防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
スペーサー
自衛隊ニュース   2011年5月1日号
-
1面 2面 3面 4面 5面 11面 12面

各地で入隊・入校式
声高らかに「服務の宣誓」
1教団各教育隊
 新年度を迎えた4月、第1教育団各教育部隊で入隊式が行われ、1105名が式に臨んだ。
 各入隊式では、はじめに今回の震災で亡くなられた被災者に対して黙祷が捧げられた。立会官の第1教育団長・真?唯信1陸佐は、入隊者に対して「果敢に挑戦せよ」「同期の団結を強めよ」の2点を、また、教育を担当する基幹要員に対しては「将来の陸上自衛隊を担う立派な後輩育成に全身全霊を傾け教育に当たること」をそれぞれ要望した。『服務の宣誓』では、入隊者が代表隊員とともに力強く宣誓文を読み上げ、国民の負託に応えられる立派な自衛官になることを誓った。
 武山駐屯地で行われた第117教育大隊の入隊式に臨んだ東京都出身の一般陸曹候補生は「被災地で人々が助け合う姿をテレビで見た。自分も一人前の自衛官として人の役に立ちたい」と目を輝かせていた。
 各教育隊では、翌日から本格的に教育が開始され、陸上自衛官になるための基礎的な知識と技能を身につけていく。
被災地からの入隊
 宮城地本から陸自の自衛官候補生として入隊した阿部瑞穂さんは、東日本大震災で自宅が大きな被害を受けた。南三陸町の出身で、この3月に地元の志津川高校を卒業したばかり。家族は全員避難して無事だったが、自宅を津波で跡形もなく流された。
 4月2日、朝霞駐屯地の女性自衛官教育隊に入隊するため、被災後に身を寄せていた南三陸町内の親戚宅で約20人の親戚一同に見送られ出発した。「元気で頑張ってと被災地から送り出してくれた家族の期待に応えたい」と話す阿部さん。同10日、朝霞駐屯地で女性自衛官教育隊の入隊式が行われ、自衛官候補生としての一歩を踏み出した。

防医大
38期83名が入校

 4月7日、満開の桜の中、防衛医科大学校医学科第38期学生83名の入校式が同校体育館に於いて行われた。
 東日本大震災による節電のため、照明を落として挙行されたこの入校式は、1分間の黙祷から始まった。早川正道学校長は式辞で「他の医大とは違い、医師となる勉強に加え将来幹部自衛官となるための基礎的な教育訓練もしなければならない。勉学や訓練に励むことは自衛隊員である本校学生に課せられた義務であることをしっかりと認識して欲しい」などと述べた。また、統幕長代理で河野克俊統幕副長が挨拶で「統合運用より5年。今回の大震災で初めて統合任務部隊として医療活動を行っている先輩たち」と述べた時に一層入校生の雰囲気がピリッとしたように見えた。
 緊張気味の入校生だが「将来における財産となる、寝食を共にする同期」と一緒に元気いっぱい入校式会場を後にした。

高工校でも入校式
 高等工科学校(学校長・市野保己陸将補)は4月8日、第57期生に対する入校式を実施した。本年度は初めての推薦入試制度合格者32名を含む310名の新入生が全国各地から入校した。
 式は東日本大震災犠牲者への黙祷から始まり、部内外多数の来賓、家族に見守られながら整斉と行われた。新入生代表の工藤大輔生徒の「気をつけ!」の号令に続き、新入生が一斉に立ち上がると会場の体育館はドンという音とともに揺れ、家族席から驚きの声が上がった。新入生は入校を命ぜられた後、宣誓文を全員で大きな声で読み上げるとともに、最後に一人ひとりが自分の名前を発し、全力で学業に励むことを誓った。
 市野学校長は式辞で、入校生に対し「目標を立て日々努力せよ」「真の友情を育め」の2点を要望するとともに、来賓からの激励の言葉では第54期生卒業式の答辞が紹介され、「ここには一人のミスが皆のミス、一人の成功が皆の成功、という良い慣習がある」と同期と助け合って努力するようエールが送られた。
 4月1日に着校して以来、約1週間ぶりに顔を合わせた家族は、入校式での行動や整頓された居室を見て、見違えるように成長した息子に驚くと同時に、感激していた。すべての行事が終了して家族を門で見送る生徒の表情には寂しさも見えたが、隊舎に戻る後ろ姿からは立派な自衛官になるために努力するという強い意志が感じ取られた。

雪月花
 東日本大震災の津波で幸い自分たちは二階に避難して無事だったが水が引いたあとの一階の部屋には流されてきた遺体が九つもあった、あちこちにぶつかったのだろう全身はかなり傷ついていた。友人の石巻にある実家のご両親の話しである。落ち着きがもどり、関係者に遺体の処理について相談しようとするも「生存者の捜索が先」となかなか話にならない。遺体もだんだんと傷んでくる中、5昼夜を一緒に過ごしたとき自衛隊が来てくれた。かれらは顔の泥もぬぐい遺体を抱きかかえて丁寧に運び出してくれた、高齢のお父さんとお母さんは自然に自衛官の後姿に手を合わせたという。メディアに出ない自衛官の活躍がいっぱいあったことを今回の震災で国民の多くは知った、こんなシーンやもっと過酷な現場は数え切れないほどあった。災害出動の自衛隊の活躍をもっとマス・メディアは伝えてほしいとの声は小紙にも以前から多かった。しかし自衛官はそんなことは意に介さず黙って任務を続けてきた。たまたまページをめくっていた本にフランスのラ・ロシュフコーという作家の言葉を見つけた。「完全無欠な武勇とは、人前ならやって見せられるであろうことを、誰も見ていないところですることである」。だからと言っても国民は自衛官のみなさんに武勇伝は期待していない、無事故・元気で任務を終了し帰隊されることを望んでいるのである。

Home
(ヘルプ)
Copyright (C) 2001-2014 Boueihome Shinbun Inc