防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   1046号 (2021年3月1日発行)
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ノーサイド
北原巖男
新年度に向けて

 本年も明けたと思ったらもう3月、年度末を迎えています。
 この間、全国各地の自衛隊員の皆さんは、コロナ禍対策ための健康管理・医療支援やコロナに感染した島嶼住民のヘリ急患搬送、大雪による高齢者住宅や小中学校の木造校舎等に対する除排雪作業・北陸自動車道等における滞留車両周辺の除雪・同ドライバーの皆さんへの燃料や食料等の配布、更には全国各地で大量に発生している鳥インフルエンザに対する養鶏場内における殺処分等、そして東日本大震災の再襲来かと肝を冷やした福島県沖地震に対する給水支援など、まさにさまざまな「災害派遣活動」に取り組んで来ています。
 一言で「災害派遣活動」とくくっても、それぞれの活動は正に千差万別。
 しかし、常に国民と共にある国民の自衛隊員としての矜持を保ち、日々の教育訓練・任務遂行に士気高く精励して来ていればこそ、いかなる災害派遣要請についても、迅速かつしっかりと対応出来、もって国民の皆さんの負託に応えられて来ているのだと思います。
 同時に、例えば、想像を絶する沢山の鶏を殺処分等しなければならない現場にいる隊員の心中はいかばかりかと察するとき、ただただ「・・・頼みます」と心の中でお願いすることしかできません。
 今日以降も、新年度も、さまざまな災害派遣要請は突然来ます。
 全国の隊員の皆さんには、これからも頑張って頂きたいと思います。
 そんな皆さんに、自衛隊OBの一人として、老婆心ながら申し上げたいことがあります。
 「自分が自分でなくなるようなことはしない!自分に対するもう一人の自分の無責任な言い訳や自己弁護の悪魔のささやきに負けない!」
 私たち自衛隊員は、特別職の国家公務員です。国民全体の奉仕者として公正に職務の遂行に当たることが求められています。いわゆる「利害関係者」の皆さんから贈与を受けたり接待を受けることなどは、法律で禁止されています。
 しかし、いつどのようなときに、皆さんが、なかなか断りづらい危険な立場等に置かれないとも限りません。
 そんな時に、是非思い出していただきたいのです。
 断る勇気を発揮し、本来の自分であり続けて頂きたいと思います。
 皆さん一人ひとりは、どこまでも厳正かつ公正に任務の完遂に努める自衛隊員たる国家公務員です。
 例年であれば、これから新年度のスタートに向けて、華やかな修了式や卒業式のシーズン到来です。昨年来コロナ禍が続く今年は、どのようなやり方で実施されるのでしょうか。
 隊員の皆さん自身や家族の皆さんの中にも、新しい出発に不安と逸る気持ちを抑えきれない方がきっとおられることでしょう。
 かつて僕が東ティモールに住んでいたときに、東ティモール独立回復闘争の最高司令官であり、その後首相等として国づくりの先頭に立たって来られたシャナナ・グスマン氏から言われた言葉があります。
 東ティモールは、インドネシアからの独立回復を目指して、24年間厳しい独立回復闘争を展開して来ました。当時、日本を含むアメリカやオーストラリア等の国際社会は、この独立回復闘争は成功しないと見ていました。しかし、彼らは独立回復を成し遂げました。
 今度は皆さんに、僕から贈ります。
 「Fight for Your Dream with Courage and with Passion!(あなたの夢の実現のため、勇気と情熱を持って戦え!)」

北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現(一社)日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事


勝利を掴め! 競技会特集
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第42即応機動連隊
 第42即応機動連隊(連隊長・小見明之1陸佐=北熊本)は、2月1日から6日、北熊本駐屯地において武装持続走競技会及び小火器射撃競技会を実施した。
 本競技会は、戦闘員としての必要な基礎的戦闘能力の向上及び団結の強化・士気の高揚を図ることが目的。各中隊等は年間を通じて部隊訓練の合間や課業外の時間をも利用して能力向上に努めた。特に、実弾射撃訓練を行う機会は限定されることから、その訓練は夜間に及ぶことも度々。
 連隊長は開会式において「即応機動連隊の隊員として基礎体力と小火器射撃能力の重要性を強調した上で、常在戦場の意識の堅持として、競技(戦闘)の場で実力を発揮せよ。」と訓示。
 武装持続走は10名1組の分隊走で競技、分隊長の指揮の下、隊員は互いに励まし合い、また1秒でも早く走破するため一時的に小銃等の携行を援助し合い、分隊一丸となりゴールを目指した。
 小火器射撃は、職種共通の89式小銃の応用射撃で競技、数百メートルから数メートルを現出する複数目標に対する射撃と躍進を繰り返し限られた弾数でより速くより正確な射撃を追求した。
 競技会を通じコロナ禍にあっても、各中隊等は訓練の成果を競技の場で発揮するとともに、結束を固め士気を高めることができた。また、各隊員は、更なる能力向上の必要性を認識し奮起を誓った。
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第319基地通信中隊(国分)
 第319基地通信中隊(隊長・鶴田健一1陸尉=国分)は、1月25日及び28日、令和2年度中隊武装走競技会に参加した。
 本来であれば、各派遣隊隊員一同が国分駐屯地に集結して競技するところ、今年度は新型コロナウイルス感染防止のため、それぞれ所在する駐(分)屯地での競技実施となった。
 中隊長要望事項「今までの練成の成果を発揮せよ」に基づき各人最後まで力走し、それぞれベストを尽くすとともに、部隊の団結強化及び士気の高揚を図ることが出来た。
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中部方面混成団
 中部方面混成団(団長・芝伸彦1陸佐=大津)は、12月21日から23日の3日間にわたり、あいば野演習場において総合戦闘射撃訓練(統裁官‥混成団長)を実施した。
 戦闘射撃訓練は、小銃小隊とそれを支援する81mm迫撃砲小隊、120mm重迫撃砲小隊からなる中隊が防御戦闘の状況で中隊長の指揮に基づき火力を発揮する要領で行われ、コア連隊である第47、第49普通科連隊から選抜された合計5個中隊が射撃練度を競い合った。
 折りしも、寒波の影響で演習場は40cmを超える積雪となったが、訓練招集に応じた即応自衛官と常備自衛官が一体となり凍える寒さをものともせず、中隊長の指揮の下、雪をも溶かす勢いで持てる力を最大限に発揮した。最優秀中隊の栄冠には、第47普通科連隊第4中隊が輝いた。
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第40普通科連隊
 第40普通科連隊(連隊長・中村雄三1陸佐=小倉)は、12月21日から12月23日にかけて、連隊戦技競技会を行った。
 本競技会は、射撃・銃剣道・拳法の3競技を行い、自衛官として防衛警備上必要な各個の戦技能力の向上、部隊の団結の強化及び士気の高揚を図る目的で行った。
 競技前に行われた開会式での連隊長訓示では「中隊長を核心とし、必勝の信念と執念をもって目の前の敵を圧倒せん滅する気概をもって、練成成果を十分に発揮することを期待する。」と選手たちに激励の言葉を贈った。
 競技会初日は、曽根訓練場(北九州市小倉南区)において射撃競技会、2日目以降は駐屯地において、格闘競技(銃剣道・拳法)を行い、各選手が中隊の誇りを胸に競技に臨み、持てる力を遺憾なく発揮していた。
 最終日には閉会式が行われ、日頃の練成の成果を十分に発揮した第1中隊が総合優勝の栄誉に輝いた。
 競技において第1中隊幹部代表として出場した大森 光3陸尉は「中隊全員が一致団結をし、拳法の部において優勝することができました。また試合において勝利を収めることができ、中隊に貢献できたことを嬉しく思います。これからも中隊に貢献できるように日々精進して参ります」と語っていた。

雪月花

 「あと9センチで娘に背丈を追い抜かれる。」小学校4年生の子供を持つ若いお母さんが悔しそうに話した。あんまり大きい方とは言えないお母さんだからそれも時間の問題だろう。悔しいと言いながら顔は嬉しそうに笑っている。子どもの成長を喜ばない親は世の中にはいるはずがない、こちらの家の柱にはいくつもの傷が付いていることだろう。ここでは追い抜かれることを楽しんでいるが私たちの社会では追い抜かれたくない、追い越したいが生きていくための基本の一つになっている。大相撲の世界では稽古をつけてくれた先輩に勝つことが恩を返すことだと言われるが負けた先輩は心穏やかではあるまい、ここから更なる両者の競い合いが始まるのが相撲界の素晴らしいところでもある。将棋の藤井聡太二冠、将棋界の記録を次々に塗り替えている。2016年、17歳の時にデビュー戦で77歳の加藤一二三大先輩に勝利して以来、先輩の強豪たちを何人も追い越した。追い越された加藤さんも天才棋士と言われ14歳でプロ棋士になり多くの先輩を追い越し幾つものタイトルを獲得したが藤井聡太2冠らに追い越されたのだ。また囲碁の世界でも同じような状況が見受けられる。その年の7大タイトルを獲得するグランドスラムを2回も達成した井山裕太九段でも後輩の一力遼九段や萩野虎丸九段らに並ばれタイトルの一角が崩れている。最近、実業界で紙上を賑わせたのが三菱UFJ銀行の次期頭取人事。報道によれば取締役常務執行役員の半沢淳一さんという方を頭取に昇格させることになった、副頭取や専務ら13人をごぼう抜きにしての抜擢人事らしい。13人がどういう方々かは知らないが見えない所で熾烈な葛藤があったことは想像できる。半沢さんはテレビドラマ倍返しの「半沢直樹」のモデルだったとも噂されている、原作者の池井戸潤さんと同期入行組だったことが火の元らしい。テニス界でも大半の日本人をテレビにくぎ付けにした大坂なおみ選手、全豪オープンで圧倒的な強さで先輩たちを倒しての優勝、海外メディアも新女王の誕生とか、NAOMIの時代が始まるなどと報じているが1年でも長く追い抜かれないように戦ってほしいものだ。抜きつ抜かれつの「人生劇場」、出演者全員を応援したいのだが…。


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