祝賀ムードに相応しい晴天と春の暖かさに恵まれた3月22日、防衛大学校(神奈川県横須賀市=國分良成学校長)記念講堂で本科第59期学生492人(うち女子47人、留学生20人)、理工学研究科前期・後期及び総合安全保障研究科前期・後期課程学生(総計80人)の卒業式が行われた。安倍晋三首相、中谷元防衛大臣をはじめ防衛省・自衛隊の主要幹部、防大OB(今年度は昭和47年3月卒業の16期生を招待)衆参国会議員、各国駐在武官、そして、卒業生の晴れ姿を見届けるべく全国各地から駆けつけた父兄多数が出席。加えて今年度は、同国初の防大卒業生となった東ティモールの留学生を祝うべく、クリストバウン・東ティモール国防大臣も来日した。
2011年4月7日、今年の本科卒業生が入学した日は東日本大震災発災から3週間が過ぎようとする頃で、全国の陸海空自衛隊員が人員、装備をギリギリまでフル回転させ懸命の災害派遣活動に臨んでいた。当時の五百籏頭眞学校長が万感胸に迫る様子で「入校生諸君、我々も後に続きます、後は我々にお任せ下さい、と胸を張って言える防大生に成長して下さい」とまだ幼さの残る十代の若者たちに切々と訓示していた光景を印象深く覚えている。
そして4年が過ぎ、少年少女たちは逞しく成長した。表情は凛々しく引き締まり、瞳を見れば誰もが輝いている。自らも身をもって防大教育を知る中谷防衛大臣は訓示の中で、卒業生が國分学校長から卒業証書を受け取る姿を間近に見て、「4年間、ひた向きに自分自身に向き合い、全力でその向上に取り組んできたこと。リーダーシップについて素晴らしいことを学び、身に付けたこと。国の安全保障を担いうる人物となって大きな自信を得たことを確信しました」と、感慨深げに目を細めていた。
本科第59期学生は奇しくも、卒業の春もまた、安全保障法制の整備に関する与党合意という4年前とは違う形で防衛省・自衛隊が世間の耳目を集める出来事とタイミングが重なった。安倍首相は訓示で彼らに「世界が、諸君に大いに期待しています。世界が、諸君の力を、頼みにしています。その誇りを胸に自衛隊には、より一層の役割を担ってもらいたい」と、力強い声で期待の言葉を寄せた。
防衛省・自衛隊が大きな注目を集めながら激しく動いた4年間。
自衛隊とは何か。
自衛官とは何か。
現在、そして将来、自分たちが身を置く組織が何を求められるのか。
第59期生ほど、そうした問いかけを自らに課した上で、それぞれ彼らなりの答えを導き出し、入学、卒業、任官に辿り着いた世代はいないだろう。今年度は例年とは異なり、卒業式終了後に卒業生が一度退場し、陸海空の制服に着替えた上で任命・宣誓式に臨んだ。大いなる決意と使命感を、陸海空の真新しい制服が包んでいた。
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