するため、派遣海賊対処行動水上隊及び各国海軍等との連携を図り、隊員一丸となって任務を着実に遂行して参ります」
飛行隊長・尺田隆一2海佐
「事案発見件数減少が物語るようにこの活動は海賊に対して大きな抑止力になっています。我が国の国益に直結する海上交通の安全確保に貢献しつつ、地域の安定にも寄与しているという誇りを胸にこれからも飛行隊は一丸となって任務に邁進していきます」
非音響対潜員・星指宣英1海曹
「通算1万時間の警戒監視飛行に携わる事ができ、誇りに思います。これは飛行作業を支えてくれるすべての隊員及び、快く送り出してくれた家族のおかげだと思います。今後も船舶の安全飛行に寄与するため、気を緩めることなく安全第一で任務に臨んでいきます」

雪月花
 春爛漫。お酒で盛り上がるこの時に郡山市にお住まいのOBの読者からニュース提供をいただいた。郡山市議会が議員提出の地酒などによる乾杯を推進する「乾杯条例」を3月9日に可決したというものだ。日本酒や焼酎など酒類のほか地元産の果物、野菜を使ったジュースなどによる乾杯の習慣を広めることが目的で3月中に施行される見込み。地方再生には各自治体とも知恵をしぼっており、かなり前から始めているふるさと納税は予想以上の成果をあげているようだが柳の下に地産地消という2匹目のどじょうがいることを願いたい。お酒の関係団体に聞いてみると同じような条例は全国に23の自治体で制定されているそうだ。福島県の場合は震災復興の意味も含んでいるようだから是非成功してもらいたい。桜の時期になるといつも思い出すのが郡山市のとなりの三春町の滝桜、四方に枝を張ったただ一本のさくらが日本中から大勢の人を呼び集めている。10年前になろうかこれを眺めながら同業の友人たちと飲んだ地元のお酒、今でもあの味が舌の先に残っている。福島県の桜は5月中ごろまでが旬らしい、栄泉寺の樹齢400年の桜、中田町の紅枝垂ザクラ、郡山市の地蔵桜など桜の名所はいっぱいある。除染が進まず訪れる人がいない地区でも今年も桜は咲き競うことだろう…。

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