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自衛隊ニュース   2013年12月1日号
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つながる音、つながる心
POWER FOR PEACE 自衛隊音楽まつり
歌姫三宅3曹に大歓声
タイ王国陸軍が初参加
 (1面から続き)ゲストのタイ王国陸軍軍楽隊はASEAN40周年を記念して音楽まつり初登場。王室への崇敬が深いタイらしい『ザ・ロイヤルマーチ』や、タイの民族楽器の音色に合わせて、国技であるムエタイの演武を披露した。同じくゲストの米第3海兵機動展開部隊音楽隊は、朝の連続テレビ小説『あまちゃん』のテーマという変化球も。
 海上自衛隊東京音楽隊(隊長・河邊一彦2海佐)は2部構成。CDデビューで一躍注目を集めた自衛隊唯一のヴォーカリスト、三宅由佳莉3海曹の澄んだ歌声が響く独唱『海のおかあさん』で幕を開け、ドリル演奏『イージス2〜輝ける盾』では河邊隊長も力強く歌唱。お馴染みの行進曲『軍艦』を挟み、最後はAIGISの人文字で締め括った。
 第3章のテーマは「烈火」。陸海空で編成した音楽隊とゲスト(米第3海兵機動展開部隊音楽隊、タイ王国陸軍軍楽隊)の合奏による第1部と、全国の駐屯地・基地から集った自衛太鼓13個チームによる烈火の如き情熱が館内いっぱいに木霊した第2部で構成された。
 「平和への道」と題した1部では、『組曲 惑星』より『火星〜戦争の神』と『金星〜平和を運ぶもの』の2曲の間に『陸軍分列行進曲』、『海をゆく』、『空の精鋭』という陸海空を代表する3曲を挟みドリル演奏。陸海空の装備品を次々と人文字で描きつつ戦争と平和をドラマチックに表現する構成は統合3自衛隊を強く印象づけた。最後は平和を祈る気持ちを込めゆずの『Hey和』を陸海空で合唱した。
 「一糸乱れぬフォーメーション、規律のよさが伝わってきます。このような方々が、日々、守っておられる日本に生まれてよかった、と実感しました。あっと言う間、感動しました。岐阜から上京した母もおおいに喜んでおりました。本当にありがとうございました」(東京都葛飾区在住の新澤一哉さん)。
 フィナーレを含む第4章の「大空」には航空自衛隊航空中央音楽隊(隊長・水科克夫2空佐)が登場。小編成の『翼をください』の輪唱に続き、『ひこうき雲』などをドリル演奏。同曲は、戦前・戦中の日本の航空機技術者が主人公の話題のジブリ映画『風立ちぬ』の主題歌で、荒井由美の名曲。ロマンチックな選曲、女性自衛官の華麗な演技も相まって、心地よい爽快感や浮遊感に身を委ね、癒された聴衆も多かったはずだ。
 フィナーレでは、出演全部隊が登場し聴衆とともに東日本大震災復興ソング『花は咲く』を大合唱した。今回の音楽まつりでは、各公演の開演に先立ち、伊豆大島、フィリピンにおける台風被害で犠牲になった死者に対し黙祷が捧げられた。毎秋各地で行われる殉職自衛官の追悼式では、各音楽隊が鎮魂の調べを奏でる。東日本大震災では、被災地に赴いた音楽隊の慰問演奏が被災者を慰めた。音楽隊が持つ「力」を広く知らしめるのもまた、音楽まつりの重要な役割である。

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