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   2004年6月15日号
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メンタルヘルス施策を強化
<防衛庁自殺事故防止対策本部>
6月7日から7月9目まで
 防衛庁自殺事故防止対策本部は6月7日から7月9日までの間を「メンタルヘルス施策強化期間」として設定、次に掲げる事項について実施中です。
 ▽面接等による所属隊員の身上(心情)把握の徹底▽隊員指導時におけるカウンセラー、医官等との連携の強化▽部内カウンセラー等の指定の確認▽部内及び部外のカウンセラー制度、部外電話相談窓口の部内広報の徹底▽部内及び部外のメンタルヘルス等に関する相談先を記載したカードを必要に応じ更新及び所属隊員の当該カードの携帯の確認▽中隊長等部下の指導を担当する者の隊員指導時に活用するため、同対策本部が配布した「借財を持つ隊員への接し方」の周知・活用▽防衛庁共済組合が実施する部外委託による電話相談窓口の開設(組合員と被扶養者を対象に7月1日から開始予定。提供するサービスの内容は健康、税務、法律などで、電話やEメールで各アドバイザーが対応、回答などを行う。また、対象とする相談内容は、健康保持・増進、妊娠不安、赤ちゃんの発育、お年寄りの介護、遺産相続、住宅の取得・処分、贈与、借財、離婚問題、異性問題、近隣トラブル、冠婚葬祭マナー、悪質商法、嫌がらせ、ストーカー等生活全般に関すること)▽アフターケアの充実▽うつ病への対応に関する資料の配布など。
 また、同対策本部長は、駐屯地等(陸・海・空各自衛隊の部隊等が所在する施設のうち、それぞれ1カ所程度)で、メンタルヘルスに関する講演を実施します。

リニューアルオープン間近!!
富士学校資料館
 5月14日、富士学校(学校長・柳澤壽昭陸将)を見学に訪れた日本国防協会理事・石井正子氏が、現在リニューアル(一部開放)中の資料館で1枚の写真に目を留めた。その写真とは、大山巌元帥のお孫さんからお預かりしている「満州軍総司令部出征記念写真」である。
 現在7月18日の富士学校開設50周年記念行事に併せ、昭和59年に「資料館」と名称を変えてから20年ぶりのリニューアルオープンに向け、整備の最終段階に急ピッチで取り組んでいる。そんな折、石井氏は偶然にも展示してある写真と同じ物を所有していると言うのだ。後日、石井氏の申し出により、その写真を寄贈頂くことになったのだが、この2枚、どちらも間違いなくいわれある本物であり、人物の向きや視線は全く同じ瞬間の物なのだ。(しかし、微妙に違う…?気づくと少し嬉しい発見なので、あえて違いに触れないこととしよう)。
 他にも旧軍コーナーには「明治記念館と我が資料館にしかない」といわれるお宝のほか、より一層の充実を図った富士学校コーナーや陸上自衛隊コーナーが、オープンのその日を待っている。駐屯地開放日などを利用して、このイチ押しのお薦めスポットに是非、足を運んで頂きたい。(富士学校広報班)

ボランティア活動で汗流す
<札幌駐>
河川敷を清掃
 札幌駐屯地(司令・火箱芳文将補)は4月23日、駐屯地近傍を流れる豊平川河川敷のゴミ拾いを実施した。今年は、例年駐屯地曹友会(会長・兼田隆一曹長)が実施している活動を駐屯地の全隊員が参加して行った。
 豊平川河川敷は、市の排雪場となっている地域もあり駐屯地も排雪場所として、また、夏は体力練成の場と、駐屯地にとっては1年を通じて利用している場所で、この時期雪溶けが進むと、軽い気持ちで捨てたゴミが顔を出し景観を損ねている。
 この日午後5時すぎ、駐屯地南訓練場に集合した司令以下約400名の隊員は、豊平川の左岸約3キロの間に2コ班に分かれて展開、1時間かけペットボトル、空き缶など約100袋のゴミを拾い集めた。
 ゴミが無くなりきれいになった河川敷は、芝生も青々とし、今年も隊員に清々しい憩いの場と体力練成の場を提供してくれることだろう。

自殺予防 Q&A
防衛医学研究センター  高橋 祥友
〈第3回〉
死にたいと言われた
〈徹底的に聞き役になろう〉
 次のような質問をされたことがある。「もう何年も前のことになります。友人が自ら命を絶ちました。私はその前日、会っていたのです。今でも、別の対応をしていたら、彼は死ななかったのではないかと思ってしまいます」ふたりは同期入隊で公私ともに親しくしていた。しばらく前から、友人が時々ふさぎこんでいることに気づいていたという。
 そして、ある日、友人から、「もう駄目だ。仕事もろくにできない。死にたい」と打ち明けられた。実際のところ、打ち明けられた側が、狼狽するばかりで、どう対応してよいかわからなかった。ともかく何かを言ってやらなければとあせって、開口一番、「馬鹿を言うな。家族はどうするんだ」と一喝した。
 その日の仕事はすでに終わっていたので、飲みに連れ出した。何を言ったのかよく覚えていないが、酔った勢いでしきりと励ましていたのを覚えている。
 それで一件落着と安心していた。ところが、翌日、同僚が自殺したことを知らされ、愕然としたというのだ。
 「死にたい」「自殺する」などということを打ち明けられて、平然としていられる人などいない。精神医学の訓練を受けている者であっても冷静な態度を保つのは容易ではない。まして、一般の人には、このような状況での対応は一層難しいだろう。
 ぜひ、これだけは覚えておいてほしい。打ち明けてきた人は、これまでの関係から、「この人ならば私の悩みを真剣に受け止めてくれるはずだ」と考えて、ある特定の人を選び出している。馬鹿にされたり、叱られたりしそうな人を選ぶはずがない。
 ところが、往々にして打ち明けられた側が不安になってしまい、何か言わなければならないという気持ちが強くなる。ただベラベラと話したりする。話をそらそうとしたり、叱ったり、励ましたり、性急な助言を与えようとしたり、世間の常識を押し付けようとしてしまう。
 しかし、これは禁物である。
 このような態度に出てしまうと、せっかく開きかけていた心を閉ざしてしまい、実際に自殺が決行される危険が高まってしまう。真剣な態度で訴えに耳を傾けるならば、自殺について話を聞くことは危険ではない。悩みを聞いてもらううちに、自分と問題の間に少しだけでも距離ができ、冷静さも取り戻す。だからまずは徹底的に聞き役に回る必要があるのだ。それが自殺予防の第一歩となる。

彰古館 往来
陸自三宿駐屯地・衛生学校
〈シリーズ29〉
野外手術システム
 昭和初期に陸軍での運用が始まった手術用自動車ですが、現在の陸上自衛隊の衛生科部隊でも同様の車輌が装備化されています。
 今回ご紹介するのは野外手術システム車です。野外手術システム車の目的は、言うまでもなく医療施設の無い場所での負傷者の治療に供するものです。通常は後方支援連隊衛生隊に装備し、師団収容所における初期治療や応急治療を行います。受傷後8時間を経過すると傷死率は75%にも及ぶと言われ、初期治療の重要性が認識されています。
 発想自体は、すでに第一次世界大戦当時からあったのですが、陸上自衛隊では地道な研究成果が実を結び、装備化の運びとなります。
 車台は73式大型トラックをベースとして、手術に必要な多種多様な器材の選定が始まります。
 陸軍の手術用自動車では、2台の車輌の車体側板を開放して連接し、手術室のスペースを確保しておりましたが、新装備では二重構造の外壁が左右に恰幅して、内部容積を約2倍に増加させる方法がとられています。
 もちろん、内部に装備される医療器材は最新のものが積載されて、振動や車輌の動揺に対する耐震設計になっております。
 野外手術システムは、手術車、手術準備車を通路で連接し、滅菌車、衛生補給車の4車両でシステムを構成します。そのほか、発電機トレーラー2台、水トレーラーを随行します。
 手術車用シェルターには電動で姿勢を変えられる手術台、表示・記憶ができるX線装置、5灯式の手術灯、スポット灯、麻酔ユニットなどが装備され、各種の外科手術に対応しています。
 手術準備車は各種臨床検査、X線フィルムの現像、手術器材・薬品の保管のほか術者の準備に当てられています。
 衛生補給車は、衛生資材の管理、衛生材料の交付、補給業務を担当しています。
 この最新の野外手術システムの「救命率の向上を図る」という目的は、前回ご紹介した陸軍の手術用自動車の開発と全く同じ発想です。医療の世界に陸軍や海軍、民間、あるいは自衛隊といった線引きは無意味です。「人の命を助ける」という衛生・医療の基本理念は、過去も現在も、そしてこれからも、どんな医療機関においても、変わることは無いのです。

〈訂正とお詫び〉前々号(第643号、5月15日発行)の「防衛庁・自衛隊高級幹部等名簿」の中に誤りがありましたので、訂正するとともに関係者の方々にお詫び致します。正しくは次のとおりです。▽陸自滝川駐業隊長・市原乙也2佐▽海幕装備調整官兼ねて装備班長・大野慶二1佐▽海自くろしお艦長・加納雅人2佐▽札病総務部長・山口寿彦1陸佐

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