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自衛隊ニュース   1117号 (2024年2月15日発行)
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読史随感
神田淳
<第143回>

地球温暖化問題について思う

 地球温暖化が進んでいる。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第6次評価報告書によると、地球の平均表面温度は工業化以前の水準(1850-1900年の平均)から1.1℃上昇した。温暖化は今後も進み、このまま行くと今世紀末には最大3.3〜5.7℃上昇すると予測されている。温暖化が進むと、海面上昇による低地の海没、浸水の他、熱波、干ばつ、豪雨、洪水などの異常気象の頻発、砂漠化の進行、さらに種の絶滅を伴う生態系の変化など、深刻な地球環境の変化が起きる。温暖化は、人間の活動によって大気中に排出されたCO2をはじめとする温室効果ガスによって起きていることが、疑う余地がなく明白である、とIPCCは断定した。
 IPCCは、温暖化が工業化以前の水準から2℃以上進むと極めて深刻な地球環境の変化が起きるとし、2℃未満に抑えることを目標にしたが、その後、1.5℃に抑えるのが環境変化のリスクがずっと少なく、望ましいとした。これを受けてCOP21(第21回気候変動枠組条約締約国会議、2015年パリ)で、2℃未満を目標に定め、1.5℃に抑える努力を追求することとし、各国が削減目標を提出することになった。COP26(2021年グラスゴー)では、1.5℃に抑えることの重要性が強調されて1.5℃が事実上の目標となり、これに沿って2030年までに世界のCO2排出量を45%削減、今世紀半ばに排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)とすることの合意がなされた。そして直近のCOP28(2023年12月ドバイ)では、1.5℃に抑制するため、温室効果ガス排出量を2030年までに43%削減(CO2は45%削減)、2035年までに60%削減(CO2は65%削減)し、2050年までにカーボンニュートラルを達成する必要があることを認識する、と合意された。
 地球温暖化が問題となり、温室効果ガス排出量の国別削減目標値が初めて決められたのはCOP3(1997年京都)に於いてであるが、温暖化問題の認識の深化とともに削減目標は次第に厳しくなり、現在とても実現できそうもない目標となっている。今から5、6年後の2030年までにCO2排出45%の削減、10年後の2035年までに65%の削減など、実現不可能である。必要な広範囲の実用レベルの技術が得られていない。原子力、再生可能エネルギーなど、CO2排出ゼロの技術は存在する。しかし太陽光や風力などの再エネは出力不安定で、一定量以上は電力系統に導入できない。原子力はCO2無排出の優れたエネルギーであるが、非常に長期の建設期間を要する。他にCO2排出ゼロの技術は数多く存在するが、実用レベルに達していない。削減目標が達成できないもう一つの理由に、世界の国はすべて、先進国、途上国を問わず、自国の経済発展を妨げるようなCO2削減策は現実的に取らない(取れない)ということがある。
 COP28では、各国が現実的に取れる対策がいくつか合意された。化石燃料についてはフェーズアウト、フェーズダウンではなく、化石燃料からの移行という表現になり、エネルギー安全保障と円滑な移行燃料(おそらく天然ガスを含む)の役割が明記された。また原子力とCCUSが推進すべき技術として再エネと並んでポジティブに明記された。COPのこうした現実的アプローチは必要なことだと私は思う。
 1.5℃目標はまだ死んでいないが、2035年CO2の65%排出削減は実現できず、2050年頃には気温上昇も1.5℃に達するだろう。しかしこの頃までには、広範囲の革新的な実用レベルの脱炭素技術がつくりだされていると信じたい。今世紀後半から末までにはカーボンニュートラルを達成して、温暖化の進行が止むことを期待したい。
(令和6年2月15日)

神田 淳(かんだすなお)
 元高知工科大学客員教授。
 著作に『すばらしい昔の日本人』(文芸社)、『持続可能文明の創造』(エネルギーフォーラム社)、『美しい日本の倫理』などがある。


ラオス軍への能力構築支援<2普連>
 第2普通科連隊は12月17日から20日までの間、ラオス人民民主共和国ビエンチャンにおいてラオス人民軍に対する能力構築支援(派遣事業支援)のため、教官要員を派遣した。
 平成30年から実施しているラオス人民民主共和国に対する能力構築支援事業として今回で4回目となる本派遣は、災害発生時における捜索・救助、衛生活動等に関する教育訓練を行いラオス人民軍の災害対処能力を向上させることを目的とし、連隊からは8名の隊員が派遣され、現地で活動を行った。
 ラオス人民民主共和国ビエンチャンに到着後、4日間の日程でそれぞれの専門分野に分かれて機能別訓練を実施したのち総合訓練を行い、所望の成果を得るとともに当初の任務を完遂し、両国の親交の更なる深化に寄与し、無事帰国した。
 今回、派遣事業支援に参加した女性隊員の山下3曹は帰国後、「ラオス軍に対する能力構築支援に参加し、ラオス軍の練度向上、両国の友好な関係に貢献できたと感じた。また、ラオス派遣事業において女性隊員の派遣は初めてのことであり、両国の交流を通じ、女性の活躍する場を構築できたことを誇りに思う」と話した。

IPCAS
(国際平和協力活動セミナー)
<国際活動教育隊>
 国際活動教育隊(以下「国際教」)(隊長・西村修1陸佐=駒門)は12月15日、「令和5年度国際平和協力活動セミナー(IPCAS)」を開催した。IPCASとは、国際平和協力活動等に関する最新の知見や取り組みを共有するとともに、関係機関との連携を強化する目的も兼ねて、平成19年度から国際教が毎年開催しているイベントであり、今回で17回目となる。
 今年度のテーマは、「デジタル時代の国際協力〜変化する環境と要員の安全確保〜」とした。テーマ選定の理由は、気候変動を背景とした暴力を伴う脅威の増加や、デジタル技術の進歩による誤った情報の拡散等の影響など、平和維持要員に対する脅威が変化するなか、それらを踏まえた要員の安全確保が重要な課題となっているからだ。
 当日は、統合幕僚学校国際平和協力センター(JPC)長による、国際平和活動訓練センター協会(IAPTC)参加成果についての講演及び国際教研究科研究員による、「デジタル時代における平和維持要員に対する脅威」についての講演の後、防衛省や国際機関からの参加者による「デジタル化の影響と各組織の取り組み」について活発な意見交換が行われていた。

岐阜県大雪に係る災害派遣
立ち往生を早期解消<35普連>
 第35普通科連隊(連隊長・松下竜朗1陸佐=守山)は、1月24日〜25日までの間、岐阜県関ヶ原IC付近で発生した大雪に伴う災害派遣に従事した。
 この冬一番の寒気がもたらした大雪により、岐阜県不破郡関ヶ原町の名神高速道路関ヶ原IC付近では、24日午前10時過ぎから車の流れが滞り始め、じ後、スタックした車両を先頭に立ち往生が発生。午後1時頃には車両のボンネットに約30センチの雪が積もり、24日午後2時頃には、車の立ち往生が、上りが約6キロで約500台、下りが約5キロで約750台に及んだ。
 24日午後3時に岐阜県知事からの災害派遣要請を受け、第35普通科連隊は、関ヶ原ICに向け前進した。
 派遣された隊員は、激しく雪の降る過酷な状況において、立ち往生の早期解消のため、スノーダンプ、角スコップを使って根気強く1台ずつ丁寧に除雪作業を行った。
 25日午前0時に上り線、午前4時頃下り線の立ち往生は解消し、25日未明、撤収要請を受け任務を完了した。

冬山合同救助訓練
<44普連>
 第44普通科連隊(連隊長・古庄明裕1陸佐=福島)は、1月31日、福島市山岳遭難対策協議会の主催で、吾妻山(福島市)において実施された冬山合同救助訓練に参加した。
 訓練は、冬山において自力での下山が困難となり遭難した者及び消息不明になった遭難者を救助するという想定で、福島県警察、福島県消防防災航空隊、福島市山岳遭難救助隊と合同で行われた。参加した隊員28名は、片道2キロほどの雪山をスキーやスノーシューを使用し、関係機関と連携し、遭難者の救助に向かった。遭難者を発見した隊員たちは、即座に低体温症ラッピングを施し遭難者の体温を確保した=写真。その後、アキオ(大型そり)により下山、遭難者を車両の進入できる地点まで搬送し、遭難者を救助する一連の行動を関係機関と訓練した。
 本訓練を通じ、各隊員は冬山における遭難者救助活動の練度を向上させるとともに、各関係機関との連携を強化するほか、連携と信頼関係の重要性を再認識した。参加した隊員は、「冬山における救助において、各関係機関との連携を強化するとともに、ラッピング等の技術向上ができ、大変勉強になった」と訓練に手応えを感じたようだった。

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