7月15日、「久松五勇士会記念公園期成会創立110周年記念行事」の一環として沖縄県宮古島市・マティダ市民劇場で海自東京音楽隊記念演奏会が実施された。
「久松五勇士」とは明治38年5月24日、沖縄・宮古島の中間地点でロシアのバルチック艦隊を発見、宮古島から通信施設のある八重山の伊原間までの約120q海上を数mのサバニ(くり舟)を漕ぎ本土に打電した5人の漁師。5人の勇気ある行動は昭和2年の中等国語に記載、昭和9年にはラジオと新聞で全国に報道され、昭和10年には数々の表彰を受け5人の乗ったサバニは海軍省献納とともに広く世間の知るところとなった。
5人の偉業を称えて設立された「久松五勇士会」は80周年の昭和60年には当時の航跡を再現、85周年の平成2年には今回同様に東京音楽隊の演奏会を、100周年の平成17年には五勇士競漕等の事業を催してきた。
今回の110周年記念行事ではサバニを修復し航跡の再現を行い、最後の締め括りとして東京音楽隊による記念演奏が行われた。演奏会では下地敏彦宮古島市長、池田徳広佐世保地方総監、畠野俊一第5航空群司令が来賓として招かれ、約900名の来場者とともに演奏会を堪能した。オープニングでは第5航空群エイサー部(部長・五十嵐裕2海曹)による演舞が盛り上げた。続いて粟国恒弘期成会会長が「本事業は恒久の平和を基調に、先人の偉大な功績の再認識を行うとともに郷土の誇りとして子々孫々まで語り継ぐこと、また、ひたむきな精神と崇高な行動を青少年が受け継ぎ郷土の更なる発展に寄与して頂きたい」と挨拶した。
第1部では「日本海海戦紀念行進曲」、「海のさきもり」、「琉球幻想曲」、「祈り」、「群青」が演奏され、「琉球幻想曲」では沖縄県民謡「安里屋ユンタ」をモチーフにした太田紗和子2海曹によるピアノ独奏が幻想的な音色で観客を魅了していた。第2部では「宇宙戦艦ヤマト」、「上を向いて歩こう」、「涙そうそう」などヒット曲が演奏された。中でも「涙そうそう」は海自の歌姫・三宅由佳莉3海曹の美しい歌声が会場に響き渡り盛り上がりは最高潮となった。アンコールでは「唐船ドーイ」、「軍艦マーチ」の2曲を演奏し、会場は割れんばかりの拍手の中、惜しまれつつその幕を閉じた。なお、東京音楽隊先任伍長・佐々木太海曹長、宮越総己海曹長、牟田春雄1海曹の3名が25年前の演奏会でも演奏していたのはとても感慨深いものであった。
(この面、各部隊長名等は実施当時) |