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スペーサー
自衛隊ニュース   1102号 (2023年7月1日発行)
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ノーサイド
北原巖男
鎧帷子

 久しぶりにふるさと長野県伊那市高遠町の実家に帰りました。玄関の鍵を開け、まずはゼンマイ式柱時計のネジを巻いて生き返ってもらいます。
 標高1000mに加えて半日しか陽が当たらない生家なのですが、それでもこの時期、僕を出迎えるのは、家の周りや家のすぐ後ろの耕作放棄地の、見た瞬間その姿に士気を喪失しかねない旺盛な勢いで繁茂している様々な雑草たちと成長留まるところを知らないタケノコや若竹たちです。みんな我が物顔で、上から目線で僕を見ているように感じてしまいます。
 この時期の彼らとの格闘から逃げてしまうと、彼我の勢力比は決定的になり、手の付けようがなくなるのです。泣きたい思いをして打ちのめされたあのときの
恐怖がよみがえってきます。
 僕は、彼らへの挑戦に対する身震いに加え、熱中症もそうですが、熊や猿、過去に追いかけられて刺されパニックに陥ったスズメバチの襲来やマムシが突然出現して噛みつかれるのではないか、峠の下の診療所には血清は置いてなかった、どうすればいい、次から次へと浮かんで来る不安材料すべてが怖いのです。
 事態発生時、瞬時に役立つかどうかは全く分かりませんが、鎌と強力殺虫剤噴射器を携え、麦わら帽子にゴーグル、首には手拭いを巻き付け、厚手の作業衣に作業用手袋と長靴。腰ひもの付いたナタをしっかりと身に付けて、長い草刈り機を持っていざ出陣。完全武装です。
 「弱い人間ほど身構える」とはよく言ったものです。僕は完全に身構えています。
 現職時代、「僕もそうだなぁ…」と作家の三島由紀夫さんの言葉につぶやいていた自分が、当時とは全く関係もなくシチュエーションも全然異なる今、急に浮かんで来ました。
 「傷つきやすい人間ほど、複雑な鎧帷子(よろいかたびら)を身につけるものだ。そして往々、この鎧帷子が自分の肌を傷つけてしまう」
 なかなかエンジンがかからなかった頼りの綱である草刈り機をフル回転させ、汗だくになりながら僕なりに奮闘。見えない脅威に怯える取り越し苦労は、精神的に結構疲れます。
 ところで、防衛省・自衛隊は、その与えられた使命に鑑みるとき「組織は人」の典型的な社会であることは論を待ちません。そうした中、全国の各部隊や職場で頑張っている隊員の皆さんや本紙読者の皆さんの中にも、三島由紀夫さんの言葉に頷かれる方もおられるのではないでしょうか。
 僕自身、自分から鎧帷子を脱ぐことが容易な人間ではありません、でも、そんな自分で留まっていたのでは、相手に鎧帷子を脱いでもらうことなど、ほぼ不可能に近いのではないか…少しでも相手の気持ちを汲み取れる人になりたい…今からでも遅くない…。改めてそんなことを自分に言い聞かせる機会となりました。
 かつてない厳しい安全保障環境や大規模自然災害が頻発する中で、防衛省・自衛隊に寄せる国民の皆さんの信頼は確実に高まっています。
 しかし、大変残念なことは、そうした国民の皆さんを震撼させる大きな事故・事件が続いていることです。現在、原因の徹底的な調査が行われていますが、自衛隊員の皆さん、そのご家族の皆さんの悲しみや辛いお気持ちは、拝察して余りあるものがあります。
 目に見えない鎧帷子の存在を意識しながら、お互いに身構える必要のない、取り越し苦労の少ない、明るい人間関係・信頼関係で結ばれた防衛省・自衛隊。その更なる構築・推進、隊員の皆さんの笑顔が戻ることを心から願う今日この頃です。

北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事


第5旅団レンジャー養成集合教育
基礎訓練で最も過酷な10マイル走を完遂

 第6即応機動連隊(連隊長・河村友則1陸佐=美幌)は、6月12日、美幌駐屯地で、現在担任している令和5年度第5旅団レンジャー養成集合教育において、基礎訓練で最も過酷な体力調整3-3を実施した。本訓練は、体力向上運動及び10マイル走の体力評価を行い、レンジャー隊員として、行動訓練のための肉体的及び精神的基盤を確立させることを目的に実施した。
 訓練当日、天候は晴天の猛暑の中、レンジャー学生は懸垂、胴回し、腕立て伏せ等の体力向上運動を多くの応援者の前で実施した。その後の10マイル走では実施前に、レンジャー学生が「みんなで必ず乗り切るぞ!!不撓不屈の精神で諦めないぞ!」とお互いに気合を入れ、士気を高め合い、10マイル走に臨んだ。

不撓不屈の精神で一人残らず完遂

 10マイル走では、小銃を携行したまま高く掲げたレンジャー旗を先頭に、腹の底から声を全力で出し続けながら走り続けていった。実施間、体力の限界を感じてしまうレンジャー学生がいたが、遠方から各部隊がレンジャー学生を応援するため井川賢一第5旅団副旅団長をはじめ、部隊長、最先任上級曹長等が駆けつけ全力でレンジャー学生を激励した結果、激励に答えるかのように不撓不屈の精神で限界を乗り越えようと力を振り絞り学生全員が一人も遅れることなく無事10マイル走の任務を完遂した。

「初志貫徹忘れず」

 引き続き、10マイル走の視察で美幌駐屯地に来隊した井川副旅団長からレンジャー学生に対し訓示で「この教育参加にあたり、初志貫徹という言葉を忘れないでほしい。10マイル走が終了したからと全てが終わりではない。これからは行動訓練に移行するが、更なる困難や壁にぶつかると思うがレンジャー隊員なる!という覚悟をきめた以上最後まで諦めず、全ての任務を完遂し、レンジャー隊員になってくれ」と述べた。
 その後、各部隊との懇談の時間において、久しぶりの上司や同期との再会で「よく頑張った。強くなったな」との言葉とともに激励品を受け取ると、あまりの嬉しさに涙を流してしまうレンジャー学生もいた。
 引き続き、各部隊からの応援で士気を高めたレンジャー学生は様々な訓練に挑戦していく。


3施団「ICT化の定着・改善」

 第3施設団(団長・河口弘幸陸将補=南恵庭)は、5月8日から同年5月19日までの間、北海道大演習場(恵庭・千歳、島松各地区)、矢臼別演習場等において、「令和5年度北部方面隊演習場春季定期整備」を実施した。
 本整備の目的は、作戦運用の実効性向上に資するため、訓練基盤の充実を重視した演習場整備を実施し、北海道の道場化を推進することであり、各部隊は特有の施設技術を積極的に発揮し、担任する整備任務を着実に実施しつつ、作戦能力・従来施設技術能力向上の他、特にICT・新素材等先進的な技術の定着向上に力を入れ、与えられた任務を完遂した。

「プライドとこだわりを見せよ」

 整備隊長(団長)は、本整備が融雪後訓練最盛期を迎える準備として非常に重要な整備であることも踏まえ、特に実施する事項としてライフサイクルコストを考慮した「新素材を活用した施工」、迅速性をもって施設科の未来を切り開くための「ICT化の定着・改善」、意思決定の迅速化に寄与する「システムによる工程管理・指揮幕僚活動」等を挙げた。そして整備隊長要望事項として「施設科としてのプライドとこだわりを見せよ」「施設科としての未来を拓け」「安全管理の徹底」の3点を掲げた。

装輪車道約261km、装軌車道約104kmの路面成形等を実施

 北海道大演習場及び矢臼別演習場等において、装輪車道約261km、装軌車道約104kmの路面成形等に加え、ため枡浚渫及び埋戻し整備、RC道荒廃箇所整備、漕舟訓練場整備、テンサーを使用した機動路新設整備、D・BOXを使用した装軌車道路盤強化整備等の整備、機力支援として道内各地の演習場等における戦車射場拡張整備等、全ての整備任務を完遂した。特に、安全管理についてはKY(危険予知)活動を導入し、全隊員に作業内に潜む危険要因を抜け漏れなく列挙・認識させ、具体的な対策を確立・共有し安全を確保した。
 また、本整備間に恵庭市長の原田裕氏、北広島市長の上野正三氏、登別市長の小笠原春一氏等の演習場整備視察受けや南恵庭駐屯地モニターの訓練見学を実施して、第3施設団のICTにより先進化された施工を見学してもらった。見学者は広大な演習場に驚くとともに、最先端の技術を用いて演習場内を整備する姿に関心を持った様子であった。


「道場」を整備!
春季演習場整備
9師団「水堰の補修」等を技術指導
 第9師団(師団長・田尻祐介陸将)は、5月8日から5月17日までの間、岩手山演習場において春季演習場統一整備を実施した。
 本整備にあたり岩手山演習場整備隊(整備隊長・師団長)を編成して、師団隷下部隊、第4地対艦ミサイル連隊、第101高射特科隊及び第2施設団第10施設群第387施設中隊で構成される整備担任部隊に対し担任地域及び整備任務を付与し、各整備担任部隊は、それぞれ示された任務を達成した。
 また、本整備において各部隊の工程等管理及び施設作業に関する技術指導を目的とした第9施設大隊からなる施設技術指導班を編成し、各整備担任部隊の本部及び作業現場を巡回指導させた。施設技術指導班は、各整備担任部隊の工事管理を徹底させるとともに、本部における作業工程及び品質管理に留意させた。作業現場においては、特に降雨時の水の流れを読み、水流の勢いを弱め洗掘等の浸食を防ぐための「水堰の補修」及び演習場の機能維持・向上のためのチェンソーによる「伐木要領」を指導した。
 施設技術指導にあたった隊員は、「作業効率及び安全を意識した行動が重要です」と熱く語った。

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