防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   2009年6月1日号
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体校選手、大活躍!!
高桑2海曹、日本新連発
(水泳)
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 4月16日から19日までの4日間、静岡県古橋廣之進記念浜松市水泳競技場で開催された第85回日本選手権水泳競技大会において、自衛隊体育学校から10人の隊員が参加し、大旋風を巻き起こした。
 特に今年4月1日から海上自衛官になった高桑健2海曹が、静岡県が高桑選手の地元ということもあり、大歓声に後押しされ、400メートル個人メドレーで日本記録を2秒縮める4分12秒41の驚異的なタイムで優勝、そして北京五輪で日本新記録を連発した200メートル個人メドレーでも自分自身が持つ日本記録を約1秒縮める2分57秒24で優勝し、個人メドレー種目2冠完全制覇を達成した。
 また、4月に入校したばかりの川内勇輝2海曹も日本一の水泳スプリンターを決める50メートル自由形で第2位22秒56と健闘した。体育学校チームの2人の活躍は、まさに海上自衛隊の新兵器のお披露目であり、新たなウェーブを日本水泳界におこしたと言えるだろう。
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 400メートル個人メドレー予選、第2組で泳いだ高桑2海曹が日本記録を2秒縮める4分12秒56を記録した。高桑のメーンは北京五輪で5位入賞・日本新記録を刻んだ200メートル
メートル個人メドレーであり、400メートルでは次の日の200メートル、個人メドレーの調整のつもりで出場したが、序盤から好調な泳ぎで他を圧倒、驚異的な記録を樹立した。
 予選後、本人は明日のことを考えると決勝に出るべきか否かで悩んだが、日本新記録を達成した選手が決勝を欠場なんて許されない、明日に繋がると思って出ろとコーチに諭され、決勝に出場。
 決勝では翌日へ疲労を残さないように当初は押さえ気味だったが、背泳ぎでトップをとると、他の選手に抜かれるのは嫌だとばかりに、スパートをかけ、終わってみれば、予選を0秒15上回る4分12秒41の日本新記録で圧勝、世界選手権代表に内定した。一日に2回も驚異的なタイムで日本新記録を連発。ただ者ではないことをアピールした。高桑のベストは23秒台だが、五輪後行った泳ぎ込みと筋力強化により、体つきを一変させたパワーアップが功を奏した。
 前日の疲れと地元開催というプレッシャーのため高桑選手は朝から極度の緊張状態にあった。しかし、予選では思った以上に楽に泳げ、400メートル個人メドレー優勝で発揮した持久力が本物であることを実感できた。しかし、予選後、両足の筋肉が酷く張っていて、これ以上泳げるか不安になった。医者の診断かマッサージが必要と思われたが、高桑は時間をロスしないで午睡を優先した。アップぎりぎりまで宿舎で寝た。それが良かった。スッキリして、様々な不安が嘘のように消え去った。
 いよいよ決勝。最初のバタフライ50メートルは予選でトップを記録した大野孝之選手が25秒01、高桑はわずか0秒05差で追う。次の背泳で藤井選手がトップになるが、高桑との差は百分の07、高桑は周りを見る余裕はなかった。勝負に出た。平泳ぎでスパートをかけ、わずか100分の一秒差であったがトップに立つ。そして自由形になるとより力のこもった泳ぎで2位以下を引き離す。記録は1分57秒24。高桑が北京五輪決勝で作った日本記録を約1秒縮めた。これは世界歴代4位。メダルも決して夢ではないのだ。

全日本女子レスリング大会
坂本3曹、佐野2曹がV
世界選手権代表に決まる
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 4月5日、東京駒沢体育館で平成21年度全日本女子レスリング選手権大会が開催され、自衛隊体育学校所属の選手が6名出場し、坂本真喜子3曹、佐野明日香2曹の両名が昨年末に行われた天皇杯全日本選手権に引き続き優勝し、世界選手権代表の座をほぼ確実にした。また、工藤佳代子士長が準優勝、関根ゆう3曹、斉藤貴子士長が3位の成績を収めた。
 48?級坂本真喜子3曹は派手さはないものの、地道なレスリングで着実に勝ち上がり決勝では、3月に中国大原で行われたワールドカップで2008年世界選手権優勝者クラリス・チャンを敗るなど成長著しい三村冬子選手と対戦、天皇杯ではフォール勝ちを収めた選手だが、油断せず相手に攻めきる機会を与えず、「負けないレスリング」で勝利を飾った。
 坂本選手は徹底的に試合をシミュレーションして臨む選手であり、そのため、自分の得意技等が空回りした場合や、先手を楽に取って一挙にフォールへ持ち込もなければと焦りがでた場合に、試合展開が崩れることがあったが、今回手に入れていた負けないレスリングが坂本真喜子選手のレスリングの幅を広げている。女子48?級の一流選手はテクニックと運動量を有する選手が多く、確実に守れる力を得たことはこれからの世界での戦いに好影響を及ぼすものと思われる。
 坂本選手は圧倒的な力で常に圧勝して行くタイプの選手ではなく、苦しみぬいて最後に勝利していく選手であり、簡単には勝てないということを常に念頭において戦っている。今回の大会では漸く自分のスタイルが確立されて来たといえるのかもしれない。
 一方、佐野明日香選手は、2008年世界選手権67?級準優勝の新海真美選手と激突したが、危なげない試合展開で勝利を収めた。特に第一ピリオド、延長戦にもつれ込み、ボールのピックアップの結果、クリンチは相手の攻撃となり絶対的な不利の状況であったが、立ち上がらず耐えしのいで制するなど、内容のある試合で優勝できたことはこれからの佐野選手には大きな勝利となった。
 72?級はアテネ、北京の五輪で連続銅メダルに輝いた浜口京子の絶対的な存在があるが、ポスト浜口の一番手として、佐野選手の強さが印象づけられた。浜口が築いて来た世界選手権72?級での日本選手の栄光を守るためにも佐野選手の活躍が期待される。今回浜口選手との直接対決での勝利は浜口選手の欠場により果たせなかったが、世界選手権で実績が作れれば世代交代を促進することになる。

全日本柔道体重別大会
体育5選手出場
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 4月4、5の両日、福岡国際センターで開催された平成21年全日本選抜柔道体重別選手権大会に自衛隊体育学校から5人の選手が出場した。
 女子70kg級、國原頼子2曹は一回戦を勝ち抜き準決勝でドイツ国際大会優勝の渡邉美奈選手と対決。有効2本を小内刈りと背負い投げを仕掛けて奪うなど有利に進めていながら試合終了間際、最後まで一本を狙う國原は接近戦で投げを狙ったところ場内外境界へもつれ込み、逆に背負いを受け一本負けを喫し、結果的に3位に甘んじた。
 また、78kg級、池田ひとみ2曹も一回戦は昨年の講道館杯で苦杯を舐めた緒方亜香里選手に大内刈りで技ありを奪い勝ち上がり、準決勝で池田にとって先輩であり一番の親友である北京五輪代表の中澤さえ選手と激突、両者攻めきらないまま迎えた終盤、崩れた体勢から四方固めを受け一本負けを喫し昨年と同様3位に終わる。
 新人の平井希は、一回戦、谷本歩実選手の妹育美選手を有効一本の優勢勝ちを収め、準決勝では、昨年の講道館杯決勝、2月のフランス国際決勝と同じ上野順恵選手と激突、両者攻めきれないまま、これまでの決勝と同様、指導2本を受け判定負けに終わった。この63kg級は昨年同様上野順恵選手が優勝し、平井選手の課題は上野順恵の壁をどうやって崩していくかであり、中学生時代から全国に名を馳せた天才が体育学校に入ったことでどう変わるか見守っていきたい。
 今回の選抜選手権では体育学校にとって厳しい結果になった。しかし、柔道は年間に重要な大会が多く、選手たちは休む間もなく連戦を重ねていく。選抜に参加した各選手の差は紙一重にあり、ロンドン選考の対象となる2011年度へどうやってピークを持って行くか、それができた選手だけがロンドンへ行ける。現在体育学校の選手の階級は国内では抜きでた選手がいない状況であり、これからが問われていく。
(以上、体校広報)


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